2011年3月6日 (日) 掲載

◎カニ汁でおもてなし 函館朝市で「はやぶさ」の運行開始記念

 東北新幹線の新型車両「はやぶさ」のデビューに合わせ、函館朝市の記念フェスタが5日、朝市内の渡島ドーム特設会場で始まった。特製のカニ汁とゴッコ汁がそれぞれ200杯無料で振る舞われ、市民や観光客が冷えた体を温めていた。6日まで。

 東北新幹線新青森駅開業と「はやぶさ」の運行開始を記念し、JR函館駅前の店舗や商業組合など9団体でつくる函館駅前活性化実行委の主催。新幹線で函館を訪れる観光客らを地元の味でもてなし、朝市や駅前のにぎわい創出につなげようと企画した。

 朝市らしいカニ汁はタラバとズワイ両方の身を使い、ネギや豆腐も入るみそ仕立て。一方、今が旬のゴッコ汁はしょうゆベースで、岩ノリや豆腐を添えた。午前8時すぎの提供開始と同時に観光客らが次々と訪れ、冬の味覚を堪能。計400杯は同11時ごろには品切れとなった。

 夜行列車で同僚4人と来函し、6日に新青森から新幹線で帰るという静岡県三島市の勝呂いずみさん(55)は「ゴッコは初めて聞いて食べたけど、ゼラチン質の身がおいしかった。『はやぶさ』で週末に北海道に行けるぐらい近くなったと感じますね」とはしを進めていた。

 また、地元の官民でつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構もこの日に合わせて「はやぶさ」の写真付きのクリアファイルを作製し、来場者に配布した。記念フェスタは6日も午前8時から同会場で各200杯を無料提供する。(森健太郎)



◎「日本一の信金目指す」渡島信用金庫で創立100周年記念式典と祝賀会

 渡島信用金庫の創立100周年記念式典と祝賀会が5日、森町の本店で行われた。取引先や関係者ら約320人の出席者を前に、伊藤新吉理事長は「徳川幕府のように300年の歴史を目指す」と力強く宣言した。

 同金庫は1911(明治44)年5月に有限責任森村信用組合として設立。名称変更などを経て、信用金庫法制定に伴い51年に現在の名称となった。

 式辞で伊藤理事長は創立からこれまでの歩みを振り返り、「現行の業務に満足することなく努力を重ね、健全経営で道内一、日本一の信金を目指す」と語った。

 また南北海道の農水産物や二次加工品を発掘し発信することが「田舎型信金の使命」とし、札幌支店内にある南北海道のアンテナショップ「みなほっの杜」を運営する南北海道地産物流協同組合に、記念事業として1000万円を寄付した。同組合の稲見英俊理事長は「今後も道南の優れた商品を広めたい」と感謝の気持ちを伝えた。

 表彰では運営に尽力した役員や個人、総代など23人を表彰。創業者、故瀬下與三左衛門氏には特別功労者表彰を贈り、親族が受け取った。(小泉まや)



◎大腸がん受診率低調 市立函館保健所

 函館市の大腸がん検診の受診率は2008年度が4%、09年度が5%で、道内の他の自治体に比べて大幅に低い状況が続いている。市立函館保健所は医師会と協力し、事前に申し込んだ受診者に大腸がん検査キットを送付し、医療機関に持参してもらう集団検診を推進しているが、受診率のアップにつながっていないのが現状だ。

 函館市で行われている大腸がん検診は、事前に送付された検査キットに便を採取し各医療機関に持参する個別検診と、特定健康診査会場に持参する集団方式の2方式で実施。検査で便に潜血が見られた場合、医療機関で内視鏡検査などの精密検査を行う。

 08年度に受診率が高かった道内の自治体は、室蘭市が22・3%、帯広市が16・6%、旭川市と小樽市で16・5%と、いずれも函館市を大きく上回っている。室蘭市ではすべて個別医療機関で検診を行っているが、室蘭市保健センターは「医師が定期検診などの際、来院者に積極的に検査を勧めるなど、個々の取り組みが進んでいるのでは」と受診率の高さを分析する。

 室蘭市でも働き盛りの40〜50代の受診率は伸び悩んでいるものの、65歳以上の高齢者の受診率も高く、「高齢者はかかりつけ医の勧めに従って積極的に検診を受けているケースが多く、その重要性を認識してもらっている」(健康づくり課)という。

 一方、市立函館保健所が09年度に行ったアンケート調査では、がん検診を受けない理由として▽いつでも医療機関で受診できる▽経済的負担になる▽たまたま受けない—など、がん検診への関心の低さが浮き彫りになった。

 同保健所は保健師が各町会に検査キットを配布したり、がん検診の実施場所や日時を掲載したカレンダーを全戸配布したりして「少しずつ受診率は上昇している」とし、さらなる受診率向上に力を入れている。(黒田 寛)


◎小中学校との連携策探る 道教育大函館校が特別支援教育フォーラム

 知的障害や自閉症など、障害のある子どもたちの自立や社会参加に向けて行われている、特別支援教育に関するフォーラム(道教育大函館校主催)が5日、函館市八幡町の同校で開かれた。「小中学校と特別支援学校との連携」をテーマに、道南や本州で特別支援教育に取り組む教員らの話題提供などを通じて、連携の在り方を探った。  

 同校が本年度取り組んでいる、特別支援教育センターとしての役割を果たすためのプロジェクトの一環として初めて開き、学生や教員ら約80人が参加した。雁沢好博副学長は「社会的認知は広がっているが、小中高校との連携や都市と過疎地の格差などさまざまな課題を抱えている。今回を機に全国で交流を深めてほしい」とあいさつした。

 フォーラムでは、宮城教育大附属特別支援学校教諭の菅原淳さん、横浜市教委特別支援教育課長の安藤寿子さん、函館養護学校教諭の三浦友和さん、厚沢部小教諭の安里朗さんが、それぞれの取り組みについて報告。

 函館養護学校で専任コーディネーターとして活動する三浦さんは「特別支援学級ができてから、担任に指名された先生が何をしたらいいか悩んでしまう」とした上で、「場所の提供より、子どもをどのように教育するか考えることから出発すべき」と提言。

 また、安里さんは桧山管内の現状について、86%の学校が今金養護学校などの関係機関と連携している状況を紹介。道教委が特別支援学校の教員を小中学校へ派遣する事業について「均等な機会を保障できる。予算を確保してほしい」と求めた。(千葉卓陽)