2011年3月18日 (金) 掲載

◎青函航路 物流増大で混雑 トラック300台以上乗船待ちも

 東日本大震災による物流の増大で、函館―青森間のフェリー航路では、多くのトラックが乗船できずにいる。函館港のフェリーターミナルには17日、キャンセル待ちをする貨物車両が一時、300台を超えた。フェリー各社は「この状態は数日間続くだろう」と予測している。

 青函航路を1日8往復する津軽海峡フェリーと青函フェリー。キャンセル待ちは17日午後4時ごろで、300台と150台に上っている。乗船カウンターでは職員が、ひっきりなしに訪れる予約客の対応に追われていた。

 岩手県にある製紙工場の復旧作業に参加するため20時間、待ち続けている苫小牧の会社員、山田祐樹さん(21)は「キャンセル待ちしているが、乗船のめどが立っていない。今日中に乗れればいいが…」と話していた。また、本州方面に建築資材を運ぼうとしていた、札幌市のトラック運転手(48)は「明日までに運ばなくてはいけない。今日中に青森までに着ければいいが、間に合わないかもしれない」と困り果てた様子だった。(小杉貴洋)



◎津軽海峡フェリーターミナルから海自輸送艦出航

 震災被災地で不足している燃料などの救援物資を積んだ海上自衛隊舞鶴地方隊所属の輸送艦「のと」(渡邉孝司艦長、590トン)が17日昼、函館市港町3の津軽海峡フェリーターミナルを出航した。海自函館基地隊によると、道内の民間施設で海自の艦隊が利用されるのは初めて。同日夜に対岸の大湊港(青森県むつ市)に着岸、トラックで物資を運ぶ。

 防衛省の要請を受け、災害支援救助隊として16日夜に急きょ派遣が決定。全国各地区の海自輸送艦や護衛艦は、これまで横須賀(神奈川)、大湊の2港へ集まり、物資搬送などに当たっている。「のと」は15日に函館市大町の西ふ頭へ着岸。同日中にガソリンを積んで大湊へ出航、翌日に函館へ戻っており、今回が2回目の出動となる。

 この日は午前11時に同ターミナルで積み込み作業を開始。一般的なフェリーでは危険物扱いのため積み込めない灯油を、200リットル入りドラム缶20本分を用意したほか、毛布2000枚、米も積み込んだ。横須賀の護衛艦隊所属の第15護衛隊「おおよど」も、同日午後1時過ぎ、毛布などを載せて港町ふ頭を出発した。

 海自函館基地隊総務課は「津軽海峡フェリーの協力がなければできないこと。海自としても全力で輸送に当たりたい」としている。(長内 健)



◎東日本大震災 被災者の緊急疎開検討へ

 【乙部】東日本大震災と福島第一原子力発電所の原子力災害で、被災地や隣接県では、被災者や傷病者の収容能力が飽和状態にあるため、北海道東北6県町村会協議会長の寺島光一郎乙部町長(北海道町村会長)は、道内を含めた、広域的な緊急疎開の検討に入る方針を明らかにした。  寺島氏は、道内の町村や被災地の近隣県で、空き住宅などに被災者を緊急的に疎開させ、避難所、物資輸送、生活支援などの深刻な負担を早急に軽減すべきとしている。

 被災地では、多数の医療機関が機能を停止したほか、近隣県の収容能力も限界に達しており、傷病者や入院患者の生命維持が困難な状況に陥っている。このため、移動可能な患者を、道内の医療機関に搬送することも検討すべきとした。

 寺島氏は「多くの被災者が集中する現状では支援が行き届かない。被災地が抱え切れない負担を全国に分散させる必要がある。受け入れ地域では、医療従事者やボランティアを活用するなどの方法で手厚い支援が可能だ。法制面での課題についても、超法規的措置や法律の弾力的運用で解決しなければならない」として、道町村会や全国町村会を通じて協議を進める方針だ。

 山形県町村会(小野精一小国町長)の情報では、原発事故に伴い、福島県から大量の避難者が流入しており「燃料が切れた車を乗り捨てて、徒歩で県境を越えた住民が、難民化するなどパニックの状態にある。広域的な対応を早急に検討してほしいと要請があった」(寺島氏)という。

 寺島氏は「1993年の北海道南西沖地震で大きな被害を受けた奥尻町をはじめ、桧山の町は、全国からの支援で再生することができた。東北では、大津波から生き残った被災者が救援を受けられないまま亡くなる事例も相次いでいる。前例や法律の壁にとらわれず、地域の枠組みを超えて、国家的見地で支援に全力を挙げるべきだ」と訴える。(松浦 純)


◎木古内町議選 運動時間短縮へ 震災影響

 【木古内】任期満了に伴う町議選(4月19日告示、24日投開票)の立候補予定者は17日、東日本大震災を受け、選挙期間中の選挙カーと拡声器を使った選挙運動を午前8時から午後6時までとし、2時間短縮することを申し合わせた。選挙戦最終日の23日は通常通り午後8時まで行う。

 町選管が同日開いた立候補予定者説明会には、現職9、新人4の計13陣営が出席。立候補予定者から「震災の被災者のことを考え、夜の選挙運動を控えるべき。時間短縮で節電、燃料節約の協力にもなる」といった意見が上がり、説明会終了後に全陣営で協議した。

 協議では「時間短縮を守らない候補者が出た場合は」など懸念する声も上がったが、「候補者のモラルに任せる」ことで一致。協議の結果、反対意見は出ず、全陣営が時間短縮を了解した。

 町選管では「このようなケースは町内の選挙では初めてではないか」とし、藤木英雄選挙管理委員長も「未曽有の災害なので、立候補予定者らの申し合わせに理解する」とコメントした。(松宮一郎)


◎公示地価 渡島管内20年連続の下落

 国土交通省は17日、1月1日現在の公示地価を発表した。渡島管内の1平方b当たりの平均地価(以下同)は4万4300円で20年連続の下落。平均下落率は5.5%で、前年より0.1%拡大した。函館市の商業地は8万1500円で、下落率は7.1%。同住宅地は4万7400円で、下落率は4.9%だった。

 函館市の商業地は3年連続の下落。1位は函館市本町32の13、ピア21の24万4000円。下落率は道内1位の18.1%、全国でも3位の下げ幅となった。本町中心部の中核店舗の閉店後、後継店の出店がない状況もあり、道内トップの下落幅になった。2位は函館駅前・大門地区の若松町20の1、和光デパートで、14万6000円。下落率は15.1%で、道内4位、全国9位の下げ幅。景気低迷や郊外の大型量販店への顧客流出が響いた。

 函館市の住宅地は13年連続の下落。

 函館市周辺では、北斗市が2万4400円、下落率は4.4%。合併前の旧上磯地域と旧大野地域を比較すると、旧上磯地域の下落率が高い。  七飯町は1万8800円で、下落率は前年と変わらず5・0%だった。改行 渡島の住宅地は3万5100円で12年連続で下がり、下落率は4.9%。同じく商業地は6万8900円で20年連続のマイナス。下落率は6.9%だった。

 桧山管内の平均価格は2万1700円で11年連続で下がり、下落率は6・1%。桧山の住宅地の平均価格は1万8700円で9年連続でダウンし、下落率は5.8%。商業地の平均価格は2万7700円で、11年連続で下がった。下落率は6.7%。

 渡島・桧山管内の下落率は総じて拡大。長期的な不況、過疎化や高齢化が要因で、地域経済の縮小も大きい。宅地需要の減退も影響した。  調査は渡島管内2市6町計88地点。桧山は3町計9地点を対象に実施した。(田中陽介)