2011年4月2日 (土) 掲載

◎強風の中観光客続々…立待岬開放

 函館市の立待岬に向かう市道の冬期通行止めが、1日に解除された。道南を代表する行楽地が開放され、市民や道内外からの観光客が次々と訪れた。

 この日は冷たい風が強く、津軽海峡もうねりがあり、車から降りた人は身をすくめながら歩いていた。海をゆっくりと見渡すこともできず、記念写真を撮ると足早に車に戻る人が多かった。

 大学の春休みで千葉県市川市から函館市中道の実家に帰省している西川香澄さん(20)は「東日本大震災の日から落ち着かず、暗い気分だったが、久しぶりにここに来て元気が出た」と笑顔。新潟県阿賀野市から訪れた会社員の麻生泉さん(46)は「今日から開放と聞き、来てみた。北海道に来た実感が沸く場所ですね」と話していた。(山崎純一)



◎4選挙区に17人立候補…道議選告示

 道議会議員選挙が1日告示され、すでにスタートしている道知事選とともに、10日の投開票日まで9日間にわたる舌戦に突入した。道南では函館市選管、北斗市選管、道選管渡島支所、同桧山支所で立候補の受け付けが行われ、函館市区(定数6)は現職と新人の9人、北斗市区(同1)には現職、元職、新人の3人、渡島総合振興局区(同2)は現職と新人の3人、桧山支庁区(同1)は現職と新人の2人と、予想された顔ぶれが立候補した。統一選後半の市町長・議員選を占う選挙で、各候補は届け出を済ませた後、選挙事務所前などで第一声を上げ、遊説に飛び出した。

 各候補とも、東日本大震災を受けての災害に強いまちづくりや原子力発電所への対応、長引く不況下の景気回復や雇用拡大、福祉政策の充実などを公約に掲げている。第一声では地域経済活性化や一次産業の振興、防災体制の見直し、北海道新幹線の建設促進などを訴えた。

 函館市区はいずれも一定の地力を持つ候補がそろい、道内有数の激戦区となった。

 届け出順に、古岡友弥氏(共産・新)は候補者中最年少となる34歳の若さを武器に議席奪還を狙う。高橋亨氏(民主・現)は道議会本会議での質問の多さなど、行動力をアピールして3選に挑む。大日向豊吉氏(無所属・新)は新幹線の現函館駅乗り入れを集中的に訴え、3度目の正直を目指す。平出陽子氏(民主・現)は唯一の女性候補。09年から2年間、副議長を務めた実績から落とせない。

 川尻秀之氏(自民・現)は地元保守政界の重鎮として負けられない選挙。佐々木俊雄氏(自民・現)は前回最下位当選で、2期目に向けては票の上積みが最大の課題。斉藤博氏(民主・現)は陣営の体制構築が遅れた中で中堅議員の意地を見せる。志賀谷隆氏(公明・現)は参院に転出した横山信一氏の後継として議席維持を目指す。三遊亭洋楽氏(みんな・新)は“脱・しがらみ”を強調、無党派層に狙いを絞った選挙戦となる。

 北斗市区は、現職に新人2人が挑む構図。長尾信秀氏(民主・現)は現職の強みを生かした選挙戦を進める構え。河野光彦氏(無所属・元)は地場の各産業振興につながる政策を訴え、票の掘り起こしを図る。新関一夫氏(自民・新)は若さと旧上磯地区を地盤とする強みで初当選を目指す。

 渡島総合振興局区は定数が1減の2となった。笹田浩氏(民主・新)は八雲町職員の経験をベースに、引退した岡田俊之氏の議席死守を図る。冨原亮氏(自民・現)は大票田の七飯を地盤に、幅広い層からの得票を目指す。川村主税氏(諸派・新)は地盤を持つ渡島西部4町以外からの集票が鍵を握る。

 桧山振興局区は前回に続き、現職と新人の一騎打ち。佐々木俊司氏(自民・新)は告示直前の3月上旬に出馬を表明し、保守の議席奪還を目指す。福原賢孝氏(無所属・現)は3選に向けて支庁制度改革への反対を訴え、再び勝負を挑んだ佐々木氏の返り打ちを誓う。

 期日前投票は2日から4月9日まで各市町で行われる。時間は午前8時半から午後8時までだが、地域によって時間が異なる場合がある。場所や時間の問い合わせは各自治体の選挙管理委員会へ。(道議選取材班)



◎段ボール1300箱…函館市 救援物資受け付け締め切り

 東日本大震災の被災地向けに函館市が市民から募集していた救援物資の受け付けが1日で締め切られ、集まった食料品や飲料、衛生用品は段ボールで約1300箱分に上った。市総務課は「予想を上回る数量で、市民の善意の表れ」としている。

 同課によると、救援物資は3月25日から4月1日までの8日間受け付け、延べ990人が持ち寄った。週末には1日200人前後が訪れ、市職員のほか、市民ボランティア約90人が期間中、仕分けや箱詰めの業務に当たった。

 物資の内訳は、子ども用紙おむつが2万5400枚、ボックスティッシュ6100個、トイレットペーパー9000ロール、米1.6トン、ペットボトル飲料3600本、カップ麺1100個など。1日午後には市慰霊堂(大森町)で集めた物資を公用車で市役所に運び入れた。改行 このうち段ボール280箱(2.8トン)分は30日に税関の監視艇2隻で岩手県久慈市に輸送した。同課は今後、被災地の状況を見ながら物資を輸送する手段や日時などを調整し、「たくさんの市民の気持ちを4月中にも被災地に届けたい」としている。 (森健太郎)


◎医療ニーズ高い…国立病院の医療チーム

 函館赤十字病院(函館市堀川町、赤澤修吾院長)の救護班が1日、東日本大震災の被災地の医療支援を行うため函館を発った。

 大震災後、医療支援活動を展開している道内赤十字病院の第7次隊としての派遣で、函館からは初めての出動。

 救護班は、外科医の枝沢寛副院長と中村洋美看護師長、看護師3人、事務職の主事2人の計7人。うち看護師1人は心的外傷後ストレス障害(PTSD)など心のケアに対応する。

 派遣先は岩手県釜石市で、2日には日本赤十字社北海道支社が対策本部としている旧中学校跡地に入り、近隣の避難所での診療を行う。

 1日に函館赤十字病院で行われた出発式では、赤澤院長が「被災者の心身のケアに努めてほしい」と訓示。枝沢副院長らが出発のあいさつをした後、医療機材や食料を積んだ車両に乗り込み出発した。枝沢副院長は「赤十字の組織力、経験、訓練、装備などを最大限に発揮して被災者のために精いっぱい活動をしたい」と述べた。

 入院患者も見送りをし、この日退院した奥尻町の石岡克夫さん(61)と市内松風町の根本正男さん(69)が、段ボールの切れ端で作ったメッセージボードを持って参加。ボードには「つなごう心の絆(きずな)。赤十字精神を発揮して」と記され、石岡さんは「わたしは北海道南西沖地震の被災者。当時、赤十字病院にお世話になり、何かお礼ができればと思い作った」と話していた。(鈴木 潤)


◎3月の景況判断下方修正…道南金融経済動向

 日本銀行函館支店は1日、道南地方の金融経済動向を発表した。3月の状況に触れた山田正弘支店長は「10日までは比較的持ち直しの動きが鮮明化しつつあったが、東日本大震災により一変した」と東日本大震災の影響を指摘。観光業界の停滞や雇用状況の悪化などを背景に「先行きを見通すことは非常に難しい」と述べ、景況判断を下方修正した。

 震災について山田支店長は「今生きている世代が過去に経験したことのない被害があった」とし、原発事故などを背景に「今後いずれかのタイミングで復興需要はあるだろうが、時期は見通しが立たない」と述べた。

 多くのホテルにキャンセルが相次ぎ新規予約も入らないことから、「3月トータルでは前年比減は避けられない」との見通しを示した。観光業については「東北新幹線の新青森駅開業効果で期待が大きかっただけに、震災によるショックも大きい」とし、苦心する関係者をサポートする構え。

 2月の動向については、公共投資は引き続き新幹線関連工事が下支えし、道南全体の請負額は前年同月比6・5倍と4カ月連続で前年を上回った。設備投資の非住宅着工は引き続き好調。

 個人消費は、主要小売店(10社)の売り上げは同3.2%増で、2カ月連続で前年を上回った。新車登録台数は、軽乗用車が前年を上回ったが、普通・小型車は下回った。3月には軽乗用車も前年比同期減に転じたことに対しては、震災の影響による消費マインド低下に加え、生産が低下し納車に遅れを来たしているという。(小泉まや)