2011年4月23日 (土) 掲載

◎朝市に市民と活気 応援バス運行

 東日本大震災で被災した函館朝市に市民を運ぶ「函館朝市応援バス」が22日、初めて運行された。陣川町の陣川あさひ町会(西川孝一会長)の37人が、朝市に久しぶりの活気を運んだ。

 函館バスが貸切バス形式で通常より安価に企画し、市内の各町会に利用を呼び掛けている。朝市側も、函館朝市協同組合連合会に加盟する約100店が、商品購入などでプレゼントや割引を行う特典を用意し歓迎した。

 バスは午前10時に朝市前に到着した。経営者らが法被を着て出迎え、同連合会の井上敏廣理事長は「朝市が非常に苦しい中でこのような企画はありがたい。ゆっくり過ごしてください」と感謝した。

 約3時間の滞在とあり、参加者は早速各店に足を運び、海産物が並ぶ店頭を珍しそうに眺めたり、目当ての商品を探したりした。主婦の宗像真江さん(39)は初めて訪れた一人。友人らと一緒にカニがいっぱいの水槽を見て大喜びし、「こんなに楽しいとは知りませんでした」と話していた。(小泉まや)



◎被災者雇用動き活発化…市内企業「就労」で支援

 緊急雇用対策として東日本大震災の被災者を雇い入れる動きが全国で広がる中、函館市内でも同様の採用活動を行う企業が増えてきた。新卒・既卒者に加え、即戦力となる経験者を優遇する企業も。義援金や生活物資に限らず、就労面でも支援の輪は確実に広がりつつある。

 全国で宅配ピザ業「ピザ テン・フォー」を展開する函館市柏木町の「オーディンフーズ」(橋本洋明社長)は、被災者の生活再建を支援しようと総合職で20人以上の採用を見込む。震災で就職の機会を失ったり、内定を取り消されたりした人を対象に当面募集するという。勤務地は希望に配慮し、被災者の地元から近隣店舗へ優先的に配属。また、5月には全店舗で15品の売り上げの10%を義援金に充て、日本赤十字社を通じ被災地に送る予定だ。

 「ピザを食べて日本を元気に!」とのスローガンを掲げる同社は「震災以降、自分たちにできることを考えてきた。職や家を失った人々の力になれれば」と力を込める。

 同市港町の「津軽海峡フェリー」(石丸周象社長)は、4月に就職を予定していた被災者を若干名募集中。職種は接客や営業、広報、総務などを担う一般職で、応募資格は今年3月に大学や短大、専門学校、高校などを卒業した新卒者に限る。

 同社総務課は「平常の新卒採用活動は終了したが、少しでも被災者の力になりたい」とし、5月末まで募集する。

 一方、イカやサケなどの加工技術者を確保しようと経験者3人の採用を目指すのが同市川汲町の水産加工業「米田商店」(米田澄一社長)。被害に遭わなかった函館・近郊の一般市民も対象だが、年齢や技術力など条件が同じであれば被災者を優遇する。米田社長は「同業の企業の多い東北にはすぐに活躍できる人材も多いはず。そうした人たちと新規事業を展開していければ」としている。(長内 健)



◎被災地へ絵手紙のエール…北出さん教室の生徒制作

 日本絵手紙協会公認講師の北出喜代彦さん(72)=函館市北美原=は、講師を務める絵手紙教室の生徒に、東日本大震災で被災した人たちに送る絵手紙を制作してもらっている。北出さんは「支援する気持ちを続けるため、年内は書いてもらいたい。避難所の人たちに届けることは難しいかもしれないが、私たちの思いが少しでも伝われば」と願っている。

 北出さんは、避難所でわずかな食べ物にも喜ぶ人たちの様子をテレビニュースで見て「勇気を与えられた」と感動し、被災地を激励する絵手紙を考えた。市内のほか、松前などの教室にも呼び掛けたところ、生徒たちも快く応じた。

 22日は本年度の開講日を迎えた市亀田公民館(富岡町1)の教室に63人が集まり、岩手県宮古市や釜石市などにある郵便局や漁協宛てに約100枚をしたためた。言葉には「激励」「被災者」は使わないように指示。「すでに動き出しているのに、この言葉は合わない。現地の様子を見据え、ふさわしい内容にしたい」と北出さん。市内富岡町の主婦中嶋郁子さんは、温かなコーヒーに「ポストマン、すてきです」と書いた。「大変忙しい中、一息ついてもらえれば」と中嶋さん。

 現在は約400枚とともに、漁協職員への軍手、被災地の子どもたちに送る文房具が寄せられた。各郵便局には今月中に送る予定。現在は避難所に直接送ることは考えず、届けられる範囲を探すという。北出さんは「返事は来ないと思うが、自分たちができることをしたという気持ちを持つことが大切。今年1年、季節に合わせた作品を送りたい」と話している。(山崎純一)


◎ホテルテトラ ビアガーデンオープン

 ホテルテトラ(函館市梁川町17)で22日、夏の風物詩のビアガーデンがオープンした。小雨がちらつく肌寒い天候だったが、2組9人が訪れ、にぎやかな雰囲気の中でビールを楽しんだ。

 2003年から毎年、大型連休前のこの時期にビアガーデンを実施。同ホテルは「屋外では道内で最も早いのでは」と話す。この日は雨風を避け、60人まで収容できる屋根付きのスペースを提供した。

 今年最初のビアガーデンに、社内の親交を深めるため訪れた渡島管内の会社の社員らはジンギスカンとビールをたっぷりと堪能。会社員の男性(41)は「ジンギスカンを囲みビールを飲んでいると寒さを忘れる」と汗をふきながら話していた。

 ビアガーデンは10月中旬まで無休で営業する予定。時間は午後5時から同10時までで、ジンギスカンとビールの食べ飲み放題で1人3700円(2時間)。同ホテルは「予約をいただければゴールデンウイーク期間、昼からも営業するので足を運んでほしい」とPRしていた。問い合わせは同ホテル電話0138・55・1818。(黒田 寛)


◎暴力団排除条例を周知…函館駅前で初の啓発キャラバン

 4月に施行された「北海道暴力団の排除の推進に関する条例」を広く周知しよう—と22日、警察と委託業者が連携した「暴力団排除推進広報啓発キャラバン」が、JR函館駅で初めて実施された。通行人らに内容を広報するリーフレットやグッズを配布し、暴力団排除への気運を高めた。

 同キャラバン事業は、国の緊急雇用創出事業の一環。道警函館方面本部が委託した、警備業「名美興業」の社員4人が、車両2台を使って函館管内9署周辺を訪れる。広報内容は街宣活動のほか、人通りの多い場所で啓発物を配布する固定活動、事業所などに出向く訪問活動の3種類。7月15日まで続ける。

 函館駅で行われた啓発活動では、黄色のスタッフジャンパーと帽子を身につけた4人が、駅の利用者に対し「ことしから暴力団の排除に関する条例ができました」と声をかけながら、啓発物を配布した。同社では「条例の内容についてたくさんの人に知ってもらえるよう活動していきたい」と話していた。(小杉貴洋)