2011年3月3日 (木) 掲載

◎函館でもガソリン急騰

 中東情勢や投機マネー流入などに伴う原油価格の高騰で、函館市内のガソリンスタンドなど小売店でも価格が急激に上昇している。各社とも1日から2日にかけて軒並み値上げ。レギュラーガソリン1リットル当たりの価格は高いところで142円、軽油は127円となった。価格はここ数年で大きく上げた2008年には及ばないものの、各社とも今後のさらなる値上がりを予測しており、厳しい春を迎えそうだ。

 卸価格はこれまでも小刻みに上げられてきたが、全国でもトップレベルのガソリン価格激戦区とされる函館ではこれまで、小売り各社が企業努力で対応し極力価格には反映させないできたとされる。10年度のレギュラーガソリン1リットルの平均価格(函館市調べ)は、09年度よりは10円ほど高い水準だったものの、130〜140円付近の間で推移した。

 ところが最近の急激な卸値の値上げに伴い、各社とも努力の限界を感じるように。加えて3月の決算期を間近に控えた季節的な要因も重なった。道南の石油小売会社106社で構成する函館地方石油業協同組合(和田善助理事長)は「このままでは会社運営も危ういところまできていたのではないか」とみる。

 消費者の反応について小売り各社は「状況は理解されている」と受け止める。1日に各油種5円値上げしたJX日鉱日石エネルギー系のはこせき(海岸町)は、「世の中の流れとして受け止められており特に苦情はない。今後も卸値に連動して価格を動かさざるを得ないだろう」とする。

 値上げを事前に知らせるサービスを行う企業も。出光興産系の池見石油店(西桔梗町)は2日にレギュラーは6円、軽油は5円上げしたが、メール会員(約130人)を対象にこの4日前に通知した。「値上げは今後も続くと思うが、せめて事前に知らせたい」とする。

 状況について函館消費者協会の岩船寛会長は「世界的な問題が原因で仕方のないこと」と受け止める一方、卸・小売りに対しては「誠意のある対応で値上げ幅を抑えてほしい」とも願う。(小泉まや)



◎【企画】混戦・函館市区 道議選告示まで1カ月(上)

 民主、自民、公明、共産の4党と無所属候補が戦いを演じてきた函館市区(定数6)。自民系候補は前回4人が立ち、現職の川尻秀之氏と新人の佐々木俊雄氏の自民党公認候補2人が当選。党道連は昨年秋、2氏を早々と公認し、前回公認漏れした大日向豊吉氏は、今回も無所属での出馬となる。一方、函館市議の三遊亭洋楽氏がみんなの党からの出馬を表明。「台風の目となり得る」との指摘もあり、これまでの選挙とは雰囲気が異なる。

 民主党政権が小沢一郎元代表の処遇などをめぐってぐらつきを見せる中「追い風には間違いないが、あぐらをかくわけにいかない」(自民党関係者)と、川尻、佐々木両陣営は危機感を強める。6期目を目指す川尻氏は「今回の選挙は地域主権がテーマ。地域発展のために頑張るだけ」。3日には自身の総決起大会とともに、知事3期目を目指す高橋はるみ氏を励ます集いを開き、知事との強力なパイプをアピールする。前回、6番目のイスに滑り込んだ佐々木氏は「2期目は大丈夫と言われるが、最も危険。簡単に当選できるとは思えない」(陣営幹部)。15日に開く総決起大会で、陣営の引き締めを図る構えだ。

 一方、前々回(03年)、補欠選(06年)、前回と次点に泣いた元職・畠山博氏はいまだ態度を明確にしていない。

 2月28日に行われた立候補者説明会には出席しておらず、各陣営には「不出馬」の観測が広がった。畠山氏は「後援会が検討している最中。私の一存では決められない」としながらも「出るとなれば組織もあるし、すぐにでも出られる」と、依然含みを持たせる。

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 公明党は定数が5から6となった1975年以降1度も議席を失ったことがなく、他陣営からは「指定席」とも言われる。しかし、函館市議から転じる志賀谷隆氏は「非常に厳しい。最後まで地べたをはいずり回り、一人ひとりにお願いする」と、党内を含めて知名度不足—との認識を強める。

 背景にはこれまで戦ってきた市議選で、候補別に支持基盤地域を分ける党の手法がある。志賀谷氏は本通や中道、富岡などの北部だったため、これ以外での浸透度はいまひとつといい、旧4町村地域に至っては「名前すら知られていない」とこぼす。このため、盤石と言われる党内での支持割合も「50〜60%ほどだろう」と慎重な構えを崩さない。支持拡大を目指し、昨年11月末から、市内北部以外の地域を精力的に回っている。

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 「しがらみにはとらわれない—」。三遊亭氏は“みんな”色を前面に打ちだして臨み、乱戦ムードを演出する。

 昨年の参院選に同党公認で出馬した中川賢一氏は、市内で1万5090票を獲得。これが三遊亭氏に流れた場合、前回の佐々木氏(1万5235票)や畠山氏(1万5191票)の得票と大差はない。各陣営が「批判票の受け皿になり得る」と警戒感を強める中、三遊亭氏は「選挙事務所は作らない。作戦はあるが隠密行動を取る」。

 また、大日向氏は出馬表明が2月28日と大幅に遅れた中、「北海道新幹線の現駅乗り入れ」を政策の柱に据え、一点集中型で臨む構えを見せている。3度目の出馬に、支持者の一部には反対もあったようだが、後援会幹部は「走りながらやるしかない。過去の名簿などを活用しながら進めていきたい」とする。

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 4月1日の道議選告示まで残り1カ月を切った。定数6に対し現在までに9人が名乗りを上げ、道内有数の激戦区として注目を集めている函館市区の情勢を探る。(統一地方選取材班)



◎函館市議会、除雪の苦情3162件、前年比3割増

 函館市議会第1回定例会は2日から一般質問が始まり、6氏が質問に立った。この中で市土木部は、今シーズンの大雪に伴って寄せられた除雪に関する市民からの苦情が2月末現在で3162件に上り、同じく大雪だった前年と比べて約3割多かったと報告した。今年は平均気温が低い日が続いたため雪解けが進まず、特に2月に苦情が殺到した。

 高橋佳大氏(共産党)の質問に、秋田孝土木部長が答えた。

 同部によると、今季は1月の月間降雪量が昨年に次ぎ、観測史上2番目に多い150センチを記録。市内の平均気温が氷点下4・3度と前年より2・6度低く、雪解けが遅れたことで路面状況も悪化したという。

 苦情内容は「ザクザク路面の解消」が全体の約7割の2240件と最多。続いて「雪山の除去」や「わだちの除去」など排雪に関するものが2割強に上った。特に暖気が入った2月17〜21日には市民から「車が埋まってしまう」などの苦情が相次ぎ、5日間で1100件が寄せられたという。秋田部長は「幹線道路から順次行ったが、生活道路全体まで行き届かなかった」と述べた。

 市は今シーズンから、生活道路の除雪基準について、圧雪深をこれまでの30センチから25センチ以上に緩和し、除雪後に残す雪の深さを10センチ程度に変更したが、「除雪業者や気候条件、圧雪の状況によってばらつきが出た」(維持課)という。

 このほか佐古一夫氏(新生クラブ)、日角邦夫氏(民主・市民ネット)、能登谷公氏(市民クラブ)、瀬尾保雄氏(公明党)、金沢浩幸氏(新生クラブ)が質問した。

 本会議終了後、本年度一般会計予算案など議案32件を審査する予算特別委員会を設置し、委員長に浜野幸子氏(新生クラブ)副委員長に日角氏を互選した。(森健太郎、千葉卓陽)


◎福島町予算案、浄化槽整備を推進

 【福島】福島町(村田駿町長)は2日、2011年度の予算案を発表した。一般会計の総額は本年度当初比9・8%増の33億1053万円。学校給食センターの建設費を計上したことが増額の主な要因。4特別会計と1事業会計を含めた総額は同6・0%増の48億7827万円。10日開会予定の町議会定例会に提案する。

 浄化槽整備のため、新たに特別会計を設けた。1基170万円の設置費用と維持管理費を町が負担する。年間15基ずつ設置する計画で、家庭用トイレの水洗化を推進し、生活環境の改善を図る。

 主な新規事業は、学校給食センター建設費に3億2092万円を計上。年度内に着工し、12年度からの運用開始を目指す。また、若者の定住促進と少子化対策の計画をまとめるための委託料に280万円。東京農業大学生物産業学部との連携事業には370万円を盛り込んだ。人材育成のための研修会や出前講座を開くほか、町内の産物を使った加工品の試作づくりに取り組む。

 一般会計の歳入は地方交付税が同5・3%減の16億7969万円で、町税は同3・0%減の3億9064万円となった。財源不足が生じるため、財政調整基金を取り崩し、1億1000万円を充てる。歳出は、人件費が同3・0%減の7億5279万円、公債費は同6・0%減の5億7590万円となった。(松宮一郎)


◎北斗市議会、人口減で総合計画の下方修正必要

 【北斗】市議会第1回定例会は2日、一般質問を続行し、5氏が登壇した。2010年の国勢調査速報値で、05年調査と比較して人口が減少したことを踏まえ、高谷寿峰市長は人口増加を盛り込んだ総合計画を下方修正する必要があると述べた。

 赤間輝志氏への答弁。市は2007年に策定した第一次総合計画の中で、17年の将来人口を05年の4万8000人から約1万人多い5万7800人と予測している。しかし、住民基本台帳における過去5年間の人口動態では、転出者より転入者が上回る社会増の状態だが、少子高齢化の進展で自然減少の状態となっている。

 高谷市長は、総合計画策定後の社会情勢の変化や、将来を正確に把握することは困難であるとして、下方修正の必要性に言及。「人口減少は全国的な課題。少子化対策は国の政策として誘導されるべきで、結果が出るまでは時間がかかる」と述べ、市独自の子育て負担の軽減策や住環境整備、就労対策などに引き続き取り組む考えを示した。その上で、北海道新幹線開業による関連従事者の増加や企業進出により、転入者が増加することに期待感を示した。