2011年3月30日 (水) 掲載

◎被災者に義援金を、ハンド大崎電気の宮崎選手ら募金活動

 東日本大震災の被災者に義援金を送ろうと、ハンドボール実業団の大崎電気の宮崎大輔選手ら5選手、岩本真典監督、函館ハンドボール協会員が29日、丸井今井函館店(本町32)前で募金活動を行った。宮崎選手らは函館市内3少年団の団員と一緒に「募金をよろしくお願いします」と道行く市民に呼び掛け、約1時間で21万4820円が集まった。

 26日から行われている第10回AIT函館市長杯でのチャリティー試合のために来函。募金活動は21日、同協会の総会で企画し、29日に来函した大崎電気の有志メンバーが快く引き受けた。岩本監督、宮崎選手らは大きな声で呼び掛け、握手や、サインを求めてきた人たちに応じた。

 宮崎選手は「被災地のために何ができるかと、もどかしかった。みんなが手を取り合ってできることをやっていくことが大事だと思っている。ハンドボールを通じて希望を与え、被災地の人たちが元気になってほしい」と願いを込めた。

 同協会の吉岡隆会長は「こういうときこそ自分たちができることをしなければならない。大崎電気の選手たちに協力していただき、感謝している」と話していた。

 少年団も積極的に参加した。高盛少年団の武田陸君(12)は「募金に協力的な人が多く、温かい気持ちになった。今回集まったお金で被災地で困っている人たちのために少しでも役に立ってほしい」と願った。(小林省悟)



◎函館バス商会が電気自動車製作

 車両整備などの函館バス商会(函館市高盛町、寺坂伊佐夫社長)は、電気自動車の製作を始めた。既成の中古車を改造し、エンジンを電気モーターなどに替える。軽自動車で1台当たり約160万円の費用をかけて製作し、3月内には走行実験に持ち込む計画。将来的には受注も視野に入れる。

 化石燃料の限界や、ガソリンなど石油製品の価格が高騰していることを受け、「会社全体で環境保護の認識を高めたい」との考えからプロジェクトチームを発足。1月から準備を進めてきた。電気自動車の組み立て指導などを行うEVhonda(新潟県長岡市、本田昇社長)の協力で作業を進め、技術的なノウハウの蓄積を図る。

 車体は三菱自動車の「ミニキャブ」を使用。付いていたエンジンを取り外し、電気モーターや電池、冷却・排煙装置などを交換するなど、3日ほどである程度の形にはなるという。プロジェクトチームの吉崎訓リーダーは「普段の整備業務で行う溶接には慣れており、作業は順調に進んでいる」と、初めての取り組みに手応えを感じる。ただ「暖房をどうするかが課題で、走行実験の中でさまざまな問題が出てくるだろう」とも。

 完成後は自動車学校のコースなどを利用し基礎的な能力を計測する。最終的には道運輸局での検査を受け、ナンバー取得を目指す。当面はPR用として同社で使用する考えだが、将来的には注文を受けての製作も考えている。(小泉まや)



◎震災の影響、奉行所も道外客減少

 函館観光全体に東日本大震災の影響が及ぶ中、昨夏に復元オープンした箱館奉行所(五稜郭町44)も、道外客を中心に入場者が減少している。11日の震災後、東北、関東などの団体からキャンセルが十数件あり、近場からの当日や前日予約なども含めると40件前後に上る。福島第一原発事故の影響で外国人観光客も減少しており、関係者は「今後交通網や被災地が復旧し、いずれ来てもらえれば」と願う。

 同奉行所は、震災のあった11日から土、日と休日だった12、13日には1日平均260人前後の来場者があった。しかし、14日以降は100人を割り込む日が続くなど、震災の影響で来場者が減少。ただ、19日からは3連休と春休みシーズンが重なって道内客を中心に観光客が訪れ、休日には300人台を記録し持ち直した。

 1月の来場者数は約7500人、2月の来場者数は約8500人で推移。3月は28日現在で7563人だが、当初見込んでいた3月の来場者1万人を下回るのは避けられない。ただ、年間ベースでは昨年7月のオープンから28日までに累計22万8608人が訪れ、3月末までの当初目標値14万7000人を大きく上回っている。

 同奉行所の沼崎孝男副館長は「東北地方からのキャンセルが目立つが、奉行所は秋田や青森県産の木材を使用し、東北の技術者の力も借りて造られた。東北の持つ力強さで復興を進め、いずれは函館に来てもらえると信じている」と被災地への思いを語った。(黒田 寛)


◎大韓航空、ソウル線運休継続

 大韓航空は29日、東日本大震災の影響で運休している函館―ソウル(仁川)間定期便の運休期間を、4月26日までに延長することを決めた。福島の原発事故の現状から、主要客となっている韓国からの利用を見込めないため。ゴールデンウイークを迎えるその後については、今後の状況を踏まえて改めて判断する。

 同社函館支店によると、震災以降は韓国から日本全国への渡航需要が急激に減少。韓国人客が全体の8割以上を占める同路線は、週3回(火・木・日曜日)の定期便を22日から運休していた。同支店の岸田茂支店長は「海外からは日本全体が放射能で汚染されているとみられている」とする。

 ゴールデンウイークを迎える4月28日以降については未定で、「原発の状況や日本人客需要を見極めて決定する」(岸田支店長)という。同社ではこの路線のほか、千歳発着のソウル便を小型化するほか、釜山便を4、5月は運休することに。青森や秋田発着など全国の便に震災の影響が出ている。

 今回の決定について市港湾空港部は「地震の影響を考えれば致し方ない。ゴールデンウイークの復活を期待する」と話した。(小泉まや)


◎道新幹線、2架橋本格工事へ

 【北斗】2015年度開業予定の北海道新幹線の「桜岱高架橋工事」と「戸切地川橋りょうほか工事」の2工区の合同安全祈願祭が29日、市中野の工事現場で行われた。主に高架橋が並ぶ計約4キロの区間で、両工区の着手で北斗市と七飯町側の全工区すべての工事が本格的に始まった。

 「桜岱高架橋|」は、市内三好から桜岱、押上地区に至る延長1853bの区間で、総工費は約40億円。「戸切地川|」は、押上から大工川、中野地区にかけての延長2229メートル、総工費は約42億円。高架橋の工事が中心で、戸切地川上では橋りょう工事が行われ、約160bの橋げたがかかる予定。いずれも2013年6月の完成を目指す。

 東日本大震災を受けて、祈願祭には来賓らは招かず、地権者、工事関係者ら約90人が被災者に黙とうをささげ、神事を執り行った。施工業者を代表し、西松建設札幌支店の工藤義昭支店長は「本州と北の大地を結ぶ道民の夢をかなえる工事で、地域活性化も期待される。その責任と使命に応えることを誓います」と述べた。

 管轄工区すべての工事着手を受け、鉄道・運輸機構北斗鉄道建設所の坂本成良所長は「無事の完工を目指し、工期の順守や良質な構造物の建造、コストを意識しながら、大きな目標に向けて進めていきたい」と話していた。(今井正一)