2011年4月19日 (火) 掲載

◎西村さん 交通安全訴え全国行脚

 軽自動車で全国を回りながら交通安全を訴える、十勝管内清水町出身の西村亙さん(86)が16日から、函館入りしている。不慮の事故で右足を切断しながらも、北海道の交通死亡事故が多いことを憂慮し、「自分にしかでいないことで、命の尊さを伝えたい」と、一人で活動をし続けてことしで24年目。自身のこれまでの経験を交えて「どうせ一回限りの人生。事故で死ぬなんてもったいない」。直筆の色紙に願いを込め、輪禍のない世界をとひた走る。

 西村さんが全国行脚に出向いたのは、退職後の64歳の時。故郷の北海道が死亡交通事故ワーストワンを記録、心を痛めたことがきっかけだった。1988年に道庁をオートバイで出発。各地の運送業者や役所などを回り、工津安全を呼び掛けてきた。

 しかし、2004年に旭川市で接触事故に遭い、右足の太ももから下を失った。親類の勧めもあり、療養していたが、交通安全に対する思いは強くなるばかりで、81歳にして運転免許を取得。左足でアクセル操作をできるように車を改造し、07年から行脚を再開した。年間平均5万キロを走行、これまでに100万キロ近くを走破してきた西村さん。

 宮城県を北上中の3月11日、東日本大震災に遭った。避難所での生活が2週間続いた。「多くの人たちの温かさに触れた」と振り返る西村さんは、この体験を通して「より強く命の大切さを考えるようになった」と話す。

 現在は、「至宝」などの言葉をしたためた書を販売し、子どもたちに文房具などを送る活動にも積極的に取り組んでおり、函館滞在中にも実施する予定だ。「ことし、来年には残す2県を制覇するつもり。人生100歳の時代だから、体力の続く限り頑張っていきたい」とほほ笑んだ。(小杉貴洋)



◎道教大函館 特認教授に東家さん

 道教育大函館校が2011年度の特認教授に函館市内在住の落語家、東家夢助さん(70)を任命した。これに伴い18日、同校で辞令交付式を実施。同校の雁澤好博副学長と東家さんは講座の展開について話し合い、同取り組みの成功を誓いあった。

 雁澤副学長は近年の若者にについて「コミュニケーション能力が下がってきているように感じる」と危惧。それを向上させるねらいで東家さんの任命が決まった。「落語を鑑賞して面白さや表現力を間近で感じ、人と関わり合う能力を養ってもらいたい」と期待する。

 講座は年に1回、夏休み期間中の8〜9月ごろに数日間かけて実施する予定。同校の学生だけでなく、ほかの大学の学生や一般も参加できるよう調整を進めるという。

 東家さんは「落語は人間の喜怒哀楽を表現できるところが面白い。本音で伝えようとする心が届いたらうれしい。講義では、いい格好しようと思わないようにしたい。時に失敗しても、受講生らの反応から学ばせてもらいながら、務めたい」と話している。(堀内法子)



◎新生「鶴丸」初めて函館に

 日本航空(JAL)が創業当時の原点に立ち返る決意で本年度採用したロゴマーク「鶴丸」を尾翼に描いた機体が18日、初めて函館空港に入航した。胴体には東日本大震災の被災地を激励する「がんばろう日本」の言葉も記されており、約40分間駐機した。

 鶴丸は1959(昭和34)年の国際線開設などの時代に採用され、同社を代表するマークとして親しまれてきた。今回、会社更生を経た同社が創業当時の精神に立ち返ろうと再び採用し、機体整備に合わせて順次塗り替えている。現在2機あり、合わせて「がんばろう」を描いたのは1機のみ。

 機体は羽田—函館の往復便で使用され、午後7時5分に77人を乗せて到着した。同45分発の便には61人が乗り込み、同社函館支店の職員らは搭乗口で「ご搭乗ありがとうございます」の感謝の言葉とと鶴丸を描いた横断幕を掲げて見送った。

 同支店の佐藤守孝支店長は「原点に戻り、ご迷惑をかけた世間に恩返しをするつもりです」と話していた。鶴丸の機体は順次増やすといい、函館—羽田便では今後も登場する予定。(小泉まや)


◎住警器 早期設置を…あすから春の火災予防運動

 春の全道火災予防運動が、20日から30日まで開かれる。空気が乾燥しやすいこの時期は小さな火種が大火災を招く危険性があり、十分な注意が必要だ。函館市消防本部では運動期間中、6月1日から市内で設置が義務化となる住宅用火災警報器(住警器)の早期設置を強く呼び掛ける考え。

 同本部予防課によると、春は空気が乾燥しやすいせいか、1年の中で最も火災の発生件数が多い。函館市内では、4月に入り瀬田来町の住宅と中道2の共同住宅で高齢者らが火災に巻き込まれるなど16日現在まで5件発生している。また、この時期は枯れ草から燃え広がる野火が多いのも特徴。こうした火災を防ぐには、屋外でのごみ焼きやたばこのポイ捨てをしないよう注意する必要がある。

 住宅の防火対策では、日々の火気管理の徹底に加え、火災兆候をいち早く知らせる住警器の早期設置が不可欠。同本部によると、今年2月、市内の住宅でたばこの不始末によるぼやが発生したが、煙を感知した住警器の警報音が作動し、大きな被害に至らなかった奏功事例がある。しかし今年3月末現在、市内の住警器普及率は64・3%と3世帯に1世帯が未設置で、全世帯普及にはまだまだという。

 このため、20日から11日間は、住警器の早期導入を促す街頭啓発キャンペーンを強化するほか、市消防職員・団員が家庭を戸別訪問し、設置を呼び掛けていく。同課は「野火だけではなく、こんろから出火する火災も多い。揚げ物で火を使う時はそばを離れないようにするのはもちろん、後始末にも細心の注意を払ってほしい」としている。(長内 健)


◎運休期間5月末まで延長 函館—ソウル便

 大韓航空は18日、東日本大震災の影響で運休している函館—ソウル(仁川)間の定期便の運休期間を、5月31日まで延長することを決めた。福島の原発事故の現状から、主要の韓国客の利用を見込めないため。ただ5月5、8、10日の3日間に限っては、ゴールデンウィークなどの需要を見込み、一時的に運行を再開する。

 同路線は週3回(火・木・日曜日)の定期便だが、震災後3月22日から運休している。当初は3月下旬までの予定だったが、その後も福島原発の劇的な状況改善がみられないことから、今回で2回目の延長となった。

 一時的に再開する3日間は定期便と同じ曜日、時間で、日本のゴールデンウィーク需要と、韓国でも5月5日が子どもの日で休日に当たることから利用を見込んだ。同社は6月以降についても原発の状況を参考に判断するとしており、「運行再開の方向で考えているが、すべては原発次第」と話している。(小泉まや)