2011年2月13日 (日) 掲載

◎奉行所駆ける赤ふん勇姿

 2011はこだて冬フェスティバル行事の一つ「五稜郭ファミリーイベント」(同フェス実行委主催、えぞ共和国主管)が12日、五稜郭公園で始まった。大抽選会のほか恒例の赤ふんダービーも行われ、レースを見守る子どもから大人までの歓声が響いた。

 午前11時に市消防音楽隊の演奏で幕開け。箱館奉行所復元に伴い、イベント開催場所は変更され、赤ふんダービーは距離を短くして行われた。北大水産学部の寮生ら約20人が赤ふん姿で登場。同大の女子学生が乗ったタイヤチューブを、腰のベルトに付けたひもで引っ張り、約70bのコースで速さを競った。元気良く走る学生に「頑張れ」「負けるな」などと声援が飛んだ。

 和歌山県出身で、今回で4年目の“出走”という北大大学院2年、河内孝文さん(25)は「距離が短くなってレースは難しかった。函館ならではのイベントを楽しめ、学生生活の思い出ができた」と話していた。

 同ファミリーイベントは13日午前9時から、どさんこ馬の乗馬体験、クイズ大会などが開かれる。(山崎純一)



◎生活保護費 新年度予算200億突破…函館市

 函館市が発表した2011年度の生活保護費は208億8300万円で、当初予算で初めて200億円の大台を超えた。高齢化や不景気などにより保護者は増加の一途をたどり、伴って増加する保護費は市財政を圧迫。10年度予算でも今後さらなる増額補正を予定しており、「減る要素が全くない」(市財務部)状況に関係者は頭を抱えている。

 函館市の保護費の当初予算は、1985年に100億円を超え約103億円に。その後は増減を繰り返すが、94年から増加傾向となった。最近では年度途中の大規模な予算増額が当たり前となり、市の予測をはるかに上回るスピードで保護者が増え、20年ほどの短期間で2倍となった。

 背景として、08年秋の世界金融危機や長引く景気低迷がある。世帯類型別での増加が目を引くのは、65歳未満の働ける世帯だ。市福祉事務所は「ここ数年は、仕事や収入のない状態が長く続いた結果として預貯金を使い果たし保護を受けるケースが目立つ」とする。

 加えて加速する高齢化も大きく影響し、高齢者世帯の割合は保護世帯全体の41.8%(昨年12月)に。保護費用のほぼ半分を占める医療費は特に伸び率が高く、10年度決算見込みでは保護費全体が前年度比16%増に対し、医療費は同19%増だ。

 全国や道内、道南でも保護者は増加傾向にあるが、函館の増加ペースは時に「異常な事態」(市福祉事務所)と評されるほど。道内での保護率の高さは昨年12月、最も多い釧路53.0パーミル(パーミル=人口1000人当たりの被保護者数)、三笠44.7パーミルに次いで3番目の44.5パーミルだった。

 同7月にこの位置となって以来三笠との差は狭まり、もはや追い抜く勢い。同月の保護率、保護者・世帯数は過去最多を更新した。10年度予算は当初の193億円に増額補正を繰り返し、18日にも約3億8000万円を積み上げる補正予算案を発表する。10年度の決算見込み額は約209億円で、過去最高となる。

 ◇新たに就労等意欲喚起プログラム事業 函館市はこれまでも保護者の自立支援を目指した事業を展開してきたが、11年度は新たに「就労等意欲喚起プログラム事業」で、異なる角度から働く意欲向上に努める。

 新年度予算に計上する費用625万円は、全額を道の「安心生活支援事業費補助金」で賄う。専門的知識やノウハウが必要となるため、4月以降に実施する事業者を公募で選定。事業開始は8月以降となる見通しで、働くことが可能な保護者を対象にカウンセリングを行い、ボランティア活動や就労体験、居場所づくりなどを通して自立を促進する。

 道内では釧路や旭川などで既に行われている。函館市の対象者は約1000人。市福祉事務所は「社会での居場所を作ることができない保護者に対し、社会参加や就労につながるきっかけをつくりたい」と期待する。(小泉まや)



◎あったか料理に舌鼓…「なべまつり」開幕

 【江差】真冬の江差を彩る一大イベント「第11回 冬 江差美味百彩=iびみひゃくさい)なべまつり」(主催・江差観光コンベンション協会)が12日、江差町本町の旧生涯学習センター体育館で開幕した。連日のように厳しい冷え込みが続く中、屋内の会場では大勢の来場者があつあつの鍋料理に舌鼓を打っていた。

 会場には、町内をはじめ上ノ国、奥尻、松前の3町、留萌市などから参加した、飲食店や市民グループなど27団体による、和・洋・中の鍋料理35種類が勢ぞろい。大勢の来場者が、新鮮な海や山の幸を生かした数々の食べ比べを楽しんだ。食べ終えた空容器を積み上げて、その数で鍋料理の人気を競う「N―1(ナベワン)グランプリ」では、新鮮なエビをトマトベースのスープで味付けした「るもい萌え鍋」(萌留B級グルメ研究会&おいしんぼクラブ)をはじめ、「奥尻ちゃんこ」(奥尻島観光協会)、知内産の新鮮なカキをしょうゆ味の汁で仕上げた「カキ汁」(本町寄来所)などが人気を呼んでいた。13日の投票結果を集計してグランプリが決定する。

 打越東亜夫観光協会長は「11回目を迎えたなべまつりは、冬の桧山を代表する食のイベントとして定着した。地元の農水産物の消費拡大に向けて、今後も上り調子で継続していきたい。13日も大勢のお客さまに心ゆくまで鍋料理を味わってもらえれば」と話している。

 入場無料。2日目の13日は午前11時から午後2時まで。鍋料理は全品1杯300円。1杯につき道南産のコメなどが当たる抽選会に参加できる。会場では、正午から、第17回江差追分全国大会優勝者の萩原克彦さんの民謡ショーと、道指定無形民俗文化財の江差五勝手鹿子舞を上演する。午後1時からは、地元有志によるもちつきとお汁粉の無料サービスもある。問い合わせは協会事務局TEL0139-52-4815。 (松浦 純)


◎「開港150周年」記念ソング 粗大ごみ収集車などで活用へ

 一昨年の「函館開港150周年」の記念ソングとして市民から歌詞を公募し、作曲家の小林亜星さんが作曲した「あれから そして今」が新年度から市環境部のごみ収集業務などで活用される見通しだ。今年に入り函館市は著作権の問題もクリアし、これまでなじみの薄かった楽曲の市民への浸透を図っていく。

 開港150周年行事で実行委の中核を担った市港湾空港部が1月上旬、市民へ楽曲を広めようと、歌の著作権を持つ小林さん側と話し合い、使用許可を求めた。小林さん側も快諾し、日本音楽著作権協会(JASRAC)からも使用許可を得た。

 市議会でも市内を巡回するごみ収集車での活用策などの意見があり、市環境部も楽曲の使用許可を取得。楽曲は粗大ごみ収集車やパトロール車がごみの分別を呼び掛けて巡回するときなどに使用する予定で、現在テープを作成しているという。

 一方、ごみ収集車には現在使用している「はこだて賛歌」が市民の間で浸透していることから、不燃・可燃ごみなど家庭ごみの収集時には現行通りとする方針。市港湾空港部では「節目のイベントで生まれた楽曲。より広く市民の耳に届いて、親しみを感じてほしい」と市民への浸透に期待を寄せている。

 市では「あれから―」を市内の中学校などにCDで配布しているほか、市役所本庁舎の総務部の電話保留音として使っている。 (黒田 寛)