2011年4月20日 (水) 掲載

◎東北の銘酒で被災地支援を…市内酒店で動き広まる

 酒類販売で東日本大震災の被災地を応援しようという動きが、函館市内の酒店でも広がりを見せている。震災から1カ月余りがたち、被災した東北地方の蔵元からの入荷も再開。「一ノ蔵」(宮城)、「出羽桜」(山形)などみちのくの銘酒を積極的に購入する客が増えており、店舗関係者は「被災者へ配慮した全国的な自粛ムードの打破にもつながれば」と期待している。

 函館市梁川町21の「とおやま酒店」は「応援宣言!震災に負けるな」と書いた紙を店に貼り、東北の蔵元を応援。同店の遠山雅士さんは「東北の酒を選んで買っていかれるお客さんが増えた。我々が普段通り物を買って生活することが、今は何よりも大事」と話す。

 同市万代町16の「竹林商店」でも、被災者へ送る義援金の募金箱を設けた。東北の酒が話題となり、吟味して買う客が増えているという。同店の竹林朔三さんは「自粛ムードが広がっているが、おいしいお酒の提供で少しでも被災地支援をしたい」と願う。

 売り上げの一部が義援金に充てられる日本酒もある。同市港町3の「こぐち酒店」では、被災地を支援する「いづみ橋とんぼラベル純米原酒ファイト日本号」の販売を開始した。

 神奈川県の泉橋酒造などが中心となって「日本酒義援金プロジェクト」を立ち上げ完成させた日本酒で、1本1・8gで3160円。海老名産山田錦を100%使用した、無ろ過原酒。義援金として500円を日本酒造組合中央会などを通し、日本赤十字社に送られる。500円の内訳は蔵元や酒販店が100円ずつ、残りを客が負担する仕組み。

 同店の清川一夫さんは「自粛ムードではあるが、自分たちは少しでも何か支援をしていきたい。ホテルや居酒屋など飲食店をはじめ、たくさんのお客さんが賛同し、協力してほしい」と力を込める。(平尾美陽子)



◎厚沢部、乙部で無投票 今金で現職新人激突…町長選

 統一地方選の最終ラウンドとなる町村長選と町村議選が19日告示され、道南の町長選では厚沢部と乙部で現職以外に届け出がなく、無投票当選が決まった。今金では前回と同じ顔ぶれの現職と新人による一騎打ちとなった。議員選は道南10町で告示。長万部、上ノ国、乙部、奥尻が定数と同じ立候補者で無投票となり、木古内、七飯、森、厚沢部、今金、せたなで選挙戦となった。投開票は函館市長選、函館・北斗市議選と同じ24日。

 道南では、厚沢部、乙部、今金の3町で町長選が告示。厚沢部町長選は、現職の渋田正己氏(67)が、無投票で2選を果たした。町長選が無投票となったのは8回目。1999年以来12年ぶりとなった。乙部町長選は、現職の寺島光一郎氏(66)が、道内の現職市町村長では最多となる8選を決めた。寺島氏が再選した87年以降の町長選はいずれも無投票。町村長選挙で7回連続の無投票となったのは全国でも最多の回数となる。

 今金町長選は、現職で3選を目指す外崎秀人氏(61)と、新人の元町議・湯浅秀夫氏(70)の2人が立候補。24日の投開票に向けて5日間の舌戦に入った。現職の外崎氏は2期8年にわたり、町政のかじ取り役を担った実績を掲げて、基幹産業の農業や商工業を中心とする支持基盤を背景に3選を目指す。町長選3度目の挑戦となった湯浅氏は、2007年の前回選挙に続き、産業創出などの公約を掲げ外崎氏に挑む。

 町議選は道南の10町120議席に合わせて132人が立候補。長万部、上ノ国、乙部、奥尻は定数と同じ立候補者となり、無投票となった。選挙戦となったのは木古内、七飯、森、厚沢部、今金、せたなの計6町。

 立候補者は木古内12人(定数10)、七飯19人(同18)、森19人(同16)、厚沢部14人(同12)、今金13人(同12)、せたな15人(同12)。改行 定数は森が6減、せたな4減、木古内が2減。無投票となった長万部と奥尻も各2減となった。(統一地方選取材班)



◎ナッチャン7月29日から限定運航

 津軽海峡フェリー(函館市港町、石丸周象社長)は7月29日から8月18日までの21日間、函館―青森間で高速船「ナッチャンWorld」を限定運航させることを決定した。昨年も実施したが、東日本大震災を受けて「明るい話題を提供したい」との思いで行う。収益の一部を義援金として寄付する予定。

  同船は2008年10月末まで定期運航していたが、現在はチャーター便でのみ使用している。限定運航の期間は夏休みの繁忙期とし、通常運航する1日8往復のほかに、高速船を同1往復を追加する。同船は自衛隊や道の要請で、緊急災害援助部隊の派遣や緊急支援物資を輸送する役割を果たした。

 同社は「観光産業全体は大きなダメージを受けており、振興の一助になれば」と話している。運行時間は函館は午後4時発、青森は午後零時15分発。料金は通常便と異なり、旅客は片道でエコノミー4000円から(通常は2700円)。車両は軽自動車が1万7000円、普通乗用車は2万1000円。5月29日から予約の受け付けを開始する。(小泉まや)


◎送迎バスで朝市応援…函館バスが企画

 函館バス(函館市高盛町、寺坂伊佐夫社長)は東日本大震災を受けて、被災した函館朝市に市民を運ぶ「函館朝市応援バス」を企画した。利用を市内の町会に提案したところ、陣川町の陣川あさひ町会(西川孝一会長)が22日に初めて運行することとなった。朝市側もこれに合わせて同バス利用者限定の特典を用意して歓迎する。

 同社は、被災後の朝市の復興作業にも協力。震災後の観光需要が厳しいと聞き、「観光客が戻らないなら市民の手で朝市を元気にしたい」と考えた。形式としては貸切バスとなるが、通常より安い料金で運行させる。

 企画はこれまでに5カ所ほどの町会に投げかけ、同町会が最初に実施を決断した。同町会青少年育成部長の上野山隆一さんは、「朝市が大変と聞いて早速役員会に諮って決めた。路線バスより安い負担で乗車できるので、これを機会に日ごろ行かない朝市の良さを感じたい」と話す。参加予定者は約40人。

 朝市の特典は、約100店がそれぞれ独自に考えた。利用や商品の購入で、割引きをはじめ、イカめしや塩辛、松前漬けなどの商品をプレゼントするなどし、市民の利用を歓迎する。

 応援バスは同日、午前9時半に町会館前を出発し、同10時に朝市に到着。約3時間滞在し、帰りも参加者を町会まで運ぶ。同社は「朝市は函館の玄関にあり大切な観光拠点。これまで来ていなかった市民に魅力を知ってもらえれば」と話している。さらに市内間での観光バス的な利用法はこれまでなかったことから、新たな需要掘り起こしのきっかけとしても今後に期待する。(小泉まや)


◎放射能測定機購入など要望…大間原発訴訟の会

 大間原発訴訟の会(竹田とし子代表)など4団体は19日、函館市に対し、福島第一原子力発電所の事故を受け、青森・大間町で建設中の大間原発の工事中止や放射能測定器の購入などを求める要望書を提出した。市は市長選後に国、道に防災計画の見直しを求める考えを示した。

 国の原子力安全・保安院が福島第一原発事故を「レベル7」に引き上げたことを受け、食物への不安解消のため放射能測定器の購入や、大間原発工事の中止を政府に要求することを求めた。また、国や事業者の電源開発(東京)に説明会を行うよう要請することを求めた。

 この日は竹田代表ら10人が市役所を訪れ、小柏忠久副市長に要望書を手渡した。同副市長は、国が定める緊急時計画区域(EPZ=半径10キロ以内)に函館が入らず、道の防災計画に大間原発が盛り込まれていないことに不満を示した上で「建設続行はあり得ず、10kキロが意味をなさないのは明らか。新市長には早く国に要請する方法を取っていただく」と述べた。(千葉卓陽)