2011年3月9日 (水) 掲載

◎新豊崎トンネル貫通

 函館市南茅部地区、国道278号のバイパス「尾札部道路」(尾札部〜大船間14・8キロ)新豊崎トンネルで8日、貫通式が行われた。関係者約140人が掘削工事の成功を祝った。

 同トンネルは総延長538メートルで、トンネル部分は526メートル。昨年3月に着工し、2月28日午後1時半に貫通した。

 式には事業主体の函館開発建設部や、函館市、地元町内会、施工業者らが参加。地元町内会や漁協、商工会、市でつくる尾札部道路建設促進地域協議会の加藤詔三会長は「地域の安心、安全のために道路建設促進運動を長年続けてきただけに、この貫通式は喜ばしい。この道路は縄文文化を身近に感じられる全国でも例のない、ロマン街道となるはず。地域活性化の弾みにしたい」とあいさつした。

 施工者代表で松本組の芝原廣一社長は「箱根駅伝でいえば折り返し地点。復路も安全な作業に努めたい」と話した。工事事務所の鈴木浩史所長(41)は「工期終了は今年の10月。これからは防水や覆工コンクリートが主になる。引き続き、チーム一丸で頑張りたい」と気を引き締めていた。

 尾札部道路は、尾札部〜安浦間(6キロ)が開通済みで、安浦〜豊崎への5・9キロが新年度に開通する見通し。この区間には、今秋開館する函館市縄文文化交流センター(臼尻町)もあり、市などは現在の終点、安浦から同センターまでの暫定供用の前倒しに向けて協議を進めている。残る豊崎〜大船の2・9キロは、2016年度以降の開通を予定している。

 函館開建によると、尾札部道路の総事業費は187億円で、新豊崎トンネルには約19億円が充てられている。(田中陽介)



◎ヒブ・小児用肺炎球菌ワクチン 函館でも接種見合わせ

 細菌性髄膜炎を予防するヒブ・小児用肺炎球菌ワクチンなどを接種した幼児が、今月2〜4日に全国で相次いで4人死亡したことを受け、厚生労働省は5日から、ヒブ・小児用肺炎球菌ワクチンの接種を一時見合わせている。函館市や接種を行ってきた医療機関は、再開について国の決定を待つほかなく、保護者らも困惑の色を隠せない。

 同ワクチンを接種した後、死亡した幼児は8日現在で5人。いずれの幼児もヒブ・小児用肺炎球菌の両方、もしくはどちらかを他のワクチンと同時接種しており、5人のうち少なくとも3人に何らかの持病が見られた。厚労省は8日、専門家による会議を開き、因果関係について調査しており「検討結果を踏まえて、その後の対応を速やかに決めたい」とする。

 市立函館保健所は5日、同ワクチン接種を委託してきた医療機関に接種を見合わせる通知をしたほか、8日には接種の一時見合わせの経緯をホームページに掲載している。

 一方、医療機関では突然の通知に戸惑いの声も。函館市本通3の「あんざいクリニック」(安斉治一院長)小児科では8日現在、5日以降に同ワクチン接種を予約していた約50人に一時見合わせについて説明。安斉由紀子副院長は「国が見合わせを決定した以上従うしかない。接種費用が助成され、多くの子どもが接種できるようになっただけに残念」と話す。 市内柏木町の女性(35)は、長男(5カ月)の予防接種を10日に予約していたが、7日になって病院から接種見合わせの連絡を受けたという。「子どもの健康のためのワクチンなので、接種を受けないことに心配があるし、一方で安全性がはっきりしないのも不安。再開時期も分からないし、ほかの予防接種のタイミングと重ならなければいいのだが」と困惑する。

 同保健所は「今後の国の動向に配慮しながら、新たな情報が入り次第検討したい」としている。(黒田 寛)



◎食料高騰 店主ら悲鳴 市内のパン屋やコーヒー販売店

 穀物や砂糖、コーヒー豆など農産物の世界的な価格高騰を受け、函館市内のパン店やコーヒー販売店などでも、商品の値上げを検討する動きが広がっている。長引く景気低迷で消費者の節約志向が続く中、関係者は「現状を維持したいが、こればかりは…」と苦しい胸の内を明かす。

 「こんなに上がるとは思わなかった」。函館市中道2のパン店「パンハウスシアン」の山本光義代表(63)は、昨年から徐々に値上がる小麦粉の仕入れ値に困惑する。パン65種類を並べる同店では毎月500キロの小麦粉を使用。昨年のこの時期は25キロ当たり3500円で仕入れていたが、現在は4000円。政府売り渡しの輸入小麦は、4月から18%値上がることが決まっており、輸入小麦に頼る同店にとっては痛手だ。

 食料が高騰した2008年。食パン(1斤235円)やフランスパン(同140円)など主力商品を中心に10〜20円値上げした。かつてはパート従業員2人を雇っていたが、人件費を削り、現在は家族4人で切り盛りする。

 山本代表は「砂糖やくるみ、レーズンの価格も上がっている。変わらぬ味を提供していくためにも、値上げ幅と相談しながら価格を上げる時期は来るのかもしれない」という。

 ラーメン店も原料価格の値上がりや今後の動向が気になる。函館市花園町のあるラーメン店は、今のところ小麦価格上昇の影響は少ないとしながら「麺の値段が上がれば、いずれは値上げするかもしれない」。

 函館市美原で自家焙煎コーヒーを販売する男性は、昨年からコーヒー豆の仕入れ値が値上がるのに驚く。コーヒー豆は中国など新興国での需要増に伴い国際価格が高騰している。男性はコーヒー10種類を全て100グラム400円で提供するが、「4月から仕入れ値は引き上げられ、数カ月先は価格を引き上げるかもしれない」と話している。(長内 健)


◎町財政 危険水域から離岸 佐藤町長が執行方針

 【森】町議会3月会議は8日、本会議を続行し、佐藤克男町長が町政執行方針を述べた。佐藤町長は、町財政は当面の危険水域から離岸しつつあるとの認識を示し、「着実に行財政改革を推進し、効果的、効率的な自治体運営に努める」と述べた。

 新年度の一般会計総額は88億5534万円で、福祉や各産業振興、雇用対策、都市基盤整備など各種施策に予算を配分した。佐藤町長は今年秋に、道縦貫自動車道の「森インターチェンジ」が完成することに触れ、「道央圏との交流、物流の活性化など、地域にとって大きな転換期。特性を生かした観光、企業立地の誘導に取り組む」と述べた。

 国保病院の健全化に向けては「患者数の減少で大変厳しい運営状況。医師確保を最優先として、病院機能の充実を図り、医療を通して地域に貢献できることを柱に取り組む」とした。

 また、町議会との関係にも言及し、「混乱、対立とみるのか、熟議の表れとみるのかは住民視線という目線でみることが大事。今後も私の主張は主張として、議論を経た結果を受け入れることは当然のことで、民主主義として健全なもの。前向きに議論する町でありたい」と述べた。

 続いて、礒辺吉隆教育長が教育執行方針を述べた。新年度の各会計予算案は14日に設置する予算審査特別委員会に付託する。(今井正一)