2011年4月16日 (土) 掲載

◎箱館ハイカラ號 今季運行開始

 函館市企業局交通部は15日、明治時代の路面電車を復元した市電「箱館ハイカラ號(ごう)」の今季の運行を始めた。赤を基調としたレトロな車体が函館の街並みにとけ込み、本格的な春の観光シーズンの幕開けを告げた。

 ハイカラ號は1910(明治43)年に千葉県で運行を開始。18年から36年まで函館で客車として活躍後、除雪用のササラ電車として改良された。92年に復元され、翌93年から観光シーズンに運行している。

 初便は午前8時59分に駒場車庫を出発し、レトロな制服に身を包んだ運転士の山川武士さん(38)と車掌の高田亜美さん(22)の2人が乗務。西部地区では沿道から手を振られたり、観光客にカメラを向けられたりして歴史的な街並みを走り抜けた。

 市内栄町に住む女性(74)は「ハイカラ號は函館の景観にとってもなじむ。今年も何度か乗ってみたい」と話した。運行は10月末まで、湯の川―函館どつく前などを一日4往復する。火曜、水曜や悪天候時などは運休。問い合わせは同交通部電話TEL0138-52-1273。(森健太郎)



◎函館山登山道が開通

 新緑の春、満喫―。冬期間通行止めとなっていた函館山登山道(道道立待岬函館停車場線)が15日午前11時に開通した。ゲートが開くと、この日を待ち望んでいた多くのドライバーが一斉に車を走らせ、芽吹き始めた色鮮やかな風景を楽しんだ。

 ことしも4月の降雪の影響はなく、開通は例年並み。天候にも恵まれ、函館市青柳町5の登山ゲートには、開門を待つ約10台の車列ができた。ドライバーには青柳町会から、「無事に帰る」の願いを込めた手製のカエルのお守りが手渡された。また、乾燥時期で山火事が懸念されることから、同市北消防署員や元町防火クラブからも約15人が参加し、パンジーの鉢植えや防火啓発資材を配布した。

 今回の一番乗りは午前7時から並んだという北斗市の会社員、山本博幸さん(40)。今回で3回目の一番乗りを達成した山本さんは「びっくりしたが、とてもうれしい。早く景色を楽しみたい」と笑顔だった。

 同登山道は夜景見物での混雑解消のため、バスやタクシーを除く一般車両を25日から10月15日までの期間、午後5時から同10時まで通行禁止とする。(小杉貴洋)



◎1カ月ぶりに西部地区歴史的建物ライトアップ

 東日本大震災を受け、夜間に自粛していた函館市西部地区の歴史的建物のライトアップが15日、1カ月ぶりに一部で再開した。元町の教会群では、温かな雰囲気の光景にカメラを向ける人の姿も見られた。

 市などは、被災地への配慮や節電に協力しようと、3月14日から一斉に点灯を中止してきた。市民から点灯再開を望む声が上がっていたほか、函館山登山道の通行規制が解除されるなど本格的な観光シーズンを迎えることから、再開を決めた。

 この日は函館カトリック元町教会や市地域交流まちづくりセンターなどで、午後5時半ごろから点灯を始めた。市内船見町の主婦早川敬子さん(48)は「このように函館が元気な様子を多くの人に知ってほしい」、和歌山県紀美野町から訪れた会社員白橋憲明さん(52)は「このきれいな夜景で被災した人を元気付けることができると思う」と話していた。(山崎純一)


◎大震災 渡島の漁業被害 道内最大141億円

 道は15日までに、東日本大震災に伴う道内の漁業被害額をまとめた。概算で255億5155万円に上り、噴火湾を中心に、津波で養殖施設が被害を受けた渡島は、141億7338万6000円と道内で最大。3月17日に発表した渡島の被害額は105億円だったが、ホタテやコンブなどの漁獲被害が加わり、当初の予想を上回る被害額となった。桧山は被害ゼロだった。

 各漁協への聞き取りでまとめた。渡島で最も被害を受けたのは八雲町の106億3806万1000円。内訳はホタテ養殖施設が65億6955万円、ホタテそのものが37億9128万円、4漁港で2億5873万円など。

 次に被害が大きいのは長万部町の15億3118万9000円。森町は10億474万円、鹿部町は7億5759万3000円、函館市は2億79万9000円、北斗市は2993万円、木古内町は802万5000円、知内町は296万9000円、松前町は8万円だった。

 渡島総合振興局水産課は「今後さらに精査することで被害額が多少変わってくるかもしれない」としている。(田中陽介)


◎被災地に送る個人支援物資 道の受け付け終了

 道は、東日本大震災の被災地に送る個人提供の支援物資の受け付けを、15日で終了した。被災県で当面の必要物資が確保されたと、全国知事会から連絡があったことを受けての対応で、予定より1週間早く窓口を閉じた。

 個人支援物資の受け付けは3月28日から実施。道南では渡島総合振興局と桧山振興局が対応し、食料や生活用品、学用品の寄付を呼び掛けた。

 渡島は281個人、4企業、6団体から計3990件、桧山は37個人、2企業、1団体から計40件の善意が寄せられた。

 函館水産高校の生徒や教職員らは15日、渡島総合振興局に、学校でつくったサケやサンマの水煮の缶詰を11箱(計250個)を持参。缶切りも用意し、「困ったときは助け合い。少しですがみんなで食べてください。早くみんなが元気になりますように」などと箱にメッセージを書き込んだ。

 渡島総合振興局の担当者は「15日で受け付けが終わるのを知り、急きょ用意したと聞いた。高校生の温かなメッセージも必ず東北に届くと思う」と話していた。  物資は札幌の救援物資センターを経て、福島、宮城、岩手の各県に輸送される。(田中陽介)