2011年3月4日 (金) 掲載

◎戸井マグロ ジェット機融合 JAL函館支店

 空飛ぶマグロ!?—日本航空(JAL)函館支店はこのほど、函館空港の国内線出発カウンター前に、戸井マグロとジェット機を組み合わせた模型「JALまぐろジェット」を展示した。特に大人の男性に人気という。

 模型の全長は約25センチ。戸井マグロが築地市場の初競りで過去最高の高値を記録したことを受け、同支店で整備を担当する松本善雄さん(38)が自主的に制作した。

 職場にあった廃材の発泡スチロールを材料に、2日間で作り上げた。丸みを帯びた特徴的なシルエットは紙やすりで丁寧に削り、微妙な色合いに輝く魚体の色はプラモデル用スプレーで表現。半身に分けた片方には身の部位を再現し、外側には経営再建中の同社のシンボルとして復活させた「鶴丸」のロゴマークを描いた機体とした。

 松本さんは「日本一は非常に明るいニュース。大好きな地域と会社を融合させてアピールすることで、経営再建のなか一緒に働く仲間が明るくなれたらと考えました」と話す。(小泉まや)



◎【企画】混戦・函館市区 道議選告示まで1カ月(下)

 民主党は前回と同様、現職の平出陽子氏、斉藤博氏、高橋亨氏の3議席死守が至上命題。3氏とも組織票頼みからの脱却を図り、新たな票の掘り起こしに力を入れているが、小沢一郎元代表の処遇問題などをめぐり、党への逆風が吹き荒れる中で選挙戦を迎える。

 前回選挙では高橋氏が1万7788票、平出氏1万6678票、斉藤氏が1万5685票と、当選ラインを手堅く保った。今回も平出氏が北教組、斉藤氏がNTT労組、高橋氏は市職労と出身母体を中心に票を割り、市議選候補者とのセットで活動を推し進める。だが、基礎となる労組票は組織力低下に歯止めがかかっていない上、北教組の違法献金事件がいまだ尾を引く。これに加えて国政への不信感が各陣営の足かせとなっている。

 平出氏は年明けから活動を本格化させたが、道議会副議長の職責から、議会中は週末などしか地元入りできないハンディを抱える。陣営幹部は「現在の訪問先は昔からの付き合い先が中心。党の色より人柄でつながっている部分が大きい」。むしろ「本人との関係が薄くなるほど、政権交代後の期待感が失望感に変わっている」と打ち明ける。

 ライフワークとする福祉関係の企業・団体回りや各種セミナーの開催などで支持拡大を図る。「今は種まき。これから収穫の時期に入る。一つひとつの積み上げしかないが、これから活動のピッチを上げたい」とする。

 高橋氏は道議会での質問の多さや、議員立法の提案など2期5年間の実績を強調して活動を進めるが、ここでも「中央に足を引っ張られている。党内の内紛が地方レベルにまで波及し、やりずらい選挙戦だ」(陣営幹部)と国政の影響が否めない。

 一方で、政権交代で与党となったプラス面もあり、漁協や農協など一次産業の支持者が徐々に拡大。民主の道議候補では唯一、南かやべ漁協からの推薦も初めて取り付けた。ただ、「みんなの党の票が不気味」と、無党派層に狙いを絞る三遊亭洋楽氏の動向を気に掛ける。

 斉藤氏も危機感を強める。組織力の低下に加え、函館市議を退く能川邦夫氏の後継擁立問題などが影響し、「大幅な運動力不足。出遅れ感は否めない」(陣営幹部)。4年前は12月中旬だった事務所開きは今回、2月11日まで遅れた。

 所属会派の政審会長を務めるなど3期の実績、経験を売り込む。党への批判は少なくないが、陣営幹部は「政策や党色よりも人物評価で戦うしかない。個人のつながりを固めたい」。今回は国民新党から推薦を受け、渡島郵便局長会もバックについた。3月20日前後に総決起大会を開く予定で、企業の朝礼や電話作戦にも力を入れる。

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 共産党新人の古岡友弥氏は、立候補予定の9人の中で最も早く08年に出馬を表明。前川一夫氏が失った議席の奪還を図る。34歳の若さから、「侮れない」(他陣営幹部)と存在感を増しており、党函館地区委員会幹部も「これまでも市区では乱戦の中で議席を勝ち取ってきた」と手ごたえを見せる。

 新人ゆえに知名度アップが最大の課題。「とにかく顔を覚えてもうらうことが第一」(陣営幹部)と、集会などにこまめに参加する一方、通勤時間帯に合わせた街頭演説を精力的に行い、浮動票の取り込みを図っている。(統一地方選取材班)



◎ダイヤ調整で対応へ 新幹線、貨物列車と共用区間

 2015年度開業予定の北海道新幹線新青森—新函館(仮称)間で、新幹線が貨物列車と線路を共用する区間(約82キロ)ですれ違った際、風圧により貨物列車が脱線する危険性がある問題で、国土交通省が運行ダイヤを調整してすれ違いを回避し、一部新幹線の260キロ走行を検討していることが、3日までに分かった。ただ、貨物列車の運行が過密なためダイヤ調整が難しい時間帯もあり、開業直後は一部の新幹線で在来線特急並みにスピードを落としての運行も想定される。

 新青森—新函館間のうち、青函トンネル(約54キロ)とその前後は新幹線と在来線(貨物列車)が共用する区間。高速で走る新幹線と貨物列車とがすれ違う際、新幹線の風圧で貨物列車が脱線する懸念が指摘されている。

 同省は昨年2月、すれ違い問題の解決策として(1)新幹線の共用区間内の走行を在来線特急並みの時速約140キロに減速(2)上り・下り線を分ける隔壁の設置(3)新たな専用トンネルの建設—などを提示したが、財政負担が多額で新幹線の速達性が失われることなどから、北海道や青森県などが反対していた。

 同省鉄道局は函館新聞の取材に対し、今年1月に同省と鉄道・運輸機構、青森県が事務レベルで協議した際に「貨物列車のダイヤを調整することで、すれ違わなければ260キロ走行は可能」と説明したことを明らかにし、道にも説明したという。同局の担当者は「基本は運行主体(JR北海道)が決めることだが、最も現実的な案として提案した」と話す。

 道新幹線対策室は「提案はうかがっているが、結論は出ていないと聞いている」とする。函館市は「国から直接話は聞いていない」とした上で、JR北海道が貨物列車を新幹線に乗せる「トレイン・オン・トレイン」の研究開発を進める点から「貨物列車のスピードアップも含めて、抜本的な解決策を望んでいる」(企画部)としている。(千葉卓陽)


◎6種ワクチン無料化 厚沢部町予算案

 【厚沢部】厚沢部町(渋田正己町長)は3日、2011年度予算案を発表した。町長選を前に、政策的予算を留保した骨格編成となり、一般会計総額は本年度当初比16・2%減の31億200万円。6特別会計と病院会計を含む予算総額は、同11・2%減の52億3642万円。9日開会の定例町議会に提案する。

 新規事業は、水痘、おたふくかぜ、乳幼児インフルエンザのワクチン接種を町独自に無料化する。高齢者肺炎球菌のワクチン接種は半額を助成する。予算額は423万円。

 道が半額を助成する細菌性髄膜炎、小児肺炎球菌、子宮頸(けい)がんのワクチン接種は、自己負担分を町が全額助成して無料化する。予算額は408万円。子宮頸がんワクチンは、中学2年生〜高校1年生が対象。新年度のみ高校2年生も対象とする。町内では、半額助成の高齢者肺炎球菌ワクチンを除き、BCGや3種混合などの定期接種を含む11種類の接種が無料化されることになる。

 従来、身障者手帳1〜2級と、3級に含まれる特定の疾患を持つ町民を対象した、重度心身障害者医療給付は、町の独自措置により、3級全体に拡大する。手足に障害がある人や、人工肛門の保有者なども給付対象になる。町の独自負担分は1267万円。

 町内で増えている、ヒグマやエゾシカによる農業被害を防ぐ緊急対策事業は210万円。農地への野生動物の侵入を防ぐ、電気牧柵6セットとセンサーカメラを導入する。(松浦 純)


◎道議選桧山 64年ぶりに無風か

 【江差】道議選桧山選挙区(定数1)の立候補届出説明会が3日、桧山振興局で開かれた。説明会には、現職の福原賢孝氏(民主)の陣営以外に出席がなく、1947年以来、64年ぶりに無投票となる公算が強まってきた。

 福原氏は現在2期目。2006年の前回選挙は、自民党の公認候補を1603票差で破った。連合北海道、道農民連盟などの支持を受け、強固な支持基盤を構築している。

 一方、自民党は、党道連を中心に、桧山支庁長経験者を含む現職の道幹部、国会議員秘書に出馬を打診したが、いずれも固辞された。党本部が公募した議員志願者の擁立も検討したが、3日までに候補者決定には至っていない。

 野党転落に伴い、支持基盤の建設業界や産業団体が、積極的な選挙支援を控えているほか、道の支庁制度改革をめぐり、道議会の自民党会派が賛成に回り、支庁存続を求める、管内の党員や支持者の離反を招いた影響も大きい。

 道選管桧山支所によると、同選挙区では、地方自治法施行直後の1947年4月に行われた第1回選挙を除き、無投票になった例はない。定数が2人から1人に減った91年の第12回選挙以降も、自民党系と社会党系の候補が、激しい選挙戦を繰り広げた。

 道議選が無投票になった場合、知事選の投票率低下を懸念する声が、民主・自民両党から漏れる。ある自民党関係者は「不戦敗は避けたい。告示ぎりぎりまで候補擁立を模索すべき」とする。知事選に元農林水産省企画官の木村俊昭氏を擁立した、民主党の関係者も「知事選と道議選の連動が難しくなる」とし、福原氏陣営の緩みを警戒する。

 同支所によると2日現在、管内の有権者数は3万6688人(男1万7298人、女1万9390人。(松浦 純)