2011年3月2日 (水) 掲載

◎漁船転覆 3人不明

 【八雲、長万部】1日午前5時ごろ、八雲町漁協所属のエビかご漁船「第28栄亀丸(えいきまる)」(4・9トン)が長万部町国縫の沖合で転覆したと、同漁協から第一管区海上保安本部(118番)に通報があった。室蘭海保の巡視船やヘリコプター、僚船20隻などで捜索したが、乗船していた船長の八雲町野田生、東庄太郎さん(66)、乗組員の同、東則明さん(56)、同町山越、中西淳さん(47)の3人が行方不明となっている。同船も発見されていない。

 同海保によると、同船は午前3時半ごろ、山越漁港を出港した。国縫港から東南東約15キロの海上で船名の入ったかごなどの漁具約10点を発見。そこからさらに東南東約2キロ付近で油が浮いているのが見つかっている。捜索現場の天候は同日午前7時半で、東南東の風12メートル、波は3メートルでうねりがあり、曇っていたという。札幌管区気象台の観測によると、長万部町は同4時に東の風約5メートル、同5時には東南東の風約7メートルを観測していた。

 正午ごろ山越漁港に駆けつけた東船長の漁師仲間によると、乗組員から「『船がひっくり返った』と携帯電話を通じて家族に連絡が入り、『今、船にしがみついている』と緊迫した様子を伝えていたようだ」と話していた。

 この日は噴火湾でのボタンエビ漁の初日。八雲漁協からは同船を含め3隻が出港した。エビ漁は一斉操業のため、出漁できない場合、内浦湾エビかご漁業協議会から連絡が入ることになっているが、この日中止の連絡はなかったという。

 捜索は天候が悪く難航した。同日は午前11時ごろに僚船の捜索が終了。その後、今後の対応策を検討する役員会議が同漁協で開かれた。また乗組員の家族にも捜索方法などの説明がされたという。同海保では巡視艇で引き続き捜索を続行。2日にもヘリコプター2機を使用する。また、同漁協によると、2日午前6時から近隣の漁協にも応援を要請し、現場海域に漁船20隻以上、約150人を動員し、捜索に当たる予定。同漁協は2日からすべての漁を取りやめ、全面的に捜索に協力するとしている。



◎華やかドレスで優雅に 「ハイカラ衣裳館」営業始まる

 レトロな衣装をまとい、国の重要文化財に指定されている函館市重要文化財旧函館区公会堂(大西正光館長)内を散策することができる「ハイカラ衣裳館」の営業が1日、始まった。開始を待ちわびた市民や観光客が次々に訪れ、館内は華やな雰囲気に包まれた。

 同衣裳館は1992年から営業開始。雑誌などで全国に紹介されており、人気は年々上昇、昨年は約1万6000人が利用した。この日、仙台から卒業旅行で来函していた女子大生4人も「この衣裳館体験を優先に、函館観光のスケジュールを作った」と話すほど。同館によると前日に来館したが営業しておらず、再来館して利用した人もいたという。

 衣装室でゴージャスなドレスを選んだ人たちは、階段や大広間、バルコニーなどで記念写真を楽しんだ。道教育大函館校4年の一戸彩代さん(22)は「裾を持って階段を上るのが大変だったが、昔の人の気持ちを感じられ、タイムスリップを楽しめた」と喜んでいた。

 利用料は1着(20分)1000円、ヘアーセットとメイク(5分)は1回1000円。入館料は別途必要。営業時間は3月と11月からは午前9時〜午後4時40分、4〜11月は午前9時〜午後5時。(山崎純一)



◎道南金融動向 景気「引き続き厳しい」

 日本銀行函館支店(山田正弘支店長)が1日に発表した1月の道南地方の金融経済動向によると、公共投資は新幹線関連工事が下支えしているものの、個人消費に足踏み感がみられ、観光持ち直しの動きは一服している。景気判断は「持ち直しつつあるものの、引き続き厳しい状況が続いている」として据え置いた。

 公共投資は、国や地方公共団体分は減少傾向にあるが、新幹線関連工事が下支え。1月の道南全体の請負額は、前年同月比7・3倍と大きく伸び、3カ月連続で前年同月を上回った。年度初来類型でも同3・9%増で、8カ月ぶりに前年同月を超えた。設備投資は、グループホームの建設などで非住宅着工が床面積で同43・3%増と好調だった。

 個人消費は、食料品が堅調に推移したほか初売りが好調で、主要小売店(10社)の売り上げは同1・1%増と4カ月ぶりに前年同月を上回った。一方で家計の節約志向などを背景に、衣料品などが低調。家電販売は高機能携帯電話(スマートフォン)など一部で動きがあるものの、エコポイント制度変更前の駆け込み需要の反動が尾を引き、薄型テレビを中心に大きく落ち込んだ。

 新車登録台数は、普通・小型車が同21・8%減少し5カ月連続で前年同月を下回ったが、軽乗用車は同10・9%増で2カ月連続で前年を上回った。

 観光は、JRの企画商品や新幹線を利用した東北・関東圏からの観光客増加が目立ち、主要ホテル(20社)の宿泊客数と函館山ロープウェイ、五稜郭タワーの利用者がそれぞれ前年同月を上回り明るい動き。しかし函館空港の乗降客数は2カ月連続で前年同月を下回った。生産では、乾燥珍味に値上げ前の駆け込み需要があったことなどから、水産加工が低水準ながらも一部で操業度を引き上げた。

 同支店は「主要指標では1月は比較的前年を上回ったが、これが2月以降に続く要素は確認できない」とする。(小泉まや)


◎平均気温高く「暖冬」

 函館海洋気象台は1日、管内の2月、冬期(12〜2月)の気象状況をまとめた。2月の道南は高温、多照、少雨となり、函館の平均気温は平年より2・1度高い氷点下0・4度で「かなり高い」となった。今冬は1月のみ気温が低くなり、ほとんどの地点で平均気温が「高い」の暖冬となった。函館は平年より0・8度高い氷点下1・1度だった。

 2月は、冬型の気圧配置が長続きせず、天気は周期的に変わり、晴れたり南から暖かい空気が入った影響で気温は上がった。江差の平均気温は平年より1・8度高い1・0度だった。函館の真冬日は計3日(平年10・1日)のみ。

 日照時間は、函館は146・7時間で平年(116・2時間)より「多い」だったが、ほとんどの地点で「かなり多い」となった。降水量は江差で74・5ミリ(同62・4ミリ)の「多い」だったが、函館の39・5ミリ(同60・2ミリ)など、少雨の地点が多かった。

 冬期は、1月上〜中旬に厳しく冷え込んだ以外は平年並みか高めに推移した影響で、平均気温は高めとなった。日照時間は、函館は331・4時間(同316・2時間)で「多い」となるなど、すべての地点で「多い」「かなり多い」となった。降水量は各地で平年差が異なり、せたな町は98・0ミリ(同199・9ミリ)で「かなり少ない」となり、福島町千軒は655・0ミリ(同515・5ミリ)で「かなり多い」となった。函館は202・0ミリ(同210・6ミリ)で「平年並み」だった。降雪量は、八雲町八雲、今金だけが「多い」となり、函館は311センチ(平年309センチ)で「平年並み」、ほかも「平年並み」か「少ない」だった。(山崎純一)


◎不正 絶対に許さない 公立高入試

 京都大学、早稲田大学などの入学試験がネット上に流出した問題で、3日から始まる公立高校入試を前に函館市内の高校などでは、不正を防ぐために目を対策を強化している。

 道教育庁渡島教育局は、市内にある道立校7校の入学試験に際して、「道教委が出した入学者選抜の手引に従い、粛々と行う」とし、例年通りの対応を取る姿勢。しかし携帯電話の持ち込みなどについては細心の注意を払うという。

 一方、市立函館高校(柳町11)では受験生に対し携帯電話の持ち込み禁止を事前に伝え、試験当日に持ち込みがあった場合には、学校側が預かるという措置を取っている。同校では「例年、携帯電話を持ち込む生徒は少なく、過去に学校に預けなかった生徒は確認していない」と話しており、道教委の手引に順じ、厳正な試験実施を心掛ける。

 道教委が出した2011年道立高校入学者選抜の手引では、計算機、携帯電話、PHS(簡易型携帯電話)など試験の公正を損なうおそれがあるものの持ち込みを禁じている。(黒田 寛)