2011年3月11日 (金) 掲載

◎「26年間ありがとう」…巡視艇「すずらん」解役式

 26年間、警備救難業務に関わってきた函館海上保安部の巡視艇「すずらん」(23トン)が10日、任務を終了し、函館中央ふ頭で解役式が行われた。関係者約30人が出席し、同艇のこれまでの実績をたたえた。

 同艇は1984年11月、八戸海上保安部の新鋭巡視艇「むつぎく」として就役。2007年に函館海保に配属替えとなり、船名を「すずらん」に変更した。津軽海峡及び周辺海域を中心に警備救難業務に従事、航続距離は地球6周分に相当する約23万キロとなっている。これまでに航行不能となったイカ釣り漁船のえい航救助などに携わってきた。

 解役式で函館海保の中村清部長が「救助作業のほか、悪質な密漁者の摘発や不法投棄事案の取り締まりは高く評価でき、十分貢献していただいた」と式辞を述べた。献酒や船型番号の抹消など終え、最後の乗組員となった菅原秀隆船長(52)を含む5人が、「26年間ありがとうございました」と敬礼した。

 菅原船長は「この型の船は現在では珍しく、船長として2年間乗船したので感慨深い」と話していた。(小杉貴洋)



◎生活保護率 全道2番目に…函館市

 函館市の1月の生活保護率は44.6パーミル(パーミル=人口1000人当たりの被保護者数)となり、前年同月(42.6パーミル)と前月(44.5パーミル)をそれぞれ上回り、保護率、保護者数ともに3カ月連続で過去最多を更新した。これに伴い道内市部での保護率は、三笠を抜き釧路に次ぐ2番目の高率に。22人に1人は保護者がいるというかつてない状況だ。

 同市の保護率は不況などの影響で、ここ数年は季節にかかわらず急激な増加を続けている。昨年10月にはいったん前月比減に転じたものの、保護を受けやすい冬期(11―3月)を迎えた同11月からは再び増加の一途。この3カ月間に保護率は0・8ポイント増えた。1月の保護者数は前月比19人増の1万2570人、保護世帯数は同11世帯増の8913世帯となった。  全道の市部での函館の位置は、昨年1月に3番目に。一時は4番目となったが、同7月からは再び3番目だった。今回はこれまで2番手だった三笠が前月比0.2ポイント減の44.5パーミルとなり、逆に増えた函館と位置が交代した。

 最も高い釧路(53.1パーミル)との差は8.5ポイントと小さくはないが、狭まることに対して関係者の危機感は募る。また全道平均の26.5パーミルと比較すると圧倒的に高く、函館市福祉事務所は「事態を厳粛に受け止める」とする。

 止まらない増加について市福祉事務所は、地域経済の低迷や都市に保護者が集まる仕組みを挙げ、「函館地方の平均賃金が道内で2番目に低いことも無関係ではない」と低賃金による就労意欲減退を指摘する。対応としては自立支援に引き続き力を入れるという。

 隣接する北斗市の保護者数は、前年同月比では増となったものの、前月比では1人減の842人に。道南の町の保護率は、渡島管内は前年同月比0.7ポイント増の23.1パーミル。桧山管内は同1.4ポイント増の32.9パーミルで、江差と上ノ国の高さが目立つ。(小泉まや)



◎学生4人 色彩検定3級合格

 函館大谷短期大学(福島憲成学長)が設ける講座「カラーコーディネート」を受講した学生4人がこのほど、色彩検定(全国服飾教育者連合会主催)の3級に合格。これを受けて福島学長が14日、合格した浅沼里江さん(20)、紺井宏美さん(20)、新保亜矢子さん(20)、松下雛子さん(20)に合格証書を授与した。4人は就職や趣味の充実に生かせると喜んでいる。

 同講座は「コミュニティ総合学科」の学生向けに選択科目として設置。本年度の4月〜9月に約20人が受講し、講師の竹花郁子さんのもとで色の名前や配色、光と色の関係などについて学んだ。同短大では色彩についての知識を身につけることで、資料の作成などプレゼンテーション能力向上が期待できると、講座終了生に同検定の受験を勧め、今回は7人が受験した。

 浅沼さんは「販売系の就職面接でカラーコーディネートの資格があると役立つと聞いて取得した。ぜひ資格を生かしたい」、新保さんは「エステ関係の仕事に就職が決まった。色彩の知識を学んだことでセンスが磨かれ、仕事に役立つ。色の差を見分けるなど難しさもあったが、取得できてよかった」と、同資格の価値を就職面から実感。

 一方、紺井さんは「生活の中で色≠ェ持つ重要性に気付き、色の見方が変わった。服装面でも反対色の取り入れ方などがわかり、モノトーンが多かった自分の服装に少し変化があった」、松下さんは「高校の頃から油絵を描いていたので、色の勉強がしたいと受講した。今もたまに描くが、勉強してから使う色の幅が広くなった」と、色がもたらした変化をうれしそうに語っていた。(堀内法子)


◎元カーリング代表・小笠原が恵山中で講演

 函館恵山中学校(木村元校長、生徒80人)で10日、2006年トリノ五輪で女子カーリング日本代表「チーム青森」の主将を務めた小笠原歩さん(32)=旧姓・小野寺=の講演会が開かれた。生徒たちに目標を持つことの大切さを説くとともに、「ソチ五輪出場を目指します」と宣言した。

 同校はキャリア教育の一環として、数年に一度、各界の著名人を招いて講演会を開いている。本年度は卒業を控えた3年生への期待と、進路選択を迫られる1・2年生に、小笠原さんの生き方を学んでもらおうと開いた。

 中1で同級生とともにチーム「シムソンズ」を立ち上げ、ソルトレーク(02年)、トリノと出場した小笠原さんは「長野五輪を見たときに出たいと強く思い、人生のターニングポイントになった」と語り、道大会、国内大会、世界大会と目標を定めて練習に打ち込んだことを強調。

 トリノではメダルに手が届かなかったが「日本に帰り、多くの人に面白かったと言ってもらい、カーリングを知ってもらえたことがうれしかった」と話した。

 結婚や出産を経て昨年、競技生活に復帰したことについて「体力をカバーする技術と経験があれば50代でも続けられる。母親になっても五輪に出られることを日本のスポーツ界で証明し、ずっと北海道で競技を続けたい」と熱っぽく語った。質疑応答では「子どもをカーリング選手にしたいですか」といった生徒の質問に、笑顔で答えていた。(千葉卓陽)