2011年4月1日(金) 掲載

◎未来大に待望 学生生協誕生

 公立はこだて未来大学(中島秀之学長)に、待望の学生生協が誕生した。これまであった食堂と売店を学生生協の経営に切り替えることで、メニューや商品の充実を図った。新年度開始を目前に、学生や教職員で早くもにぎわいを見せている。
 昨年1月、教職員と学生有志による学生生協設立準備会を設置。以来、開設に向けて準備を進めてきた。
 学生・教職員らが1口5000円の出資をすることで設置が実現。出資者には学生生協のプリペイドカードが発行され、購入に応じポイントが貯まるシステム。出資金は卒業時に全額返還され、開設の運転資金に協力しようと、数口出資する人もいた。現在、学生の出資者(会員)は8割近くおり、学生と教職員で作る同大生協組合で運営する。
 立ち上げに関わった学生委員会Funclの古村翼委員長(3年)によると、以前から学生の間でも設置を望む声が多かったといい、「食堂のメニューが増え、売店では食料雑貨や文具のほか専門書までが並ぶ充実のラインアップ。新学期が始まり本格始動してから、一層多くの人に活用してもらえるはず」と期待を寄せる。
 同大副理事長で、同大生協組合の理事長として学生とともに開設に尽力した岩田州夫教諭も「今までカップ麺で食事を済ませる生徒も多かったが、多少安くなったぶん食堂で食事をして栄養をしっかりとってもらえれば。今後も学生の意見を取り入れながら、情報提供としてのサービスも充実させていきたい」と話していた。(堀内法子)



◎「こどものくに」今季営業開始

 函館公園(青柳町17)内の遊園地「こどものくに」が31日、今年の営業を始めた。この日の函館の最高気温は4月中旬並みの11.・0度となり、待ちわびた親子連れが訪れ、穏やかな日差しの中で笑顔を輝かせていた。
 同遊園地は1956年にオープン。冬期間は休業しており、今年は3月に入ってから開園の準備を進めてきた。敷地内には国内最古の観覧車やフラワーカップ、メリーゴーラウンド、お化け屋敷などのほか、今年は新しく、6人掛けのいすが約4.5メートルまで上昇し、ゆっくり上下に動く「フロッグジャンピング」が加わり、大型のアトラクションは13種類となった。
 いとこと一緒に訪れた市内在住の辻翔太君(9)は「上がったり下がったり面白かった」と話し、フロッグジャンピングを満喫した様子。嶋山弥桜ちゃん(4)はロータリーチェアーに乗り「スピードが早くなる所が楽しかった」と笑顔を見せていた。
 営業期間は11月末までの予定。開園時間は午前11時〜午後4時で、学校の春休みと夏休み、ゴールデンウイーク期間中は午前10時〜午後5時。問い合わせは同遊園地TEL0138・22・5039。
(平尾美陽子)



◎厳しい環境 耐える被災者…派遣の保健師が現地の実情語る

 東日本大震災の医療支援として、函館市が岩手県宮古市に派遣した保健師が帰函。健康相談業務などに携わった市立函館保健所保健師の加藤貴子さん、佐藤妙子さん、坂上ゆかりさんに現地の状況や活動内容を聞いた。
 加藤さんと坂上さんは第1班として18〜24日、佐藤さんは第2班として23〜29日まで被災地で活動。宮古市が指定した2カ所の避難所や倒壊を免れた家屋で生活する人、自主的に避難した人の健康相談や訪問相談を行った。
 加藤さんが被災地入りし、強く印象に残ったのは寒さ。現地の状況はテレビの報道などで目にしていたが、強風で砂ぼこりが舞い、雪がちらつくなど、石油や電気が使えない状況を自らの体で感じ、被災地の現実を実感した。
 加藤さんと坂上さんは避難所や自宅で避難している人を周り、健康状態について相談に乗った。悲惨な現実を受け止めながらも倒壊した自宅に私物を取りに行く被災者を見て、坂上さんは「悲しみやつらさを抑え、今できることに全力を尽くしている」と感じたという。
 佐藤さんは相談業務のほか、医師、看護師と連携し「こころのケアチーム」の一員としても活動。震災から時間がたつにつれ、仮設住宅や受け入れ先などこれからのことを涙を流して話す人の言葉に耳を傾けた。
 被災地入りして3人が感じたのは医薬品の不足と被災者の体調。とりわけ被災者は慣れない集団生活で不眠、かぜ、便秘など体調を崩す人が多くいた。函館市は第7班まで保健師などの派遣を予定しており、3人は「被災地での活動経験をよりよい形にしてバトンを渡していければ」と声をそろえた。
(黒田 寛)


◎観光都市の復活を宣言…函館市 5000人受け入れ対応

 函館市の西尾正範市長と函館商工会議所の松本栄一会頭が31日、函館市役所で記者会見し、東日本大震災の市内の被害について復興のめどがついたとして観光都市の復活を宣言した。今後、市民に被災地区での消費を喚起するとともに、復興支援本部を設置して被災者の受け入れや被災地への支援を強化する。
 西尾市長は「東北に道内で最も近く、歴史的にもゆかりの深い被災地のため最大限努力したい」と強調。民間アパートの借り上げやホテル・旅館を活用し、「一時避難を含めて5000人の受け入れは対応できる」との見解を示した。4月上旬にも被災地に市職員を派遣し、被災者の支援ニーズを把握する考え。
 一方、松本会頭は「函館の基幹産業である観光業が危機的な状況で、自粛ムードによって地域経済が回らなくなっている」と指摘し、市民の地域内消費の拡大を求めた。今後、道内や青森との地域連携を強め、修学旅行生や道内客などの交流人口の拡大に力を入れる方針を示した。
 市は1日から被災者支援のための復興支援本部を立ち上げ、避難者の受け入れや経済、観光客誘致対策など4つの分科会を設置して対応を強化する。市内の被災者については道路占有料や上下水道使用料を減免するほか、風評被害を受けた宿泊業者の入湯税の納期延長などを検討している。(森健太郎)