2011年2月21日 (月) 掲載

◎名芝居に1300人喝采「初春巴港賑」

 道南の各界名士が歌舞伎を演じる「初春巴港賑(はつはるともえのにぎわい)」第33回公演が20日、函館市民会館(湯川町1)で開かれた。今年は3年ぶりに歌舞伎十八番の名作「勧進帳」などを上演。心揺さぶる名芝居の数々に観客約1300人は喝采を送り、伝統芸能を堪能した。

 実行委(今均実行委員長)と市文化・スポーツ振興財団(金山正智理事長)が主催する毎年恒例の歌舞伎。函館新聞社後援。

 初めに行われた口上では、西尾正範函館市長が「今年の秋には縄文文化交流センターができる。函館の歴史と文化を誇れるまちづくりができるよう力を尽くす」と決意。函館中央郵便局の吉崎孝俊局長は「今年は郵便事業創業から140年の節目。函館の皆さまにより良いサービスを提供していくのが私たちの務めだ」と力強く述べた。

 源義経の逃亡をめぐる武蔵坊弁慶と関守の富樫左衛門の山伏問答が見せ場の「勧進帳」では、主役2人が絶妙な掛け合いを披露。東京から特別出演した長唄連中の伴奏も、人情味あふれる名調子を盛り上げた。

 遊女をめぐる男の刀傷沙汰騒動を描いた「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」では、人間の悪知恵や恥に忍ぶ男の姿が演じられる一方、ユーモアある芝居や、せりふを忘れる思わぬハプニングが起き、どっと沸く場面も。恒例の「白浪五人男」では立ち回りが決まると盛んな声援が送られていた。

 初めて同公演を観賞したという鈴木厚子さん(68)は「素人歌舞伎ながら人情味ありユーモアありで最高だった。昔の日本人の生き方を感じることができた」と満喫していた。(長内 健)



◎旬のカキ、ニラ 過去最高6500人来場

 【知内】特産のカキとニラを提供するイベント「第13回しりうち味な合戦冬の陣カキVSニラまつり」(実行委主催)が20日、町スポーツセンターと町中央公民館で開かれた。旬を迎えたカキとニラの味を満喫しようと、会場には家族連れら約6500人が訪れ、にぎわった。

 メーン会場のスポーツセンター前には開場前から大勢の人が列を作り、イベント開始と同時に目当ての料理を販売するブースに人垣ができた。「創作料理合戦」と題し、町内の飲食店や生産者団体がアイデア料理を提供。来場者はあんかけラーメンやカレーピラフなどの料理に舌鼓を打った。また、カキを炭火で焼いて食べるコーナーも人気で、用意した1万2000個が完売した。

 中央公民館ではカキとニラを産地価格で販売。カキは殻付き25個入りの箱を2000円で提供。1束100グラムのニラは1万8000束用意したが、どちらも次々と売れ、午前中で売り切れるなど大盛況。

 知内町ニラ生産組合の石本顕生組合長は「厳しい寒さの影響で無加温栽培のニラの生育が遅れていたが、ここ数日の好天で遅れを取り戻すことができた。イベントに間に合って良かった」と胸をなでおろしていた。

 実行委では来場者を約5000人と見込んでいたが、予想を大幅に上回り、過去最高の人出となった。大野幸孝町長は「町内外から多くの人に足を運んでもらい感激している。カキとニラが安心、安全な食品として認知された証しであり、生産者の努力のたまもの」と話した。

 初めて会場を訪れたという函館市の会社員、三浦敏也さん(52)と妻の江美子さん(51)は「焼きガキをたくさん食べた。新鮮なのでおいしかった」と笑顔で話していた。(松宮一郎)



◎日曜日の乳がん検診に30人 国立函館病院

 国立病院機構函館病院(石坂昌則院長)は20日、函館市川原町の同病院で「マンモグラフィーサンデー」と称して、日曜日の乳がん検診を行い、約30人が受診した。合わせて専門職による講演会を開くなどし、乳がん予防にかかわる啓発活動も行った。

 日曜日の検診は、NPO法人が企画した運動の一環で昨年10月に行って以来、2回目。国で発行した乳がん検診を無料とするクーポン券の利用促進と、休日の検診を実施してほしいという声を受けて今回独自で企画した。

 院内では、検診のほか、乳がんにかかわる相談コーナーを開設。講演会では、リンパ浮腫指導技能者資格を持つ藤尾彩子看護師と、栄養管理室の木幡恵子室長がそれぞれリンパ浮腫の対処策や食事の取り方についてアドバイスした。

 藤尾看護師は、リンパ浮腫について「手術の際、リンパ節の切除によって腕や足が太くなり、完治が難しいとされている。腕の太さが左右差1センチ以上であればリンパ浮腫と疑って」と説明した。

 木幡室長は、日本人の最近の栄養摂取の傾向について「肉や魚など脂質やタンパク質が多い」と指摘し、不足傾向と言われているビタミンやミネラル、食物繊維を含んだ野菜、果物を多く取るよう推奨。具体的な量や食べ方を解説し、「食事は適正なカロリー、栄養バランスを考えおいしく食べて」と話した。(鈴木 潤)


◎高卒採用企業に15万円支給 「補助金」新年度も継続

 函館市は、高校の新卒者を半年間雇用した市内の中小企業に補助金15万円を支給する「雇用奨励補助金」について、新年度も継続することを決めた。新年度からは補助対象となる新規高卒者の枠組みを2009〜10年に卒業した未就職の既卒者にも拡大し、地元企業の求人増や若者の地元定着を目指す。

 同補助金は、市の経済・雇用対策の一環で、本年度から始まった制度。新規高卒者を6カ月間雇用した市内の中小企業に対し、1人当たり15万円を支給する。本年度はこれまでに72社から165人分の申請があった。

 ただ、高卒者は採用されてから1年以内の離職率が高く、当初予算4800万円で目標としていた320人分を大幅に下回った。本年度の支給額ベースでは100人程度にとどまる見通しで、新年度の予算案では240人分に当たる3600万円に減額された。

 新年度からは景気低迷で厳しさを増す高卒者の求人拡大に向け、新規高卒者の条件を前年度に卒業した人に加え、08、09年度の既卒者で、卒業後1年以上継続して同じ事業所で正規雇用された経験がない人にも拡充。高校を中退した人などのため、対象となる年齢も引き上げた。

 市は今年に入り、市内の経済団体や高校などに補助金の制度を知らせる案内を配布し、申請の受け付けを始めたが、18日現在で14社・21人分の申し込みしかなく、前年度の同時期と比べても出足が鈍っている。

 市労働政策室は「厳しい経営環境の中、社会経験のない高卒者の採用に企業は二の足を踏みがちなのが実態。制度を活用してもらい、1人でも多くの若者が地元で就職できるよう、求人を増やすきっかけにしたい」としている。問い合わせは同室TEL0138・21・3308。(森健太郎)


◎渡島信用金庫南茅部支店40年ぶり移転

 渡島信用金庫(森町)は、函館市川汲町の南茅部支店を設置から約40年ぶりに移転する。同町内の国道278号バイパス沿い、函館市南茅部支所に近接する土地を取得し新たな店舗を建設中で、28日にオープンする予定。規模は現在とほぼ同じで、顧客に対応する応接スペースや駐車場を広くする。同信金は「支所に近くなるので利便性が高まる」とする。

 現在の店舗は1971年に旧臼尻・尾札部支店を統合して設置した。海岸沿いの国道278号に面しており、建物の老朽化が課題だった。移転に当たっては、設備投資額が抑えられるため一時は同市南茅部支所1階の空きスペースへの入居を検討。市との協議を行い、一方の市は条例改正などで対応したが実現しなかった。

 新店舗の場所は同支所より300メートルほど鹿部寄り。空き地を取得し、鉄筋コンクリート一部木造の建物を新築した。1階と一部地下1階の延べ床面積は約190平方メートル。カウンター3つとATM1台を備え、職員8人を置く。同信金の支店としては一般的な規模となる。これまで5台だった駐車スペースは10台に増設。建物はほぼ完成しており現在は内装工事中だ。

 同信金の店舗数は14店。同金庫は3月5日に創立100周年記念式典を予定しており、「同支店の建て替えは100年を迎えるに当たっての課題だった。地域の人口が減る中でも同じ規模の支店を維持したい」と話している。(小泉まや)