2011年2月11日 (金) 掲載

◎留学生、ワカサギに歓声 大沼で釣り体験 国際交流冬のつどい

 【七飯】北海道国際交流センター(HIF)の「国際交流冬のつどい」で道南を訪れている留学生らが10日、大沼国定公園の氷上ワカサギ釣りを体験した。次々と上がるワカサギに大喜びし、真冬ならではのレジャーを楽しんだ。

 冬のつどいは今回で8回目。現在、関東・関西圏の大学や日本語学校に在籍するアメリカや韓国、台湾、ミャンマーなど世界10カ国出身の36人が参加。8日から森町に入り、宿泊研修やスキー、温泉体験などで交流を深めてきた。

 ワカサギ釣りは釣り堀「太公園」が営業する大沼湖で実施。参加者は湖面の穴をのぞき込んだり、時折揺れる竿の先端に敏感に反応したりと興味津々の様子。一人が釣れると周囲からも歓声が上がり、カメラで記念撮影をするなどして盛り上がった。採餌場へ向かうオオハクチョウが優雅に舞う貴重な瞬間もあり、北海道の冬を満喫していた。

 ミャンマー人のイイ・シェインさん(29)は終盤に体長14センチの大物をゲットし、「一匹も釣れなくてどうしようと思っていたけど、良い思い出になった」と大喜び。9匹を釣り上げた台湾出身のキョウ・ギョウインさん(34)も「北海道の大自然と湖上での釣り体験は未知の世界でした」と大満足していた。

 留学生一行はこの日から3日間、ホストファミリー宅に滞在、13日に羽田空港へ向かう予定。(長内 健)



◎函館市新年度予算案 1310億1600万円に 過去最大

 函館市は10日、2011年度予算案を発表した。4月に市長選を控えた骨格編成ながら、一般会計は1310億1600万円、前年度当初比2・7%増となった。生活保護費や子ども手当など扶助費の増加が要因で、当初予算額としては過去最大。特別会計と企業会計を合わせた総額は同0・8%減の2512億9500万円。西尾正範市長は「厳しい経済情勢などを踏まえ、緊急性や継続性のある事業は政策的な経費であっても計上した」と述べた。25日開会予定の定例市議会に提案する。

 一般会計は3年連続の増額。歳入は市税が前年度当初比0・3%減の319億5500万円で、景気低迷や所得水準の低下の影響を受け、市民税も同9200万円の減収を見込んだ。普通交付税は同7・5%増の348億7100万円と伸び、交付税の不足分を賄う臨時財政対策債は同15・4%減の46億5100万円に抑えた。

 市債の発行は同0・7%増の126億4400万円。財源不足は前年度を1億5200万円上回る34億5400万円で、起債の発行や基金の取り崩しで穴埋めする。基金残高は財政調整基金と減債基金を含めて13億9400万円となる見通し。

 歳出では、最も多く占める扶助費が同6・5%増の377億2500万円を計上。子ども手当の3歳未満への支給額が月1万3000円から2万円に増額されるほか、生活保護費が過去最高の208億8200万円(同8・0%増)に膨らんだことが影響した。

 人件費は職員削減などで同2・5%減の219億900万円。事業費は箱館奉行所や縄文文化交流センターの建設など大規模事業が終了した一方、市の障害児・者施設(青柳、あおば、ともえ学園)の統合や神山児童館の本格着工に伴い同2・2%増の99億4100万円となった。

 新規事業では旧函館区公会堂の保存・修理に向けた調査費のほか、DV被害者の自立支援事業補助金、柔道や相撲など中学校への武道教育教材の整備事業費、テレビや雑誌を活用した観光PRのための関係経費、ニンジンの洗浄選別やアスパラ生産用ビニールハウスの農業施設整備補助金などを盛り込んだ。(森健太郎)



◎14日に「TPP反対」決起大会 農漁協など1000人超参加

 【北斗】政府が国際交渉参加を検討している、関税の原則撤廃を目指す「環太平洋連携協定」(TPP)に反対姿勢を示す「TPPから食と地域を守る道南地域総決起大会」(実行委主催)が14日午後1時から、北斗市総合文化センター(中野通2)で開かれる。農林漁業、自治体、市町村議会、商工、消費者など50団体から計1000人超が参加する予定で、道南ではこれまでにない大規模な決起大会となる。

 実行委は、道南地区農協組合長会、渡島管内漁協組合長会、渡島管内森林組合振興会、ひやま漁協、桧山管内森林組合振興会で組織。「万一、TPPが締結されると国内農林水産業はもとより、関連産業や地域経済は壊滅的な打撃を受ける。食糧の安定供給と地域社会の崩壊につながることが想定される」と危機感を強めている。

 総決起大会では、酪農学園大学の中原准一教授が「TPPが与える影響について」と題し講演する。会場は大ホール1000席、第2会場小ホール300席で一般参加も受け付け、当日会場へ。

 TPPに参加した場合、農水省の試算では、コメ、小麦、乳製品、牛・豚・鶏肉など19品目で4兆1000億円ほどの農産物の生産減少、国内総生産(GDP)は7兆9000億円の減少、340万人の就業機会の減になると見ている。

 一方、経済産業省の試算ではTPP不参加による基幹産業の損失を、実質GDP1・53%マイナス、雇用減は81万2000人。自動車、電気電子、機械産業の3業種について、2020年に日本製品が米国や欧州連合(EU)、中国で市場シェアを失うことによる関連産業を含めた影響を試算した結果で、サービスや貿易円滑化、規制調和などで損害は拡大するとしている。(田中陽介)


◎森商工会議所が記念式典 創立60周年の節目祝う

 【森】森商工会議所(伊藤新吉会頭)の創立60周年記念式典が10日、渡島信用金庫本店で開かれた。北海道商工会議所連合会の高向巌会頭、佐藤克男町長ら来賓をはじめ、関係者約200人が出席。伊藤会頭は先人の築いた歴史を振り返るとともに「70周年に向けたスタート元年。森町のまちづくりに精根を尽くしたい」と決意を述べた。

 森商工会議所は1950年に創立発起人会を開催し、森町、旧砂原町、旧落部村を業務地区として、51年に設立認可を受けた。61年には森町大火により、事務所を焼失するなど、幾多の困難を経て、地域経済の中核を担う組織として発展を続け、現在、400社以上の商工業者が加盟している。

 伊藤会頭は「知恵と勇気と努力を結集し、地域の活性化は経済の活況であると取り組んでいく。議員、会員が一枚岩となり、必要とされる組織を目指していく」と述べた。

 式典では、前会頭の故佐藤篤司氏、元副会頭の故武蔵寿俊氏、元常議員の故富樫繁一氏の3氏に特別功労表彰が贈られたほか、永年勤続優良従業員など、各種表彰が行われた。引き続き、会場を町内のプラザ武蔵に移し、記念祝賀会が盛大に行われた。(今井正一)


◎卒業前に感謝の手料理 大妻高校食物健康科1期生が保護者招き食事会

 函館大妻高校(池田延己校長、生徒数456人)の食物健康科3年生38人が10日、校内のカフェテリアに保護者10組を招いて「感謝祭」を行った。生徒らはさまざまな料理を作りバイキング形式で提供。参加した保護者らは、子どもが真剣に活動する姿をうれしそうに見守った。

 同校では2008年度に食物健康科を新設。今年3月に第1期生として卒業する生徒らが、親への感謝の気持ちを料理に込めて振る舞いたいと企画した。

 この日は8班に分かれて朝から作業に取り組んだ。ブリ大根やチャーハン、ムニエル、パン、デザートなど多彩な料理を用意。保護者らは笑顔で頬張った。

 斉藤美緒さん(18)は、母の祐記子さんと姉の那央子さんとテーブルを囲みながら、仲間同士で作った料理を味わい、「料理が昔から好きで入学し、3年間たくさんの料理を学んだ。頑張ったぶん卒業はうれしい」と高校生活を振り返った。また、4月から東京のフグ料理専門店に就職が決まっている西川春花さん(17)は「学校の求人で見つけて、ふぐ料理に興味を持った。専門知識も必要な未知の世界。家を出る不安もあるが、今はとても楽しみ。新しい毎日が始まっても頑張りたい」と希望に胸を膨らませていた。(堀内法子)