2011年2月9日 (水) 掲載

◎水産高校生16人 本州南東へ船出…実習船「若竹丸」

 函館水産高校と小樽水産高校の専攻科1年生らを乗せた実習船「若竹丸」(666トン)が8日、函館港から本州南東岸海域へ向けて出港した。岸壁には実習生の家族や友人らが見送りに駆けつけ、安全な航海を願った。

 函館水産・機関科9人と小樽水産・漁業科7人が参加。関東以南から四国近海で、マイワシやサバ、カタクチイワシなどの稚魚を採取し、産卵生態を調査する。

 生徒は1月末から函館港岸壁で停泊実習に入り、この日に備えてきた。出港前に岸壁でセレモニーを予定していたが、吹雪のため、船内で関係者が実習生を激励。吉野威(たけし)船長は「平常心を持ち、漁業実習に臨んでもらいたい」と呼びかけた。

 出港時刻の午前10時前、実習生がデッキに姿を見せると、岸壁で待つ保護者らが船に近づき、「体に気をつけて頑張ってね。成長して帰ってこいよ」などと手を振っていた。

 七飯町から見送りに来た春藤縁さん(46)は、息子の仁嗣君(19)に靴下とジュースを手渡し「親の願いはただ一つ。子どもが健康で無事に帰ってきてもらうこと」と目を潤ませながら話していた。

 若竹丸は3月11日に小樽港に入り、翌12日に函館港に戻って実習を終える予定。(田中陽介)



◎新幹線「はやぶさ」デビュー前に仙台で青函観光PR

 函館市と青森市は15日から、東北新幹線の新型車両「はやぶさ」が3月5日に導入されるのを前に、仙台を中心とした観光プロモーションを行う。新幹線にちなんだ道外での観光PRは新青森開業後初めて。青函の観光資源を広くアピールし、春夏の観光シーズンの誘客につなげたい考え。

 両市でつくる青函観光宣伝協議会の主催。15、16日と2日間の日程で、「一大マーケットである仙台にターゲットを絞り、集中的に青函の魅力を宣伝する」(市ブランド推進課)ことで、宮城エリアと青函圏の交流人口の拡大を目指す。

 両市の観光担当者やミスはこだて、ミスねぶたのほか、観光キャラクターの「イカール星人」(函館市)と「ハネトン」(青森市)の総勢6人と2体が、「青森・函館観光PR隊」を結成。宮城県庁や仙台市役所、県内の報道機関などを訪れる。

 同課は「九州新幹線の全線開通や北陸新幹線の開業も控え、4年後の北海道新幹線開業までをどうつなげていくかが課題。観光客誘致の地域間競争を勝ち抜くため、はやぶさの導入でより早く、近くなる青函を仙台の人に売り込みたい」としている。

 一方、渡島総合振興局も18〜21日までの4日間、「みなみ北海道観光PR」と銘打った首都圏での道南プロモーションを展開。職員ら約10人が都内の旅行会社を訪れるほか、20、21の両日はJR大宮駅構内で道南産米「ふっくりんこ」やさきいかなどを各日200個ずつ配り、道南観光をPRする。(森健太郎)



◎市民の力で自殺防ごう…6団体連携 ネットワーク設立へ

 函館市内の市民団体が連携し19日、自殺対策市民ネットワークを設立する。今後、行政側とも連携しながら自殺防止に向けた啓発や自死遺族の支援などに取り組む。参画を表明している団体の関係者が同日午後1時半から、市総合保健センター(五稜郭町23)に集い、設立研修会を開く。

 自殺予防対策事業を進めている市とは別に市民レベルでも活動していこうと、有志の市民が昨年11月に準備会を立ち上げ、設立準備を進めてきた。

 ネットワークでは@専用相談電話の設置、支援A自死遺族の会の設立B各団体同士の情報交換、研修、啓発活動—を柱に活動していく方針。準備会の1人で、DV被害者の支援などに取り組んできた竹花郁子さんは「各団体が緩やかに連携し、行政と協働しながら自殺対策に取り組んでいきたい」と話す。

 ネットワークには、福祉や精神保健などの分野で相談ボランティアをしている市民団体に参加を呼び掛けた。

 19日の設立研修会では、道教育大函館校の森谷康文専任講師が市民の自殺対策にかかわる基調講演をするほか、市立函館、渡島の両保健所担当者が市や道の自殺対策について説明する。このほか、ネットワークに参画予定の6団体の活動報告も予定されている。

 研修会には一般市民も参加でき、無料。問い合わせは竹花さんTEL0138・23・2504。(鈴木 潤)


◎歴風文化賞に4件

 函館の歴史的風土を守る会(歴風会、落合治彦会長)は、2010年度の「歴風文化賞」を発表した。歴史的な建造物の貴重性、持ち主の保存に対する努力や、郷土文化、景観へ寄与した個人などをたたえるもので、本年度は保存建築物として「石崎滋邸」(元町29)と「二本柳旅館」(豊崎町64)、特別賞に「みかづき工房」(弥生町23)、原風景に「基坂」の4件が選ばれた。

 歴風文化賞は1983年度から始まり、本年度で28回目。函館や近郊の歴史ある建造物などを後世に残そうと、毎年表彰している。

 石崎邸は1937(昭和12)年、弁護士事務所兼住宅として建てられた木造2階建て、和洋混合の建築物。昭和初期の函館における事務所兼住宅の歴史を知る上で貴重とされた。1、2階とも洋室を基本とし、1階には先祖から伝わる120年を超える仏壇のある仏間と和室もある。窓ガラスも多く、開放的な室内となっている。

 二本柳旅館は33(同8)年に旅館兼住宅として建てられた。昭和初期は主に行商人が、現在は観光客や工事関係者などが宿泊する老舗旅館。木造2階建てで、1階の食堂は豪華な書院造りで、柱にヒノキ、床柱には黒檀(コクタン)が用いられている。昭和初期における旧南茅部地区の旅館兼住宅の歴史を知る上で貴重な建築物であることが評価された。

 みかづき工房は明治後期に土蔵部分、大正初期に木造2階建ての店舗兼住宅が設けられた和風の建築物。当時、店舗部分は質屋として利用され、現在は、昔の建具や材料をそのまま生かして改修し、歴史的な雰囲気を生かした喫茶スペースとなっている。函館市における明治から大正期の店舗兼住宅の歴史を知ることができる。

 基坂は、旧函館区公会堂など歴史的な建築物が石畳の坂を彩っており、函館の歴史を長年見つめ続けていることで原風景とされた。(山崎純一)