2011年3月8日 (火) 掲載

◎春告げるフクジュソウ

 【松前】松前城の内堀横の斜面で、フクジュソウのつぼみがふくらみ、春の訪れを告げている。城付近や内堀にはまだ雪が多く残っているが、日当たりが良く雪解けが進んだ斜面に、黄色いかれんな花をのぞかせている。

 フクジュソウはキンポウゲ科の多年草。咲いているのは直径3センチほど。松前城資料館の職員によると、今年は寒さが厳しく雪も多かったので、例年よりも少し遅めだったという。

 城付近にはフクジュソウが咲く場所がほかにもあるが、まだ雪に覆われている。職員らは「これから温かくなれば、もっと顔を出してくれるはず」と話していた。(松宮一郎)



◎企画「北斗市はいま」下…リミット迫る新幹線開業

 「新幹線開業の光と影」—。高谷寿峰北斗市長はことあるごとにこのフレーズを使用する。光とは開業による経済効果、影とはJRから経営分離される並行在来線(江差線・木古内|五稜郭間)の問題だ。鉄路維持の方針を掲げる高谷市長は「今年が正念場の年」と位置付けるが、具体的議論が進まず、同じ沿線自治体の函館市、木古内町との駆け引きが続く。

 沿線の2市1町と道でつくる道南地域並行在来線対策協議会。鉄路を維持した場合、30年間で100億円の累積赤字を抱え、バス転換を含めた5つの事業案から2011年度中に方針を決めることになっている。昨年末、国は10年間で1000億円の並行在来線支援策を示したが、具体的な配分方法などは不透明だ。

 仮に、第3セクター方式で鉄路を維持する場合、2市1町の負担割合をどうするかなど、課題は多く、負担額次第では鉄路維持を断念せざるを得ない方向に議論が傾く可能性も指摘される。

 昨年秋の国に対する要望活動では、2市1町の足並みがそろわず、函館市との温度差が浮き彫りになった。ある市議は「沿線自治体と同じ方向で議論を進めるために、道がどのような支援をするのかがはっきりしなければ結論がでない」とする。

 高谷市長は定例市議会の中で「第3セクターの設立に間に合うぎりぎりの時期まで、協議会での結論を延ばすよう主張していく」と述べた。今後、道が主導的な役割を果たさなければ、議論の進展が期待できないのが現状だ。

 一方で、新幹線開業準備も加速している。新年度予算案の新幹線新駅周辺整備事業費は7億3000万円近くとなった。各所で進む新幹線工事と併せて、一次産業体験やきじひき高原を軸とした観光振興策、企業誘致などにぎわいのあるまちづくりに向けた取り組みが進んでいる。

 市では現在、雇用人数に応じた助成など、既存制度に加えた駅前に特化した企業誘致優遇制度を検討している。市商工労働観光課は「『北海道新幹線』は企業誘致の強力なツール。関心を示している企業もあり、それらとのパイプを太くしていかなければならない」とする。景気低迷で先行投資に慎重な姿勢の企業も多く、造成が終わらない中では具体的な土地単価を示すことができないなど、企業誘致が具体的にまとまらないという悩みも抱えている。

 15年度末という新幹線開業のタイムリミットが迫っている中で、開業効果を最大限に高め、道南圏域、全道へとどのように波及させていくかなど、市の取り組むべき課題は多い。北海道の新しい玄関口となる北斗市の存在感を高めていくためにも、高谷市長の手腕に期待がかかる。(今井正一)



◎陣川温泉PG場オープン

 函館市陣川町の陣川温泉パークゴルフ場(PG)で7日、屋外の一部(旧コース)が今期の営業を始めた。待ちわびた愛好者約110人が来場し、好スコアを目指して快音を響かせていた。

 同コースは1997年、道南で最も早く開業した。今年は1月の大雪ですっぽり覆われていたコースも、2月中〜下旬の高温で雪解けが進んだと同時に、愛好家たちが除雪を手伝ってくれたこともあり、例年より1週間以上早いオープンとなった。「皆さまのおかげ。春が本格的になる前から、健康増進で利用してほしい」と同PG。

 この日の函館は、好天に恵まれ、日中の最高気温は平年並みの3・6度となった。防寒着姿で久しぶりに芝生上でラウンドを楽しむ人は「今年の開幕日は暖かいね」「まだ芝生は重いが、外で動けてありがたい」と心地よい汗を流していた。市内美原の主婦土井景子さん(66)は「間もなく孫が生まれる予定で、しばらく子守りが大変になり、プレーできないと思っていたので、早いオープンは本当にうれしい」と話していた。

 市住宅都市施設公社によると、白石公園と志海苔の両PGは4月9日のオープンを予定している。(山崎純一)


◎函館市議会、特例的教育支援基金の本年度の利用ゼロ

 函館市議会第1回定例会は7日も一般質問を継続し、2氏が質問に立った。川越英雄福祉部長は、生活困窮などで授業料を滞納し、出席停止になった生徒を救済する特例的な教育支援基金の本年度の利用実績が0件だったと報告した。

 竹花郁子氏(無所属)の質問に答えた。

 教育支援基金は、社会福祉協議会が低所得世帯を対象に高等学校、大学の授業料と入学金を貸し付ける制度。これに加え、厚生労働省は近年の雇用情勢の悪化などを受け、昨年度から高校に通う生活困窮世帯の生徒に限定し、授業料滞納時までさかのぼって資金を貸し付ける特例措置を、本年度末まで実施している。

 川越部長は過去3カ年度の利用実績について2007年度が41件、3319万円、08年度が14件、1079万円、09年度が21件、1810万円とした上で、「特例的教育支援基金は、現在まで利用実績はない」と説明。同基金の周知に関しては、「利用案内のパンフレットを市役所の市民相談窓口や市社会福祉協議会に置いている」とし、特例措置については厚労省の通知に基づき、道や道教委から各高校へ呼び掛けているとした。

 一般質問はこの日で終了し、竹花氏と三遊亭洋楽氏(無所属)が登壇した。

 市はまた、本年度内に発注する予定の市立障害児・者3園統合施設の請負契約に関する議案2件を追加提案し、経済建設常任委員会に付託された。このほか、競輪事業にかかわるJKA交付金制度の改善を緊急に求める意見書案1件を原案通り採択した。9日には3常任委員会を開き、本年度一般会計補正予算案など議案11件を審議する。(黒田 寛、千葉卓陽)


◎津軽海峡フェリー、4月から新サービス

 津軽海峡フェリー(函館市港町3)は4月1日から、マイカー利用客を対象に、運転者と同乗者全員の運賃が2割引きとなる新サービス「海割(うみわり)」を始める。高速道路料金の割引効果で青函航路のマイカー需要が好調な中、新たな顧客を開拓し、繁忙期以外のシーズンのてこ入れを図る。

 同社では高速料金の引き下げに伴い、土日、祝日とその翌前日の割引サービスはあったが、平日まで拡大するのは初めて。繁忙期の大型連休期間中(4月29日〜5月8日)を除く7月15日までの間、青森航路が12便120台、大間航路が4便20台限定で実施する。

 函館—青森航路の「えさん2000」を除く全船が対象で、乗船日の5日前までに予約や決済を終えていることが条件。青函航路の場合、普通車(6b未満)は乗用車が通常2万円が1万6000円、軽乗用車は同1万6000円が1万2800円、同乗者は車の定員分が同2700円が2160円になる。

 また、同社は4月2日〜5月31日まで、青函航路の日中便の乗船客限定の弁当「船弁(ふなべん)」(1000円)を発売。ご飯からおかずまですべて道内・青森県産の食材にこだわり、花見シーズン向けに2段重ねの「お花見重」(2200円)も用意する。いずれも乗船3日前までに予約が必要となる。

 同社CS・旅客部は「お得感を売りに休日が分散傾向にあるマイカー旅行者の需要を取り込みたい。船弁も『駅弁』『空弁』に続くフェリーの弁当として、全国から訪れる乗船客に津軽海峡エリアの食材をPRしたい」としている。問い合わせは同社函館支店TEL0138・43・4545。(森健太郎)