2011年2月19日 (土) 掲載

◎活性化へ駅前で連続イベント 

 JR函館駅前周辺の商業組合や販売店など9団体で組織する函館駅前活性化実行委員会(渡辺良三委員長)初のイベント「祝!東北新幹線新青森駅開業記念イベント」と「新入学・新社会人応援キャンペーン」が18日に同時スタートした。3月21日までの約1カ月間、参加店がさまざまなサービスを凝らし、週末ごとにイベントを行う。

 新幹線効果を駅前・大門の活性化につなげようと実行委を立ち上げ、今後正式に組織化する。同イベントでは週末ごとに参加団体が鍋料理を提供するなどの催しを企画し、同キャンペーンでは参加する117店が期間中継続して割り引きやサービス特典などを用意する。詳細をまとめたちらしは同日、市内に全戸配布した。

 イベントの皮切りとなったこの日の大門バルには、これまでで最大規模の45店が参加。各店とも趣向を凝らしたつまみと飲み物のセットを500円で提供した。大門横丁内の「掴み寿司 海楽」は午後5時のスタートから間もなくほぼ満席に。恋人と訪れた函館市昭和の男性会社員(32)は「ちらしを見て初めて参加した。寒いけれどこのようなまとまった催しは楽しい」と満喫していた。(小泉まや)



◎車上狙い多発 注意を

 昨年12月中旬から、函館市内の幼稚園、保育園付近に止められた車が対象となる車上狙いが多発している。犯行は子どもを施設に迎えに行く数分の間に発生し、いずれもバッグごと盗まれている。函館中央署は「どんなに短い時間でも車を離れる際は、バッグなどの貴重品を携帯し、施錠を徹底してほしい」と注意を呼び掛けている。

 同署管内では、昨年12月17日に同市松陰町で発生してからこれまでに10件を認知。被害金額は計6万5000円に上る。発生時間は午後5時〜同6時台に集中し、車から離れた5〜15分間の犯行だ。車上狙いの方法はガラス破りと無施錠の車を選んだ2パターンだという。

 同署生活安全課によると、狙われやすい車には、バッグやポーチなどが車内に置かれ、それが外から丸見えになっているという特徴がみられる。同じ場所に数台の車があっても、車内に物が置かれていない車は被害に遭っていないという。それだけに同課では「ちょっとだけだからと油断しないで、しっかりと荷物管理を」と訴える。

 今年は17日現在までに、51件(前年比8件増)の車上狙いが発生。タクシーを呼び出し、運転手に「酔っ払いを運んでほしい」などと依頼し、座席を離れたすきに金品を奪う事件も多くなっている。また、市内や近郊の公衆浴場で発生する車上狙いも依然として多いという。(小杉貴洋)



◎西尾氏、工藤氏「公約」で前哨戦

 函館市長選は告示(4月17日)まで2カ月を切った。出馬を表明している現職の西尾正範氏(62)と工藤寿樹氏(61)はともに公約を発表し、支持拡大に向けた活動を強めている。両氏とも各般の施策を打ち出した中、西尾氏が子育てや教育、福祉関係を重視している一方、工藤氏は地元経済再生や市財政の再建を掲げている。市役所出身者同士の一騎打ちとなる公算が大きく、両陣営とも「政策による戦い」に持ち込む構えだ。   (統一地方選取材班)

 ●政策の違い

 西尾氏は前回同様、「教育立市・人材育成都市の実現」「地域産業振興と雇用環境の向上」を重点目標とした中で86項目の公約を並べた。  健康づくりや子育ての充実、市民自治といったソフト面の施策が多く、主なものでは町会館を活用し、退職教員が子どもの指導に当たる「寺子屋」の創設や、1期目の目玉施策「知恵の予算」の大学・企業への拡充、ボランティア活動に対するポイント制度の創設などを挙げている。

 一方の工藤氏は「躍動する経済都市」「日本一の福祉都市」など4点の将来像を提示するとともに、92項目の施策を打ち出した。

 経済再生会議や財政再建推進会議など、新たな会合の場を設けるとするほか、低迷が続いている駅前・大門地区の活性化策として官民を複合させた商業施設の建設をはじめ、市民ギャラリーの創設、高齢者サロン開設、空きビルを活用した建設産業会館の設置などを盛り込んだ。

 中には共通する部分も多く、「函館国際水産・海洋都市構想」の推進や一次産業の後継者育成、スポーツ合宿の誘致、中国・台湾・韓国からの外国人観光客誘致や貿易促進といった面が挙げられる。

 ●活動活発化

 西尾氏陣営は水産業界や教育・文化関係団体を中心に支持を広げている。企業訪問や支持者回りでは1期4年の実績をアピールするとともに、政党からの推薦や支持は受けずに無党派で臨む。

 後援会幹部は「知恵の予算やアウトリーチ事業などが現場で喜ばれている」とした上で、「前回のような風やブームはなじまない。ものの考え方を変えようと4年間進めていった中で、積み上げてきた実績を訴えていきたい」と地道な取り組みを続ける考え。

 工藤氏陣営は建設、商業関係団体から数多く推薦を取り付けた。企業や各種団体へのあいさつ回りを進める中で、西尾氏との政策の違いを強調。選対幹部は「特に中小・零細企業で共鳴してくれる人が多い。期待度の高さは今の閉塞感の裏返し」と手応えをにじませる。

 昨年から続けている本町交差点や美原地区、JR函館駅前などでの街頭演説は既に120回を超えた。「新人ゆえ、知名度がない分は政策で勝負するしかない」と話す。

 ●政党の動向

 工藤氏は自民、民主、公明に推薦願を出しているが、西尾氏は推薦を受けない方針。

 民主党道8区総支部(逢坂誠二支部長)は14日に独自候補の擁立を断念するとともに自主投票を決めたほか、自民党函館支部(川尻秀之支部長)も19日に役員会を開いて対応を協議する。

 公明党函館総支部(茂木修支部長)も今後検討する考えだが、「道議選候補の当選が最優先」としており、優先順位は高くない。

 ある政党関係者は、西尾氏と井上博司前市長が争った前回と比較して「福祉施設建設の許認可問題が持ち上がったことで大差がついたが、今回はそうはならない。両氏に優劣はなく、きっ抗している」と分析。政策の違いが勝敗の分かれ目になると強調する。


◎「ミスはこだて」ことしも応募低調

 求む、親善大使―。「第32回ミスはこだてコンテスト」(函館観光コンベンション協会主催)の応募が、18日午前までに3人と振るわず、同協会は19日の締め切りを24日まで延長することを決めた。募集期間の延長は4年連続で、同協会は「1人でも多くの方に参加してほしい」と話している。コンテストは27日午前10時から、ロワジールホテル函館で行う。

 応募資格は市内か近郊に住む18歳以上の未婚女性(高校生は除く)。任期は4月1日から1年間で、報酬は1回の活動当たり約1万円。選ばれた3人にはトロフィーと賞金15万円のほか、旅行券やネックレスなどの副賞が贈られる。

 多い年で50人以上の応募があったが、近年は応募者の減少傾向が続き、昨年は最終でも14人。今年は同協会ホームページ内に公式サイトを立ち上げて周知に努めている。同協会は「ミスをやることで視野が広がり、外見的にも洗練されてくる。人間形成にもプラスになるはず」と応募を呼び掛けている。

 申し込みは所定の応募用紙に上半身の写真1枚を添付し、〒040-0054、函館市元町33の14、函館国際観光コンベンション協会へ郵送するか持参する。問い合わせは同協会電話0138-27-3535。(千葉卓陽)


◎万一に備え命のバトンを 「絆21」で配布中

 函館市白鳥町6の在宅介護支援グループ「絆21」(大田夏美代表)は昨年夏から、自分の医療情報をまとめて保管する救急医療情報キット「命のバトン」を有料で配布している。万一の事態に備え、救急隊が高齢者らの情報を即座に把握できるツールで、これまでに130本配布。大田代表(72)は「命を守る一つの手段になるのでは。この取り組みが全市的に広がれば」と期待し、さらなる利用を呼び掛けている。

 1999年発足の同グループは、ヘルパーや元看護師ら30〜70代の女性でつくるボランティア団体。一人暮らしの高齢者を対象に食事会を開くほか、ちぎり絵や健康マージャンなど7つのサークルで利用者を楽しませている。

 命のバトンは災害や急病に備え自分や家族、知人の住所や名前、通院先、常備薬などの情報を専用シートに記入し、容器に入れて冷蔵庫に保管する取り組み。保険証や免許証の写し、自分のスナップ写真なども入れておくと便利で、利用者が救急搬送される場合、迅速な救命措置につながる。全国的な取り組みを知った大田代表の発案で始めた。

 容器はプラスチック製の円筒型。容器の存在を周知する「お願いカード」も付いており、玄関のドアの内側や固定電話の近くに貼っておく。

 大田代表によると、これまでキットがその効果を発揮した例はないというが、「もしもに備えて必要とする人が申し込んでいく」という。

 「高齢者の中にはきちんとシートに記入できない人もいて、我々が付き添わなければならない現状もあるが、まずはキットの存在を知ってもらえれば」と話している。

 1本500円。申し込みや問い合わせは「絆21」電話0138-41-7058。(長内 健)