2011年4月10日 (日) 掲載

◎岩手の障害者施設支援…介護職員ら被災地に出発

 東日本大震災で被災した障害者支援施設「はまなす園」(岩手県山田町)の利用者や職員の支援を行うため9日、道が派遣する介護職員がフェリーで函館港を出発した。函館市港町のフェリーターミナルでは出発式が行われ、団長の廣瀬雄気さんは「スタッフや利用者が少しでも安心して居られるよう全力を尽くします」と決意を述べた。

 同施設は被災後、避難所で39人(2日現在)の利用者が身を寄せている。職員自身も被災者だが、48時間交代で泊まり込みの支援を続けており、疲労が限界に達したため同県から道に正式な要請があった。

 道は道内の障害者施設から職員を募り、10日から29日の間に1班当たり5日ずつの4班交代で、合わせて24人の職員を送ることを決めた。各班は看護職員1人と生活支援員5人で構成する。

 この日出発したのは先遣となる1班。看護職員は松本緑さん(55)、生活支援員は廣瀬団長と山上浩明さん(50)、佐藤教睦さん(31)、吉田剛さん(34)、細岡隆弘さん(43)で、札幌市と北斗市の6施設から集まった。

 出発式では渡島総合振興局保健環境部の三角清志部長が「健康に留意して勇気づけてきてほしい」と激励。おしま学園(北斗市)に勤務する細岡さんは「職員のカバーなど少しでも力になりたい」と意気込みを伝えた。(小泉まや)



◎9日間の舌戦に幕…知事・道議選きょう投票

 統一地方選の前半戦、道知事選と道議選が10日、全道一斉に行われる。東日本大震災の影響で現職陣営を中心に選挙活動を自粛する中、道南でも各候補が有権者に最後の訴えをした。道内屈指の激戦となった函館市区は、混戦のまま9日間の選挙戦を終えた。当日の投票率も大きく勝敗を左右しそうだ。

 開票結果が確定するのは道知事選が11日午前1時、道議選は函館市区が同午前零時50分、北斗市区が10日午後11時15分、渡島総合振興局区が11日午前零時、桧山振興局区は同午前零時半ごろの見通し。

 道議選函館市区(定数6)に立候補しているのは、届け出順に古岡友弥氏(共産・新)高橋亨氏(民主・現)大日向豊吉氏(無所属・新)平出陽子氏(民主・現)川尻秀之氏(自民・現)佐々木俊雄氏(自民・現)斉藤博氏(民主・現)志賀谷隆氏(公明・新)三遊亭洋楽氏(みんな・新)の9氏。

 北斗市区(定数1)は長尾信秀氏(民主・現)河野光彦氏(無所属・元)新関一夫氏(自民・新)の3氏。

 渡島総合振興局区(定数2)は笹田浩氏(民主・新)冨原亮氏(自民・現)川村主税氏(諸派・新)の3氏。

 桧山振興局区(定数1)は佐々木俊司氏(自民・新)福原賢孝氏(民主・現)の2氏がそれぞれ立候補している。

 今選挙は震災の被災者に配慮し、民主、自民、公明の各党が選挙活動を自粛した中で行われた。9日の最終日は各候補が「最後のお願い」に駆け回り、6議席を9人で争う函館市区ではJR函館駅前や本町・五稜郭、美原などの繁華街や住宅地などに選挙カーがくまなく入って支持を訴えた。北斗市や渡島総合振興局区、桧山振興局区でも国道や商店街を中心に選挙カーが入った。

 最終日はどの候補もボルテージを上げ、自粛を申し合わせた陣営でも、遊説隊が選挙カーから身を乗り出して支持を求める場面も。自粛した陣営は時間を早め、通常通りに活動した陣営は午後8時までに、それぞれ支持者が選挙事務所などに集まって必勝を祈願、9日間にわたる舌戦を終えた。

 一方、道知事選に立候補しているのは鰹谷忠氏(無所属・新)宮内聡氏(無所属・新)高橋はるみ氏(無所属・現)木村俊昭氏(無所属・新)。3選を目指す高橋氏に新人3氏が挑む構図となった。函館・道南には3氏が1回、1氏が2回入って支持を訴えた。

 投票は一部繰り上げを除き午前7時から午後8時まで。道南では函館市区114カ所、北斗市区35カ所、渡島総合振興局区156カ所、桧山振興局区100カ所の計405カ所で行われる。 (道議選取材班)



◎楽しく交通ルール勉強…新1年生ら対象 西署が安全教室

 函館西署は9日、新入学児童らを対象にした実践体験型交通安全教室「交通アドベンチャー ほくとくんと学ぼう!」を同署で初開催した。新1年生13人を含む小学生40人が参加。白バイの乗車体験や横断歩道の渡り方などを学び、交通安全に対する知識を楽しく学んだ。

 防犯意識の高揚に役立てようと、昨年10月に同署で行われた「子ども防犯・交通アドベンチャー」の交通事故防止活動版として実施された。今回はヤマト運輸函館主管支店や函館西交通安全協会、函館西地区安全運転管理者協会などの協賛を得て、3つのブースを用意した。

 中でも一番人気だったのが、函館方面本部函館機動警察隊の白バイ。乗車体験には多くの子どもたちが列をなし、座席にまたがると歓声を上げて大喜びしていた。また、交通ルールを腹話術で学ぶ時間も用意され、信号機の色の意味などを確認した。

 子どもたちは、大型車からの死角についても体験コーナーで学習。まとめとして道警マスコットほくとくんや同署の岡豊彦署長らとともに近くの横断歩道に出向き、左右を確認し、手を上げて元気に横断していた。(小杉貴洋)


◎バイオリン奏者ベルマンさんが弦楽クリニック

 10、11日のはこだて音楽鑑賞協会4月例会に出演するロシア人のバイオリン奏者、パーヴェル・ベルマンさん(41)による弦楽クリニックが9日、函館市芸術ホール(五稜郭町)で開かれた。ベルマンさんは福島原発事故の影響による東京公演中止を受け、急きょ来函。地元のアマチュア奏者3人に表現や演奏時の心構えを熱心に伝えた。

 ベルマンさんはイタリアを中心に活躍するソリスト、指揮者。当初は全国10公演を予定していたが、8、15日の東京公演が中止となったため「日本のために何かできることはないか」と函館でのクリニック開催を打診。快諾した同協会が協力し、市文化・スポーツ振興財団の主催で実現した。

 この日、ベルマンさんはブラームス作曲の「交響曲第一番」で3人を指導。「音符一つ一つが持つ意味を考えて演奏しなければ」「音楽で何を言いたいのか、きちんと自分の答えを見つけてほしい」と語り、名器ストラディバリウスでフレーズの流れや音の強弱を実演してみせた。

 函館市芸術ホール管弦楽団に所属する東海林一隆さん(57)は「音の出し方をどうイメージすれば良いのかが非常に勉強になった」と話していた。

 ベルマンさんは「3人に喜んでもらえてうれしい」と話し、「大変な時期だからこそ音楽の力が必要。本番では自分が出せるものを全て出し切りたい」と意気込んでいる。

 函館公演は同ホールで10日午後2時、11日同6時半から。(長内 健)