2011年2月18日 (金) 掲載

◎桧山南部 立茎アスパラ2億円突破

 【乙部】桧山南部の戦略作物として、2000年度から栽培が始まった「立茎(りっけい)アスパラガス」の販売額が本年度、生産開始から11年目で2億円を突破した。農業活性化に向けて、官民を挙げて普及に取り組んできた立茎アスパラ栽培は、さらなる生産振興が期待されている。

 17日に乙部町民会館で開かれた、桧山南部広域立茎アスパラガス生産組合(林義秀組合長)の総会で報告された。

 本年度の収穫面積は、江差、上ノ国、厚沢部、乙部、奥尻、八雲の6町で計11.2ヘクタール(対前年度比2・9%増)。販売量は過去最高の169.9トン(同18.1%増)。販売額は2億296万円(同20.2%増)。2億円の大台を超えたのは生産開始以来初めて。

 立茎アスパラ栽培は、厚沢部・乙部両町の3戸(面積17e)で2000年度に始まった。05年度までに、江差、上ノ国、奥尻、旧熊石の4町を含めて79戸(収穫面積9.2ヘクタール)に拡大。江差町では35棟の大型ビニールハウスで生産を開始。奥尻町では、異業種参入の建設会社も加わり、販売額は1億円を超えた。6町全体の収穫面積は、本年度までに2f増加。栽培農家も4戸が加わり83戸となった。

 立茎栽培は、ビニールハウスで3〜4月にかけて、春芽を収穫する。春先は露地物が市場に出る時期より早く出荷できる。5〜6月には、良質の春芽を高さ約2bの立茎に育て、6〜9月にかけて、立茎の脇から成長する夏芽を収穫する。露地物の端境期を狙い、年2回の収穫が可能となるなど、高い収益性が注目されて、道、町、新函館農協などが普及を支援してきた。

 桧山南部で、最多の収穫面積を誇る、厚沢部町の渋田正己町長は「この5年間だけで販売額は1億円増加した。立茎アスパラ生産は、桧山南部の農業を飛躍させる方向性を示している」と評価する。改行 新年度の収穫面積は、江差218アール、上ノ国94e、厚沢部591アール、乙部211アール、奥尻107アール、八雲7アールの12.28ヘクタールを計画。販売量182.2トン、販売額2億1044万円を見込んでいる。林組合長は「組合員の自助努力や関係機関の協力により3億円の販売額を目標に今後も頑張っていきたい」としている。(松浦 純)



◎会長への思い込め 天国に音色の便り…キングベークが手回しオルガン演奏会

 函館市亀田本町7のパン屋「キングベーク」で17日、手回しオルガンのコンサートが行われた。今年1月30日に94歳で亡くなった石館とみ会長が楽しみにしていた演奏会で、石館さんを慕う市民ら約30人が来店。「千の風になって」などを演奏し、天国の石館さんに届けた。

 同オルガンは店舗改装のため、敷地内にあった大きなクリの木を伐採して作った。約1年間店内に設置していたが、今回が初演になる。  オルガン製作者である谷目基さんが演奏し、「美しく青きドナウ」で華やかにスタート。谷目さんは曲の合間に楽器の解説や制作時のエピソードなどを話し、会場は終始和やかな雰囲気に。「エーデルワイス」や「涙そうそう」など約10曲を披露したのち、来場者に呼び掛けて演奏体験も行った。子どもから大人まで数名が挑戦し、函館市の男性(74)は力強くハンドルを回して見事に1曲を演奏。「曲が終わるころには汗が出てきた。かなり力がいるので男性でも大変」と話していた。

 ラストはスタッフ数名による「千の風になって」。佐々木智美副店長が「今日は会長も喜んで聴きにきてくれていると思う。心をこめて弾くので聴いてください」とあいさつ。1フレーズごとに交代し、歌を口ずさみながら弾ききると、会場は大きな拍手に包まれた。

 この日、演奏にチャレンジした駒場小1年の金子紗依ちゃん(7)は「みんなの前に出るのは恥ずかしかったけど頑張った。重かったけど演奏できてよかった」と笑顔。谷目さんは「この店のすぐ近くで育った。クリの木に登って遊んだことがあった気もする。だから、このオルガンは自分にとっても思い入れが強い。とみおばあちゃんは優しい人だったので、温かい雰囲気になるように作った。今日の演奏、喜んでくれたかな」と話していた。(堀内法子)



◎全国の「バル」集合…4月に初会議

 「函館西部地区バル街」を参考に開催している全国各地の飲食イベントの関係者が集い、4月18日午前10時から、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で「バルまち会議inHAKODATE」を開く。福岡バルウォーク実行委員会(福岡市)の提案を受け、同バル街実行委(深谷宏治委員長)が初めて企画。4月17日に開催する第15回バル街の翌日に設定した。深谷委員長は「これを機会にバル街を参考にしたイベントがさらに増えれば」と話している。

 バル街は函館で生まれ、スペインの立ち飲み居酒屋(バル)を飲み歩く風習をヒントに、参加飲食店が用意したピンチョー(つまみ)をはしごしながら楽しむイベント。西部地区の由緒ある街並みを市民に親しんでもらいたいと、深谷委員長が発案し、2004年から春、秋年2回のペースで行われている。

 近年、バル街のノウハウを取り入れたイベントが全国各地で開かれるようになり、実際に開催した市や町では、地域の特色を生かしにぎわいを創出している。

 同実行委によると、2009年以降、兵庫県伊丹市や宮城県石巻市、千葉県柏市など計画中も合わせて17カ所でバル街を参考にしたイベントが企画されている。

 会議には現在、約10団体が参加を表明していて、今後、開催を考えている地域や団体にも呼び掛けていく。内容は深谷委員長の基調講演のほか、参加団体の活動報告、意見交換を予定している。一般市民らにも公開する考えで、定員100人。

 深谷委員長は「バル街の特徴は既存のものを活用し、市民の力で運営していること。希望があればノウハウを伝えるつもり。各地のまちおこしに役に立つことが何より」と話している。(鈴木 潤)


◎未来見据え地域貢献…未来大が地域交流フォーラム

 開学10周年を迎えた公立はこだて未来大学(中島秀之学長)の地域交流フォーラムが17日、ロワジールホテル函館(若松町14)で開かれた。大学関係者や市内のIT関連会社などから約80人が出席。地域の発展に貢献していくための基本姿勢や、次の10年を見据えた研究開発などについて説明した。

 基調講演で中島学長は、日々行っている大学での研究を紹介。「日本が世界と対峙(たいじ)していくためには、情報技術の向上が必要。人工知能の分野では、未来大学は世界レベルで見てもさきがけの存在。未来を見据えて周囲と連携を図りながら、一層研究を深めていきたい」と述べた。

 産学官連携などを推進する共同研究センターの田柳恵美子特任教授が、開学からの10年と社会連携について話したほか、同大学で進めている3つのMIT@マリンITAメディカルITBモバイルIT―についての研究紹介も行った。改行 メディカルITの分野では情報アーキテクチャ学科の美馬義亮准教授が「医療を柔らかにサポートする新たな試み」と題して講演。「高齢化や医療制度の変化によって、医療現場の環境が変わってきている。さまざまな状態にある患者のケアをいかに改善するかを考え、学生らと取り組んだ」と話し、リハビリ用システムなどを紹介した。(堀内法子)


◎台湾の高校民俗舞踊団 市内中学生と交流

 七飯町文化センターで20日に開かれる「わいわいファミリー音楽祭」に出演するため来函した台湾の光啓高校民俗舞踊団「ゲロアイ・ア・ガバ」のメンバーが17日から、函館市内の中学生らと交流を図っている。

 同民俗団は台湾の先住民「アミ族」出身の同校生徒で編成する舞踊団。生徒12人と引率教諭らが16日に函館入りし、17日は同音楽祭を運営するトラベリングバンド「ひのき屋」のメンバーとともに亀田港保育園と道教大附属函館中学校を訪問した。同中学では、同音楽祭に出演する音楽部の生徒約50人と交流し、本番で上演する演目を互いに実演。同舞踊団のメンバーは祝いごとで歌われる曲など3曲を歌ったほか、同音楽部の演奏に合わせ即興でダンスを披露した。

 また、メンバー、部員が一緒になって台湾式の掛け声を発声し、本番に向けて意気込みを新たにした。

 音楽部の藤澤奨馬部長(2年)は「自分たちと一味違う音楽で楽しかった。本番が楽しみ」とし、同民俗団の潘燕琳(パン・ヤンリン)さん(18)は「音楽を通して一緒に交流できて心から感動した。本番では思い出に残るよう一生懸命踊りたい」と話していた。

 18日は市内や七飯町内の保育園を対象にした公演のほか、函館大谷短大子ども学科の学生との交流が予定されている。(鈴木 潤)