2011年2月15日 (火) 掲載

◎1300人「TPP断固反対」 道南50団体総決起大会

 【北斗】政府が国際交渉への参加を検討している、関税の原則撤廃を目指す「環太平洋連携協定」(TPP)に反対する「TPPから食と地域を守る道南地域総決起大会」(実行委主催)が14日、市総合文化センター(中野通2)で行われた。渡島・桧山両管内の農林漁業、自治体、議会、商工など50団体から計約1300人が参加。「地域産業や住民の安全な生活などを守るために、道南から国へTPP断固反対の姿勢を示していこう」との大会決議を採択した。

 主催者代表で、道南地区農協組合長会の細川信一会長は「TPPに関する十分な情報がなく危機を感じ、地域を崩壊しかねないことを断じて許せない。みなさんとともに、(反対運動)国民的運動へ発展させたい」とあいさつした。

 壇上で激励した、高谷寿峰・北斗市長は「TPPには色々な問題がある。国家戦略として検討するのには否定しないが、突然の参加表明は寝耳に水だ」。寺山朗渡島振興局長は「道としても知事を先頭に国へ持続的な産業継続を求めていく」、渡島町村議会会長・脇本哲也知内町長は「将来の生活環境をしっかり守るために、国に訴えていこう」と呼びかけた。

 地元選出で民主党の逢坂誠二衆議員も登壇し「日本が何の備えもなしに入っていくのは相当な懸念がある。製造と一次産業の対立ではなく、国民と社会全体で慎重に考えるべき。」とした。

 道南地区農協青年部協議会の林昌之会長と渡島漁協青年部連絡協議会の高谷大喜会長が決意表明し、「古里を守り、国民の命を守る農林水産業を次の世代へつなげるためにも断固反対していきたい」とした。

 この後、山崎博康・渡島管内漁協組合長会会長が大会決議を読み上げ採択。桧山管内森林組合振興会の尾野輝生会長の発声で、「頑張ろう」を三唱した。

 福島町から参加した漁業の住吉国男さん(69)は「アメリカの言いなりはだめ。地方を切り捨てるような国もだめだ」。今金町の農家、岸幸子さん(63)は「食の安全問題が一番の心配。地元農業の魅力は、農家の顔の見える安心さで、TPPによって、これをなくしてはならない」。と話していた。(田中陽介)



◎江差なべまつり N−1開催、奥尻ちゃんこ初代グランプリ 

 【江差】12、13の両日に開かれた「第11回 冬 江差美味百彩≠ネべまつり」(江差観光コンベンション協会主催)では、鍋料理の人気を競う「N―1(ナベワン)グランプリ」が初めて行われ、奥尻島観光協会の「奥尻ちゃんこ」がグランプリに輝いた。

 イベントでは、町内をはじめ、上ノ国町、厚沢部町、奥尻町、松前町などから、趣向を凝らした35種類の鍋料理が出品された。会場中央の投票ブースでは、空容器を積み上げる形で、来場者お気に入りの鍋料理に投票。両日の投票総数は2285個に上った。

 ゴッコ(ホテイウオ)の切り身やホッケのすり身を野菜類とともに煮込んだ「奥尻ちゃんこ」は、独特の風味が人気を呼び255票を獲得。同協会から、優勝カップやハートランドフェリーの往復ペア乗船券などの賞品が贈られた。

 江差町の法華寺通り商店街にある住民交流スペース「寄来所(よっこらしょ)」が出品した、知内産ののカキをふんだんに使った「カキ鍋」は156票で2位に。2年連続で留萌市から出場した「萌留(もえる)B級グルメ研究会&おいしんぼクラブ」の「るもい萌え鍋」は131票で3位入賞。新鮮なエビをトマト味のスープで仕上げたオリジナルの鍋料理が好評だった。

 同協会によると2日間の来場者は約4000人。打越東亜夫会長は「函館からのバスツアーをはじめ、渡島管内や札幌など道央圏からも大勢の来場者があった。農水産物の地産地消につながる取り組みとして、今後もイベントの魅力化を図っていきたい」と話している。(松浦 純)



◎温暖化への思い 砂に込め ラ・サール高生ら制作

 京都議定書を大切に守っていこう――。函館ラ・サール高校の生徒らで構成する環境問題研究会(菊間一柊会長)が14日、大森浜(函館市湯川町3)にサンド(砂)メッセージを制作した。

 同校のピーター・ハウレット教諭がNPO法人南北海道自然エネルギープロジェクトの代表理事を務めており、生徒らに声をかけて行っている取り組み。京都議定書が発効したのは2005年2月16日で、この日を記念して毎年今時期に実施している。

 今回のメッセージはハウレット教諭のアドバイスのもと「LOVE KYOTO」に決めた。「京都議定書を愛せよ」と、議定書を大切に守っていこうという思いが込められている。メンバー15人、浜辺の寒さが身にしみるなか、約2時間作業に取り組んだ。海水を含んだ砂をザルで固めて文字を刻んだ。完成したメッセージは約30bの長さ。メンバーらは砂浜に完成したメッセージに満足そうな表情を浮かべた。

 同高2年生の菊間会長は「温暖化は進んでしまうものだと思う。しかし、なにも行動を起こさなければ変われない。地道な活動・呼び掛けから意識を変えていければと思う。この思いを後輩たちにも引き継ぎ、続けていけたら」と話していた。(堀内法子)


◎国勢調査速報 函館市人口28万人割れ 減少者数は道内最多

 函館市は14日、2010年国勢調査速報を発表した。昨年10月1日現在の市の人口は27万9110人で、2005年の前回調査より1万5154人(5.1%)減少した。人口28万人を割り込むとともに、前回調査に比べて出生者数が死者数より少ない「自然減」の増加が際立っている。道が発表した道内自治体の速報値では、函館の減少者数が最も大きい。

 市のまとめによると、本庁と7支所管内で人口が増加した管内はない。旧市域(本庁と湯川、銭亀沢、亀田支所)は26万5340人(同4.8%減)で、最も人口の多い亀田支所管内も11万8497人(同2.7%減)。

 旧4町村支所は戸井3127人(同10.6%減)恵山3555人(同13.5%減)椴法華1095人(同16.9%減)南茅部5993人(同11.3%減)と、前回調査同様、いずれも2けたの減少率となっている。05年10月〜10年9月の市内の出生数は9521人に対し、死亡者は1万6231人に上る。

 また、世帯数も1920(大正9)年の調査開始以来初めて減少に転じ、12万6243世帯(同1.7%減)となった。各管内が軒並み減少した中、亀田支所管内だけは5万1396世帯で、前回調査から302世帯上回った。1世帯あたりの平均人数は2.21人と、前回から0・08人減っており、市内の核家族化が進んでいる実態がうかがえる。

 市は人口減少の主な要因として@自然減A高卒後の進学や就職による市外への転出による社会減B産業構造の変化や漁業の衰退―を挙げるとともに、上戸慶一総務部長は「同じ市内にいながら、親子が分かれて暮らすなどの“世帯分離”が限界に達している」と話している。(千葉卓陽)


◎江差の海にニシン産卵呼び戻せ 「群来」復活願い対策協議会発足

 【江差】ひやま地域ニシン復興対策協議会が14日に発足した。古くからニシン漁で栄えた桧山地域では、ニシンの産卵により、広い範囲の海面が濁る「群来(くき)」が途絶えて久しい。近年は、稚魚放流などの取り組みで石狩湾などでは群来が復活した現状から、同協議会は「群来よ再び―」を合い言葉に、管内でも稚魚放流や産卵場所となる藻場造成に取り組む考えだ。

 協議会は桧山管内7町と八雲町、桧山振興局、ひやま漁協で組織。工藤昇上ノ国町長が会長、同漁協の市山亮悦組合長が副会長に選ばれた。

 桧山沿岸では2009年度から、振興局の独自事業としてニシン稚魚の試験放流事業を開始。09・10年の2年間で6万匹の稚魚を放流。同協議会は振興局による試験事業を引き継ぎ、新年度は桧山沿岸で8万匹の稚魚を放流する。

 道によるニシンの放流事業は、石狩・留萌管内で1996年にスタート。近年は石狩湾などで群来が復活して漁獲量も増えている。だが、桧山沿岸では1913年を最後にニシンの大群は姿を消したまま。現在は管内でニシン漁を行う漁業者はおらず漁獲データも無いという。漁網にごく少量のニシンが紛れ込むこともあるが、桧山沿岸での生息状況は謎に包まれた状態だ。

 このため、同協議会は、管内で捕獲されたニシン数や大きさなどのデータ収集とともにDNA鑑定を行いながら生態の解明を進める。また、人工採卵による稚魚放流、産卵場所となる藻場の造成なども検討する。工藤会長は「短期間で放流の成果が得られなくとも、後世に大きな水産資源を残すという心構えで、5年から10年の長いスパンでニシン復活を目指したい」と意欲を見せている。(松浦 純)