2011年4月17日 (日) 掲載

◎朝市関係者9人 気仙沼に支援物資届ける

 函館朝市協同組合連合会の井上敏廣理事長をはじめとする朝市関係者9人が16日、東日本大震災で大打撃を受けた宮城県の気仙沼朝市に支援物資を届けるために函館を出発した。翌17日の気仙沼朝市再開に合わせて、応援に駆け付ける。

 津波による浸水で大きな被害を受けた函館朝市だったが、市民ボランティアの協力もあり、現在では大半の店が営業を再開している。井上理事長は「営業はしているが以前の客足が戻っているわけではなく、厳しい日が続く。しかし、東北の朝市は函館と比較にならないほどの被害を受けている。同じ商売をする仲間として、いてもたってもいられず現地に行くことを決めた」と話す。

 今回訪れる気仙沼朝市と函館朝市は、全国各地の朝市で構成する「全国朝市サミット協議会」の仲間。津波により現在も船が4隻乗り上げている状態で、従来の場所での再開するめどはたっていない。しかし復興への第一歩として17日、数キロ離れた気仙沼中央児童車学校跡地を臨時朝市会場として営業を始める。

 支援物資は無洗米1・5トンをはじめ、カップ麺やレトルトカレー調味料セットのほか、来場者に振る舞うために毛ガニ138パイを用意。2トントラック1台とワゴン車1台で運ぶ。フェリーで青森入りして東北自動車道、気仙沼街道を南下し、函館から約11時間かけて気仙沼市を目指す。

 「困ったときはお互いさまの心で応援に駆け付けたい」—。助け合いの精神で気仙沼に元気を届ける。(堀内法子)



◎重文「旧函館区公会堂」「太刀川家」改修へ

 函館市は本年度、国の重要文化財(重文)に指定されている旧函館区公会堂(元町11)と、太刀川家住宅店舗(弁天町15)の大規模改修に乗り出す。いずれも築100年を超えて建物の傷みが目立つため、市は計約1000万円の予算を計上。東日本大震災に伴う被害もなく、西部地区の歴史的な建造物が装いを新たによみがえる。

 市教委によると、公会堂は函館大火で焼失した町会所に代わる施設として、1910(明治43)年に完成。木造2階建てで、灰色と黄色の塗装が特徴的な和洋折衷の建築様式だ。74年に重文に指定され、80〜82年には3億5500万円をかけて部分解体を含む大規模改修が行われた。

 しかし、現在は外壁のはがれや柱の腐食、雨漏りが目立ち、市は本年度、500万円かけて約30年ぶりの大規模改修に向けた本格調査に着手する。6月ごろから専門業者が外装を中心に内部構造の傷み具合をチェックし、2012年以降、国が50%、道と市が25%ずつ負担し、修復作業を進める。

 一方、太刀川家は米穀商や漁業を営む初代太刀川善吉が1901(明治34)年に建築。土蔵造り2階建ての建物は両端に窓がなく、防火対策に優れていて、正面には3連のアーチを設けるなど洋風のデザインも取り入れている。71年に重文指定を受けた。

 現在は6代目の善一さんが所有し、2009年から1階をカフェとして活用しているが、壁の漆喰(しっくい)がはがれ、屋根瓦に一部破損している状態。大がかりな改修は台風被害を受けた04年以来7年ぶりで、本年度に着工する。総事業費約1900万円のうち、市は国の補助金や所有者の負担金を除いた約500万円を予算付けした。

 市教委文化財課は「震災の被害を受けずに当初の計画通り進められる。公会堂は西部地区のランドマーク的な存在で、太刀川家も一つの街並みを形成している。どちらもきれいにお色直しして長く後世に残していきたい」としている。(森健太郎)



◎函館けいりん開幕

 本年度の函館けいりんが16日、市営函館競輪場(金堀町10)で開幕した。東日本大震災の影響による東北・関東圏の節電に配慮し、4月中のナイターを自粛。午前10時開場の日中開催となった。東日本大震災の犠牲者に黙とうをささげたほか、日本競輪選手会北海道支部所属の選手が入り口に立ち募金活動も行った。

 今年の函館けいりんの開催は58日間。目玉レースは6月11〜14日の函館記念(GV)で、全国から強豪選手が集まる。

 約5カ月ぶりのレースを心待ちにしていたファンなど、1564人が足を運び、雨の中、熱烈な声援を送った。第1レースから3連単で86万円を超える高配当。波乱含みの開幕戦となった。

 この日は開幕記念として、世界のびっくり爬虫(はちゅう)類展などのイベントが用意され、競輪場内をにぎわせた。開幕レースの「第6回藤巻兄弟杯」は18日まで行われる。(小林省悟)


◎函館市長選きょう告示 24日投開票

 統一地方選後半戦となる函館市長選と函館、北斗両市議会議員選が17日告示される。函館、北斗両市役所で午前8時半から立候補を受け付け、24日の投開票日まで激しい舌戦を展開する。経済・雇用対策や財政再建、少子高齢化対策などのほか、2015年度の北海道新幹線開業に向けたまちづくりも大きな課題となっている。(統一地方選取材班)

 函館市長選に立候補を予定しているのは、五十音順に、無所属新人で前函館市副市長の工藤寿樹氏(61)と、無所属現職で2選を目指す西尾正範氏(62)の2人。07年の前回と同様、現職と前副市長の争いとなる。

 工藤氏は09年末に副市長を辞職し、昨年11月に出馬を表明。辞職時から一貫して西尾氏の市政運営に対する批判を展開している。求めていた政党推薦は得られなかったが、商業団体や建設業界などが推薦。知名度不足をばん回できるかが鍵を握る。

 西尾氏は今年1月に2選出馬を表明。4年間の実績を強調するとともに、工藤氏の批判にも公開討論会の場などで反論を強めてきた。前回同様に政党推薦に頼らない選挙戦に徹する構えで、水産業界や教育団体が後押し。浮動票や女性票の獲得に力を注ぐ。

 また、両陣営とも東日本大震災の被災者に配慮し、市議選各政党の自粛に合わせる形で遊説時間を午前9時から午後6時までに短縮する。

 函館市議選(定数30)は今回から全市域対象の選挙戦に戻り、現職24人、元職4人、新人9人の計37人が立候補を表明。北斗市議選(定数22)も前回設けられた旧上磯、旧大野の選挙区がなくなり、全市域が対象。現職21人、元職2人、新人4人の計27人が出馬する見通しだ。


◎ステンドグラス教室の有志がチャリティー即売会

 東日本大震災で被災した人たちを支援しようと、フジイステンドグラス教室(藤井絹子代表)の有志の会が16日、市地域交流まちづくりセンターでチャリティー即売会を実施した。藤井代表や生徒らが心を込めて制作した約500点が並ぶ。同会では「少しでも被災者の力になりたい。ぜひステンドグラスの美しさを感じに来てください」と来場を呼び掛けている。即売会は17日(午前10時〜午後6時)も開催される。

 同教室に通う永澤勝平さん(66)が「被災地のため自分たちにも何かできることはないか」と仲間に呼びかけ、3月中旬から企画。4教室の生徒ら約60人が参加し、ランプや時計、アクセサリーなどを出品した。価格帯は100円から4万円までと幅広く、初日は多くの来場者でにぎわった。

 来場者の目を特に楽しませているのはステンドグラスを多用したランプ。ほのかな明かりが多くの人を和ませ、気に入った作品を買い求める姿が目立った。売り上げの全額は同センターを通じて「被災者支援情報センター」に送られるという。(小杉貴洋)