2011年4月13日 (水) 掲載

◎函館猛虎会がプロ野球開幕戦観戦

 プロ野球セ・パ両リーグが開幕した12日、函館市と近郊の阪神タイガースファンでつくる「函館猛虎会」(原田幸平会長)は、同市若松町の居酒屋「てっ平」で阪神対広島戦をテレビで観戦した。縦じまのユニホームや法被に身を包んだファンは、「リーグ優勝を」と、甲子園球場に向けて盛んに声援を送った。

 2009年から真弓明信監督となり、同年は4位に、10年は2位だったが、クライマックスシリーズで敗退。今年こそはという思いで、市内や近郊から約20人が訪れ、開幕戦を観戦した。

 1対1の同点から、3回裏に1点を勝ち越すと店内には拍手がなり、「六甲おろし」を合唱。「やったー」と叫びが店内に響きわたった。同時に「やっぱり野球は楽しい」などの開幕を待ちわびたファンの声が聞かれた。

 原田会長は「世の中は自粛ムードだが、30年続くこの会では、盛り上がって応援していきたい。今の日本にははじけることが大事」と話し、会員の清川一夫さんは「野球を通して自分たちが元気になれば被災地にも思いは届く。野球は大事だ」と思いを熱く語った。(平尾美陽子)



◎東日本大震災、函館の被害額12億3300万円

 東日本大震災で、函館市内の津波などによる浸水や漁業関連の被害額が少なくとも12億3300万円に上ることが12日、市のまとめで分かった。発生から1カ月。市内や東北地方の被災者への支援体制は整いつつあるが、市内では直接被害に加えて観光産業などへの「二次被害」もあり、実質的な被害額はさらに膨らみそうだ。

 市総務部によると、11日現在で、床上浸水は403棟、床下浸水は110棟で、被害額は計9億7000万円。建物被害は計3900万円だったが、設備類や商品などの動産被害が9億3000万円と大半を占めた。車両の冠水被害は計666台だったが、被害額は「算定不能」という。

 漁業被害は全体で1億5900万円。特に南茅部地区の養殖コンブの流出が9000万円と全体の半数以上に達し、養殖施設の破損被害も2000万円に上った。漁船は市内4カ所の漁港や岸壁で沈没が5隻、損傷が13隻で計4700万円。市の施設では水産物地方卸売市場でも上屋やシャッターなど約30件が破損し、被害額は4200万円だった。

 東北地方から公営住宅などに受け入れた被災者は11日現在、計22世帯70人で、さらに3世帯13人が入居予定。地域別では宮城県や岩手県よりも原発事故から逃れてきた福島県からが12世帯46人と最も多く、このほかに函館の親類宅に身を寄せている避難者も50人近くいるという。

 市は5〜9日まで岩手県や宮城県に職員を派遣して被災自治体のニーズを調査した結果、被災者の多くは地元で暮らしたい意向が強く、岩手県の陸前高田市や大船渡市では救援物資も一部足りていないという。今後、市は14日にトラックで両市に市民から寄せられた段ボール900箱分の箱ティッシュなど14品目の物資を送る予定。(森健太郎)



◎啄木百回忌記念、6月に講演会

 明治期の歌人石川啄木(1886〜1912年)の百回忌を記念した文化講演会「啄木函館を歌う〜初恋のいたみを遠く〜」が6月25日午後2時から、市中央図書館で開かれる。昨年11月に30年ぶりに復刊した同人誌「視線」の会(和田裕編集長)らが主催。講師に同誌の客員同人でもある国際啄木学会の近藤典彦元会長(72)を迎える。和田さん(64)は「若い人が短歌、そして啄木について学び始めるきっかけになれば」と来場を呼び掛けている。

 啄木は1907(明治40)年5月5日〜9月13日の132日間、函館で生活し、弥生尋常小学校の代用教員などを務めた。12年4月13日に東京で死去、墓はこよなく愛した函館(住吉町)にある。

 近藤さんはこれまで、啄木に関する多数の著書を執筆。和田さんは市文学館の前館長で、取材・研究のため同館を訪れる近藤さんと親交があり、節目に講演会を企画。道南歌人協会(俵祐二会長)、函館の文学と音楽の会(白井雄三会長)に趣旨を話し、3団体で主催することとなった。

 和田さんは「これまで啄木については伝記的研究が多かったが、今後はこれを踏まえた作品研究も大切。講演会は新たな魅力を発見する契機になると思うが、そのためにも若い世代に多く興味を持ってほしい」と話す。俵さん(78)、白井さん(82)は「啄木の歌には生活実感が込められ、講演は啄木を知ることもでき、歌の作り方も学べる良い機会」と口をそろえる。

 近藤さんは同館や市中央図書館所蔵の資料を基に最新の研究をしており、当日はこれまで発表されていない事実も明らかにするという。演題にある「砂山の砂に腹這ひ初恋のいたみを遠くおもひ出づる日」は大森浜付近で詠まれたもので、啄木の函館との関わり、思いを聞くことができそうだ。

 入場無料(資料代として300円かかる)。申し込みは5月25日から、市文学館で行う。問い合わせは和田さんTEL0138-32-6844。(山崎純一)


◎ミスはこだて、被災者支援で街頭募金活動

 本年度のミスはこだての3人が10日、丸井今井函館店(函館市本町)前で東日本大震災の被災者を支援しようと、街頭募金活動を行った。初仕事となった3人はそろいの水色のスーツ姿で買い物客らに協力を呼びかけた。

 新ミスに選ばれた田口愛弥子さん(21)=北大水産学部3年=が震災当日、仙台市内の実家で被災した経験から、「函館からも被災地の方に少しでもできることをしたい」と提案。西野里沙さん(25)、西谷依里子さん(25)も快諾した。

 この日は函館国際観光コンベンション協会が用意した「がんばれ東日本!」と書かれた大型の応援看板も設置。募金箱を持った3人は「ご協力お願いします」と笑顔で呼びかけた。中には数千円単位の大口寄付もあり、約1時間で6万8674円の義援金が寄せられた。

 同協会が管理する旧イギリス領事館や観光案内所など3カ所の募金箱に寄せられた約1万5000円と合わせ、12日に計8万3702円を市福祉部を通じて日本赤十字社に送った。大型看板は同領事館前に11日から設置している。(森健太郎)