2011年3月7日 (月) 掲載

◎大海原で成長 笑顔の再開…函水高の実習船帰港

 道の実習船「北鳳丸」(松代真佳船長)で48日間の長期実習に臨んでいた函館水産高校(村松裕史校長)の2年生43人が6日、函館港に戻り、実習を無事終えた。生徒は日焼け顔の元気な姿で家族らとの再会を喜び、松代船長や乗組員に感謝を伝えた。

 実習は1月18日から始まり、中部太平洋で航海・機関関係機器の取り扱いや、マグロはえ縄実習をしてきた。米国ハワイのホノルルにも寄港し、この日午前8時過ぎに函館港に入った。

 下船式で道教育庁実習船管理局の川端道隆局長は「雄大な中部太平洋という教室で得た達成感や経験を、人生に役立ててほしい」。村松校長は「仲間と協力してきたこと、自分自身の自信になったことをこれからの進路に生かして」と激励し、松代船長も「よく頑張った。揺れないベッドでゆっくり休んで」とねぎらった。

 生徒代表で海洋技術科の蛯子貢平君(17)が「船酔いや慣れない船内生活で大変だったが、乗組員の指導のもと、人間として一回りもふたまわりも大きくなった気がする。この経験を生かし、学校生活の中で頑張り、進路選択をしていきたい。乗組員のみなさん、今航海は本当にありがとうございました」と礼の言葉を述べた。

 岸壁には大勢の同級生も駆けつけ、笑顔で記念写真を撮っていた。蛯子君の母親、康子さん(44)は「無事に帰ってきてくれたことが何よりで、安心しました」と目を細めていた。(田中陽介)



◎企画「北斗市はいま」上…堅実、安定した市政運営

 「予算案の成立で掲げた公約の8〜9割は達成できる」─。2月に行われた予算発表の記者会見で、高谷寿峰北斗市長は、公約達成状況を自己評価し、自信をのぞかせた。全産業のバランスの取れた田園工業都市≠目指す中で、予算も堅実に各施策に配分し、市政執行方針演説では「目標達成に向けてスピード感を意識して進めていく」と述べた。就任2年目のかじ取り役は、市民目線の市政運営に向け、まい進している。

 旧上磯町時代から通算35年間続いた海老沢順三前市長の後継として、昨年2月の選挙戦を大差で制した高谷市長。助役、副市長として海老沢政権を支えた経験から市役所内部の信望は厚く、「市長が替わっても大きな変化はない」との声が聞かれ、行政の継続性については安定した評価を得ている。

 市の施策の中で、特に道南の他自治体に先駆けて充実を図ってきた子育て、福祉施策には市民の期待感は高い。昨年は、目玉公約であった子ども医療費助成を高校3年生までに拡大。新年度予算においても、障害者やひとり親家庭などを含め、医療費助成の総額7億8500万円のうち、4億2700万円余りが市独自の拡充分で、財政基盤に裏打ちされた施策といえる。

 一方で、合併から5年が経過し、市民の融合・融和が着実に進む中で、合併当初の青写真とは異なる方向に進んでいるのが人口の減少問題だ。市内では、比較的若い世帯の多い七重浜、追分地区とは対照的に、茂辺地や当別地区では高齢化が顕著で、過疎と過密の混在が見え始めた。

 総合計画では2017年度の将来人口を5万7800人と見込んだが、昨年の国勢調査(速報値)では4万8000人をわずかに割り込んだ。人口減少は主要産業である農業や漁業の衰退、地域経済の縮小など、全産業に与える影響は大きい。少子高齢化や長引く景気の低迷で人口減少は全国的な課題であり、新幹線開業効果に過度な期待をするではなく、より現実的な将来設計が必要となる。

 また、今後の課題に「市内分権による市民協働のまちづくり」がある。実現に向けては、市民が主役となれる施策の構築が必要であり、市民一人一人が市政に対して関心を高める必要がある。86の町内会が加盟する町内会連合会の磯部正博会長(78)は、市内分権の在り方について「市長と具体的な話し合いを深めて、連携を密にしていく必要がある。大小さまざまな規模の町内会が知恵を出し合うことで、市全体の発展につなげていければ」と話している。(今井正一)

 北斗市の高谷市長就任から5日で丸一年が経過した。北海道新幹線開業を見据え、堅実な市政運営を進める北斗市の現状を探った。



◎世界のビール堪能…「ワールドビアパーティー」

 世界各国のビールを飲みながら躍りや音楽を楽しむ「ワールドビアパーティー」(一般社団法人WMDF主催)が6日、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町)で開かれ、市民ら大勢の来場者でにぎわった。

 トラベリングバンド「ひのき屋」などが中心となって毎年夏に開催している「はこだて国際民俗芸術祭」を盛り上げようと、事前イベントとして初めて企画した。

 会場では、タイやベルギー、ドイツなど10カ国のビール、ワインを販売。フォークダンスやアフリカンパーカッションなどさまざまなアトラクションが繰り広げられ、来場者も飛び入り参加するなどして盛り上がった。

 今年の芸術祭ではニュージランドのマオリグループ「イマヌエラ」が初参加するのにちなんでマオリの伝統ダンスのワークショップも行われた。先月22日の大地震が発生し、被災した同国のクライストチャーチ市を支援しようと会場には募金箱も置かれた。

 テーブル席では、家族や友人同士のグループが各国のビールを飲みながら談笑。北斗フォークダンス教室を主宰する武知美和子さん(67)は「きょうはフォークダンスだけでなく、アフリカンパーカッションに合わせて踊りました。太鼓の音が心に響き、楽しく踊れました」と話していた。(鈴木 潤)


◎おひねり飛び交い大盛況…投げ銭チャリティーコンサート

 江差追分会函館声徳会支部主催の「第17回投げ銭チャリティーコンサート『唄って・笑って・春が』」が6日、函館市東山の東本願寺函館別院東山支院で行われた。300人を超える来場者で、会場の本堂は満員御礼。民謡や和太鼓、津軽手踊りなど活気ある舞台で魅了した。

 同コンサートは1995年に起きた阪神・淡路大震災の犠牲者に義援金を送ろうと始まり、以来、毎年開催している。今年も同支部メンバーと市内近郊で活躍する民謡愛好家ら総勢100人が共演した。

 幕開けは江差追分大合唱で、三味線、尺八、追分踊りが一体となり、元気を届けた。秋田大黒舞では、「明るい歌は会場の雰囲気も明るくする」と司会者。「地元の民謡の素晴らしさも忘れてはならない」と南茅部鱈釣口説が披露され、大きな拍手が沸いた。

 フラダンスもあり、年配の男性陣がハワイアン姿で腰を“フリフリ”すると、笑い声に包まれ、おひねりも弾んだ。

 主催者代表であいさつした同支部会長の三上粂夫さんは「毎年、多くのみなさんの協力で開催できることに感謝したい」。支部長の内村徳蔵さんも「例年以上の来場者でうれしい。多くの善意にお礼を伝えたい」と話していた。

 母親、弟とともに江差追分を披露した東美羽音さん(7)は「今日のために、たくさん練習をしてきた」とにっこり。市内の大浜崎喜代子さん(86)も「毎年楽しみにして来ている。今日もいいものばかりで、元気をもらった」と満足の様子だった。

 投げ銭はすべて、函館市社会福祉協議会に寄付される。(田中陽介)