2011年2月20日 (日) 掲載

◎赤井川小で休校式 生徒8人感謝込め 別れの校歌

 【森】児童数減少に伴い、本年度で休校となる赤井川小学校(三上裕子校長、児童8人)は19日、同校で休校式を開いた。歴代教職員や町関係者、地域住民ら約140人が出席。将来の再開にわずかな希望を残し、地域とともに64年の歴史を刻んだ学校に感謝をささげた。

 同校は1947年、駒ケ岳小学校の分校として開校し、52年に独立。60年には赤井川中学校を併置(81年に閉校)した。ピーク時の59年には94人の児童が在籍したが、徐々に児童数が減少し、2008年度以降は児童数8人の状態が続いていた。

 式典で、佐藤克男町長は「ひとときでも赤井川小学校の明かりを消すのは残念であり、みなさんの寂しさ、断腸の思いを拝察する。教育、文化のともしびは今後の地域のエネルギーとして生かされていく」と式辞を述べた。休校実行委員長を務めた赤井川町内会の伊藤秀信会長は「地域にとって、学校の存在は生活のすべてにかかわり、文化発信の中心を失うのは大きい」と寂しさをにじませた。

 また、三上校長は「駒ケ岳のすそ野の豊かな自然で、子どもたちの情操教育を進め、地域と共に歩んできた。昨今の社会状況下に求められているのは、地域と感動を分かち合う本校の教育ではないかと思う」と述べた。

 在校生全員が学校生活の思い出を発表し、児童会長の野崎優里さんは「自然に囲まれた赤井川小学校を私たちは大好き。卒業して訪ねる学校がなくなるのは寂しい」と話した。児童たちの姿に出席した地域住民らは涙ぐみながら、最後に、全員で校歌を斉唱。引き続き、グリーンピア大沼に会場を移し、思い出を分かち合った。(今井正一)



◎DV被害者への支援強化 新年度から函館市

 函館市は、DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者の保護や支援体制を強化する「配偶者等暴力被害者自立支援事業補助金」を新年度から創設する。被害相談場所となっている市女性センター(東川町11)の改修や、DV被害者を支援するNPO法人ウィメンズネット函館への助成を通じて、物理的・心理的に被害者の総合的支援を行う狙いがある。

 新年度予算案に計上されたのは、女性シェルター運営補助金、DV被害者支援事業補助金それぞれ100万円の計200万円。国からの地域活性化交付金事業費(住民生活に光をそそぐ交付金)を活用する。

 女性センター内に設けられた被害者相談所に関して、「声が外に聞こえ、プライバシーが守られない」という意見が寄せられたことなどを受け、市は新たに相談所の壁を防音にするほか、じゅうたんを敷くなどして防音効果を高める。

 ウィメンズネット函館への助成は▽被害者を保護するシェルター施設の環境改善▽DV被害を受けた子どもの心理的サポート▽DVによる心の傷で、学校に行けない子どもに家庭教師をつける▽スタッフの人件費補助—などを行う。市は資金面で支援することで、被害者支援団体の精力的な活動を促していく考えだ。

 市男女共同参画課は「道内でDV被害者を受け入れる公的シェルター(避難所)は札幌市と旭川市の2カ所しかないのが現状。函館で活動する民間団体への助成を国から得られたので、運営面での支援につながれば」と話している。(黒田 寛)



◎自殺防止へ連携確認 市民ネット「きづき、つながるために」が設立

 函館市内の市民団体が連携し自殺防止の啓発などに取り組む自殺対策市民ネットワーク「きづき、つながるために」が19日、設立された。同日、市総合保健センター(五稜郭町)で設立研修会が開かれ、承認された。

 自殺予防対策事業を進めている市とは別に市民レベルでも活動していこうと、有志の市民が昨年11月に準備会を立ち上げ、設立を目指していた。

 設立研修会には趣旨に賛同する団体の関係者ら約50人が出席。冒頭、準備会の竹花郁子さんが設立の趣旨や活動内容を説明。@専用相談電話の設置、支援A自死遺族の会の設立B各団体同士の情報交換、研修、啓発活動—の3項目を柱に活動していく考えを示し、「各団体が緩やかに連携しながらネットワークを形成していきたい」と述べた。

 また、ネットワークに参画する8団体の代表や関係者が活動報告。毎週木曜に認知症の電話相談ボランティアを行っている函館認知症の人を支える会の松倉養子さんは「自殺抑止には仲間がいること、人とのつながりがあることがとても大事だと思う」と話し、傾聴ボランティア活動を行う「北海道メンタル評議会」の弘田義江理事長は「自殺問題は常に存在する。ネットワークの充実化は大切」と意義を唱えた。

 このほか、道教大函館校の森谷康文専任講師が「市民で進める自殺対策の課題を検討するために」と題して基調講演。自殺は生活苦や事業不振などさまざまな危機要因が連鎖して起きていることを伝え、各団体が共通認識に立ってネットワーク化を図ることが必要と説いた。(鈴木 潤)


◎「立派な自衛官になって」市長ら入隊予定65人を激励

 自衛隊入隊(校)予定者の激励会が19日、函館市民会館(湯川町1)で行われた。入隊(校)予定の65人は、西尾正範函館市長や関係者から励ましの言葉を受け、保護者らが見守る中、自衛官としての自覚をかみしめていた。

 函館市、函館市自衛隊父兄会が主催した。

 主催者あいさつで西尾市長は「日本の平和はもとより、世界の平和を守るため貢献してほしい」と語り、「日々訓練に励み、立派な自衛官になってください」とエールを送った。

 続いて市自衛隊父兄会の佐伯龍彦会長が「若くフレッシュなみなさんの入隊を歓迎する。今までの家庭や学校での生活と大きく変わるが、自分が選んだ道と心を決めて、我が国の平和と安全を支える存在として活躍を期待している」と述べた。

 会場では高橋はるみ知事などからの祝電が読み上げられ、入隊予定者向けの激励メッセージもDVD放映された。入隊予定者は真剣な表情で壇上を見つめ、話に聞き入っていた。(黒田 寛)


◎函館市長選 自民も「自主投票」 支部決定

 自民党函館支部(川尻秀之支部長)は19日に開いた役員会で、4月24日投開票の函館市長選への対応を協議し、自主投票とすることを決めた。同支部によると、函館市長選での自主投票は初めての措置としている。

 市長選には現職の西尾正範氏(62)と前函館市副市長の工藤寿樹氏(61)が出馬を表明している。同党には1月下旬に、工藤氏から推薦願が出されていた。

 同支部は「両氏の政策にはそれぞれ共有できる部分がある。一方的に絞ることはできなかった」と説明。その上で、市議選で公認する候補者や同党支持者の支持の意向にばらつきがあることから「個々の判断を尊重したい」としている。

 市長選をめぐっては、民主党道8区総支部が自主投票を決めているほか、函館商工会議所の政治団体、日本商工連盟函館地区連盟は「中立の立場を取る」としている。(千葉卓陽)