2011年2月2日 (水) 掲載

◎幻想の明かり 冬の函館包む…光の小径始まる

 ワックスキャンドルのほのかな明かりで函館市西部地区を幻想的な世界に包み込む「はこだて『光の小径』」が1日、始まった。元町公園や函館ハリストス正教会など観光名所にキャンドル600個が点灯。冬の函館の魅力を再発見する「点灯ウォーク」も始まり、観光客や市民が散策しながら冬の夜を満喫した。

 「2011はこだて冬フェスティバル」(同実行委主催)の一環。光の小径は市民手作りによる約5000個のキャンドルを通じ、観光客との心をつなぐイベント。基坂などに電飾が施される「はこだてイルミネーション」も同日開催した。

 「点灯ウォーク」では、観光ボランティア6人が元町公園や港が丘通り、八幡坂などを案内しながら伝統的建造物の歴史を解説。参加者は耳を傾けながら、ゆらゆらと揺れるキャンドルの光を楽しんだ。また、今年初めて函館聖ヨハネ教会周辺にキャンドルを設置。教会前の階段には見事な光の回廊が続き、大勢が写真に収めていた。

 ゴールはカフェ・ペルラ。市内のホテルの宿泊券など豪華景品が当たる抽選会も行われ、盛り上がった。

 普段西部地区を歩かないという函館在住の高橋真紀子さん(36)は今回初参加。「きれいなキャンドルを見ながら自分の知らない歴史が学べて楽しかった」と喜んでいた。

 光の小径は12日、点灯ウォークは3日まで。(長内 健、山崎純一)



◎知内町長に大野氏初当選

 【知内】任期満了に伴う知内町長選が1日告示され、同日午後5時で立候補の届け出を締め切った結果、新人で前副町長の大野幸孝氏(59)=無所属=以外に届け出がなく、大野氏の無投票での初当選が決まった。同町の町長選挙は1995年から5期連続で無投票となった。

 当選が決まり、町元町の後援会事務所で支持者から祝福を受けた大野氏は「無投票で町長の任を担うことになり、責任の重大さをひしひしと感じている」と語った。

 現職の脇本哲也町長の現任期限りでの退任表明を受け、昨年11月に出馬を表明。1次産業の振興に力を入れた脇本町政の継続と発展を掲げたほか、子育て支援の充実や雇用創出などを公約の柱とした。

 大野氏は1951年、同町出身。木古内高校卒。71年に町役場入り。企画課長、総務課長を経て、2002年に収入役に選任。06年から助役、副町長を務めた。

 また、同日告示された町議補選(欠員1)には、新人の吉田峰一氏(63)と元職の金澤千代治氏(83)=いずれも無所属、届け出順=の2氏が立候補を届け出た。投票は6日午前7時から午後7時まで町内13カ所で行われる。1月31日現在の選挙人名簿登録者数は4369人(男性2093人、女性2276人)。(松宮一郎)



◎「持ち直しの動き一服」…1月道南経済動向

 日本銀行函館支店(市川信幸支店長)は1日、1月の道南地方の金融経済動向を発表した。公共投資は新幹線関連工事が下支えし、民間設備投資に持ち直しの兆しがみられるが、個人消費はエコポイント制度の駆け込み需要の反動から家電販売などが落ち込み、全体では「持ち直しの動きが一服している」として景気判断を2カ月連続で据え置いた。

 公共投資は、国や地方公共団体分は減少しているものの、新幹線関連工事が下支えしており「希望がある」状況だ。昨年12月の請負額は2カ月連続で前年同月を上回り、1、2月も引き続き発注される見込み。判断の上方修正は2009年6月公表以来1年8カ月ぶりとなった。

 対して個人消費は「全体として足踏みの状況にある」として下方修正し、全体の判断で公共投資の好材料を打ち消す格好となった。主要小売店(10社)では昨年12月、冬物衣料品や歳暮商戦がさえず、前年同月を3カ月連続で下回った。加えて家電販売は、エコポイント制度変更前の駆け込み需要の反動から、薄型テレビを中心に大きく落ち込んだ。新車登録台数も、エコカー補助金終了の影響で、普通・小型車が同4カ月連続で下回っている。

 同支店は独自の調査で、これら購入支援策の影響を試算。自動車は0・51カ月分、家電製品では4・43カ月分の需要が前倒しとなり“先食いされた”状態との見解を示した。家電により強い影響が表れた要因としては、テレビ放送の完全デジタル化を控えた買い換えの必要性が影響した可能性を挙げた。

 このほか、観光については、主要ホテル(20社)の宿泊客数や五稜郭タワーの搭乗率が前年同月を上回り好調な一方、函館空港の乗降客数と函館山ロープウェイの利用者が下回った。

 今後については、青森の新幹線開業などの影響で観光客数が増加していることや、初売りなどが好調なことから、市川支店長は「先行きは明るい材料があるが、楽観は禁物」とした。(小泉まや)


◎【命を見つめて・第1部がん編A】格差ない地域 連携が鍵

 国は2007年4月、がん対策基本法を施行し、がん医療対策に本格的に乗り出した。各市町村でもがん検診受診の啓発を強化し、どの地域でも平等にがん医療が受けられるよう整備を進めている。

 その一つが、がん診療連携拠点病院の指定だ。どの地域でも格差なく質の高いがんの診療が受けられるよう、厚生労働省が一定条件を備えた医療機関に対して認可している。道南では市立函館病院(港町1、木村純院長)が07年1月に、函館五稜郭病院(五稜郭町38、老松寛院長)が09年2月に指定された。

 両病院とも指定を受ける2、3年前からがん医療の充実化に向け、取り組みに着手。市立函館病院は06年7月にがん相談支援センターを開設した。診療部門とは独立していて、患者や家族らを対象にがんにかかわるあらゆる相談を受け付け、専従の看護師を中心に医師や医事職員、認定看護師ら専門スタッフが対応に当たる。開設以来相談件数は増加し、昨年は500件以上に上る。同病院の八幡範勝看護科長は「治療のこともさることながら、医療費の相談も増えている」と話す。

 院内の医療体制の整備と合わせて、さらに他の市内、道南の医療機関とインターネットを活用した連携、情報共有化を進める。木村院長は「慢性的な医師不足など今抱えている課題を克服し、地域全体で医療の質を高めていくことががん医療の向上にもつながる」と語る。

 一方、五稜郭病院も指定前の08年6月にがん相談支援室を開設し、認定看護師や医療ソーシャルワーカー、薬剤師など専門の職員を配備。拠点病院が制度化される前から地域連携クリティカルパス(診療計画表)を導入しており、同病院では5大がん(胃、大腸、肺、肝臓、乳)に特化した連携パスを実施し、地域の医療機関とネットワーク化を構築する。

 また、同病院は「日本臨床腫瘍研究グループ」(JCOG)の「胃がん外科グループ」で実施する臨床試験に道内で唯一参加している施設。JCOGでは、医師主導の多施設共同の臨床試験を行っており、同グループの一員の高金明典診療部長は「臨床試験を繰り返し行うことで市民も最新の医療を受ける機会が広がる」と話す。

 拠点病院として医療体制の整備が進められたが、今後さらにがん患者が増加することが予想される。高金部長は「拠点病院として地域で完結できる医療体制を目指すとともに、患者の心のケアや家族のサポートなどにも取り組む必要がある」と話す。


◎名誉市民に「感無量」…北斗 海老沢前市長に称号贈呈

 【北斗】北斗市で初めての名誉市民顕彰式が1日、市総合文化センターで開かれた。旧上磯町長、初代北斗市長として通算35年間首長を務め、新市の礎を築いた海老沢順三前市長(78)に「名誉市民」の称号を贈り、その栄誉を歴史に刻んだ。高谷寿峰市長から顕彰状と名誉市民章を受け取った海老沢前市長は「終生忘れることのできない名誉であり、感無量」と謝辞を述べた。

 海老沢前市長は1932年生まれ。旧上磯町職員を経て、75年の町長選で初当選し、連続8期31年間務めた。この間、北海道町村会会長など、要職を歴任。隣接する旧大野町との合併を主導し、新市誕生後の2006年3月には、三つどもえの市長選挙を制して初代市長に就任した。旧両町の住民の融合、融和を訴え、一体感醸成と新たなまちづくりに尽力し、1期4年の任期満了に伴い、昨年3月に勇退した。

 式典で、高谷市長は「市民が誇れるまち北斗市を築き上げ、地方自治の進展に多大な功績を残されたことは、わが郷土の誇り。市民5万人を代表して、心からの感謝を込めて、名誉市民の称号を贈ります」と功績をたたえた。

 あいさつに立った海老沢前市長は、合併から新市誕生にいたる首長としての活動を振り返るとともに、今後のまちづくりにエールを送り、「この感激を心に深く刻み、心の支えとして、今後とも北斗市のため、微力を尽くしてまいりたい」と述べた。(今井正一)