2011年4月11日 (月) 掲載

◎志賀谷氏 初陣飾る 道議選

 統一地方選の前半戦、道知事選と道議選は10日、投票が行われ、即日開票の結果、函館市区(定数6)は、公明党新人の志賀谷隆氏が初陣を飾った。自民党は現職の川尻秀之氏がトップ当選、現職の佐々木俊雄氏も2期目の当選を果たした。民主党は斉藤博氏、平出陽子氏、高橋亨氏がそろって当選を決め、逆風の中で3議席を維持した。北斗市区(定数1)は民主党現職の長尾信秀氏が三つどもえの戦いを制した。渡島総合振興局区(定数2)は自民党現職、冨原亮氏と民主党新人の笹田浩氏が当選。桧山振興局区(定数1)は民主党現職の福原賢孝氏が3選を決めた。

 09年の政権交代後初めての統一選で、東日本大震災を受けて、防災対策や原子力発電所のあり方、深刻度を増す景気・雇用問題への対応などが争点となった。道南では渡島総合振興局区の定数が3から2に減った中、全10議席のうち民主党が過半数の6議席を確保。知事選に出馬した木村俊昭氏が大差で敗れた中で、一定の結果を残した。

 定数6に9人が立候補した函館市区は、前回に続き道内有数の激戦区となった。大震災による自粛ムードの中、現職が実績を生かした選挙戦を展開、組織力の弱い新人陣営には厳しい結果となった。

 川尻氏は現職の強みを発揮。建設業界、水産業界のほかサービス業界など幅広い団体から推薦を得て、終始安定した戦いを進めた。

 佐々木氏は川尻氏と競合する建設・水産業界ですみ分けを図った。大震災を受けて社会資本整備の充実を訴え、前回から大幅に票を伸ばした。

 志賀谷氏は参院に転じた横山信一氏の後継として出馬。函館市議を5期務めた実績を強調するとともに、公明・学会票を手堅くまとめた。

 斉藤氏はNTT労組を母体とした戦い。後援会の体制構築が出遅れたが、労組関係のOBなども支持拡大に奔走し、4選を決めた。

 平出氏は連日、防災服姿で災害対策や命を守るまちづくりを強調。支持母体の北教組への逆風の中、主婦層や高齢者層をつかんだ。

 高橋氏は最大労組の市職労をバックに臨み、組織票をしっかりと固めた。さらに漁協、農協など一次産業関係者にも支持を広げた。

 古岡友弥氏は候補者中最年少の34歳の若さをアピールし、大間原発の建設反対や子育ての充実を一貫して訴えたが、次点に泣いた。

 大日向豊吉氏は新幹線の現函館駅乗り入れに政策を絞って臨んだが、出馬表明の出遅れを取り戻せず、3度目の正直はならなかった。

 三遊亭洋楽氏は金をかけないユニークな選挙を展開。無党派層をターゲットに既成政党の批判票を集める戦略だったが、広がりを欠いた。

 北斗市区では長尾氏が現職の知名度を生かして当選。民主党への逆風の中、政党色を出さずに人柄を前面に出した戦略が実った。

 新関一夫氏は自民党公認と若さをPRし、新幹線時代を見据えた振興策を訴えた。眠っている保守票の掘り起こしを狙ったが及ばなかった。

 元職の河野光彦氏は一次産業振興を主に訴えたが、旧渡島支庁区時代に固めた旧上磯地区の支持者は離れ、伸び悩んだ。

 渡島総合振興局区は冨原氏がトップ当選。保守唯一の候補、若手のホープとして大票田・七飯町を中心にまんべんなく支持を集めた。

 笹田氏は引退する岡田俊之氏の後継として出馬。八雲・長万部の北部2町を地盤に、出身母体の自治労がフル回転し岡田氏の議席を守った。

 川村主税氏は地盤の渡島西部4町のほか、七飯町や、候補が立たなかった森町に精力的に足を運んだが、地盤地域の人口の少なさが響いた。

 桧山振興局区を制した福原氏は、支庁再編など高橋道政への対立姿勢を前面に出し、地元の上ノ国町や江差町で一部保守票も取り込んだ。

 佐々木俊司氏は出馬表明が3月上旬と出遅れた。支庁制度改革の見直しを打ち出すとともに保守の大同団結を図ったが、準備不足に泣いた。



◎高橋氏 大差で3選…道知事選

 【札幌】道知事選は、10日投票が行われ、即日開票の結果、現職の高橋はるみ氏(57)=無所属、自民・公明推薦=が184万票の得票で圧勝し、3選を果たした。元農林水産省大臣官房企画官の木村俊昭氏(50)=同、民主、社民、国民新党推薦=は知名度不足が最後まで響き、高橋氏に130万票引き離された。無所属の宮内聡氏(47)=共産党など推薦=、前道議会副議長の鰹谷忠氏(59)=無所属=は及ばなかった。全道投票率は59.46%で、前回を4.67ポイント下回った。

 高橋氏は洞爺湖サミットの開催や雇用・経済問題、行財政改革への取り組みなど、2期8年の実績と、豊富な道内外の人脈などを訴えたほか、告示直前には公務で太平洋沿岸地域の漁村など、道内の被災地を精力的に回った。知事選告示後としては初めてとなる臨時道議会を開会。漁港の復興、復旧費を補正予算に計上するなど、震災後の迅速な対応が高く評価された。

 選挙期間中、一時風邪で体調を崩し、十勝など道東方面の遊説、集会はキャンセルとなったが、復帰後は大票田の札幌を中心に精力的に運動を展開した。無党派層の取り込みにも努め、都市部で大量得票を得た。

 政策面では地域重視、豊富な人的ネットワーク、食を中心とした北海道価値の向上などをアピール。北海道の方向性を見定めた政策と柔らかい人柄が幅広い層から支持を得た。

 ただ、自民党道連は札幌市長選で高橋氏の知名度、人気を支えに本間奈々氏(41)と連動した活動を展開したが、ダブル当選はならなかった。

 木村氏は、どさんこ候補であること、全国各地での街づくりの経験、道民所得の向上を旗印に訴え続けたが、自粛ムードの中で知名度アップを図れず、苦しい戦いを強いられた。

 政権与党の民主党が献金問題などで支持率が下がっていたことや、昨年道内で行われた2回の国政選挙で敗れ、さらに新党大地が推薦を外したことなども影響し、勢いには乗れなかった。

 宮内氏は脱原発、国保料の値下げなどを公約に支持拡大を図ったが、及ばず。長い道政経験を訴えながら特定の支持団体を持たずに独自の戦いを展開した鰹谷氏も、訴えは届かなかった。



◎キッズスタジアム来場者5万人突破

 JR函館駅前地区の活性化や子育て支援を目的とした屋内施設「大門キッズスタジアム」(若松町のWAKOビル5階)への来場者が10日、5万人に達した。昨年7月のオープンから10カ月を待たずしての達成に、設置した函館市は「需要は高く今後も継続したい」との気持ちを新たにしている。

 同施設の運営費は国のふるさと雇用事業でまかない、市が同ビルの運営会社NAアーバンデベロップメント(布村隆二社長)に事業を委託している。有料と無料の各区画に、子育て情報や休憩スペース、クライミングウォールやボールなど多彩な遊具を備えたプレイコーナーを用意する。

 5万人目となったのは函館市乃木町の田村月乃ちゃん(1)と母親の祐子さん(41)。記念に子どもの成長を記録する木製の身長計などが贈られた。2人は毎日のように来場しており、この日は偶然いつもと異なる時間に訪れた。突然の歓迎に祐子さんは驚きながらも喜び、「広くてきれいなので安心して遊ばせられる」と話していた。

 布村社長は、20日には利用者の希望があった滑り台など新たな遊具を取り入れるとし、「これからも利用者の声を聞きながらより充実した施設にしたい」と話していた。 (小泉まや)