2011年4月25日 (月) 掲載

◎函館市長に新人・工藤氏

 任期満了に伴う道南の首長・議会議員選挙は24日、投票が行われ、即日開票の結果、函館市長選は無所属新人で前函館市副市長の工藤寿樹氏(61)が7万739票を獲得、無所属現職、西尾正範氏(62)を約1万3300票差で破り、初当選した。工藤氏は商業団体や観光業界など、西尾氏に批判的な保守層を中心に組織選挙を展開して浸透、前回同様に草の根選挙で戦った西尾氏を逆転した。今金町長選は無所属の現職、外崎秀人氏(61)が3選を果たした。全市域の選挙戦となった函館市議選と北斗市議選も新しい顔ぶれが決まった。

 工藤氏は2009年12月、西尾氏の市政運営を批判して副市長を辞職。昨年5月に事務所を開設するなど着々と準備を進め、同11月に出馬表明した。経済再生と行財政改革の推進を訴え、現市政の赤字体質を厳しく批判。強いリーダーシップの発揮や市長給与の50%カット、市職員給与の見直し、新幹線時代を見据えた大門再生などの施策を訴え、閉塞感の打破を求める市民の心をつかんだ。

 選対には前回の市長選で井上博司氏を支援した経済人が集結。求めていた政党の推薦は得られなかったが、商店街や観光業界、建設業界から幅広く推薦を得たほか、保守系市議のほか民主の一部も支援に回り、勢いに乗った。

 西尾氏は初当選時と同様、草の根で支持を求める選挙戦を展開。1期目の実績とともに東日本大震災を受けて復興支援を主要施策として打ち出すとともに、子育て支援や教育充実に向けたソフト施策や、公立はこだて未来大への医学部設置などを掲げたが、現職として守りの選挙を強いられた。工藤氏の批判にも積極的に応酬したが、まちの閉塞感が進む中で前回並みの支持は得られず、選対も一体感を欠いた。

 今金町長選は、現職の外崎氏が無所属の新人で元町議の湯浅秀夫氏(70)を退けた。

 函館市議選は今回から旧4町村の選挙区が廃止され、実質8議席減となり、厳しい選挙戦に。定数30に37人が出馬した中で、現職は24人全員が当選し、新人は5人が初陣を飾った。旧4町村地域から立候補した4候補は全員が当選を決めた。

 このほか、町議選が渡島で七飯、木古内、森の3町、桧山は厚沢部、今金、せたなの3町で行われた。 (統一地方選取材班)



◎投票率は55.65% 前回比5.09ポイント減

 函館市長選の投票率は55.65%で、前回(2007年)の60.74%を5.09ポイント下回った。東日本大震災の影響で選挙活動が自粛傾向となったことに加え、24日が雨模様のぐずついた天候だったことが影響したとみられる。

 選挙当日の有権者数は前回比6598人減の23万3385人(男性10万3688人、女性12万9697人)。このうち市長選には12万9877人(男性5万7461人、女性7万2416人)が投票した。男女別の投票率は男性55.42%(前回59.96%)、女性55.83%(同61.36%)だった。市議選の投票率は55.64%(同59.46%)だった。

 合併後、2回目の選挙となった北斗市議選の投票率は63.81%で前回(07年)の67.55%を3.74ポイント下回った。選挙当日の有権者数は3万8809人(男性1万7989人、女性2万820人)で投票者数は2万4765人(男性1万1223人、女性1万3542人)だった。

 桧山管内で唯一の町長選挙となった今金町の投票率は85.40%で前回(07年)の88.10%を2.70ポイント下回った。



◎多彩なステージ 被災地にエール

 東日本大震災の被災地復興を後押ししようと、函館短大学友会(青木智久局長)などが24日、函館市五稜郭町の五稜郭タワーで「がんばれ東北被災者応援イベント」を開いた。ハワイアンバンドやフラダンスのステージが繰り広げられたほか、学生らも合唱で被災地にエールを送った。

 同短大在学生360人のうち、被災地の東北出身者は81人。中には家族が被災した学生もいたことから、「被災地支援に何か力になりたい」(青木局長)と、同学友会が中心となって企画した。震災後、定期的に続けている募金活動も合わせて行った。

 会場には「共に歩む東北の仲間と!」「届けよう希望を!明日そして未来の東北のために」と記したメッセージボードが掲げられ、学生ら約50人が応援の気持ちを込めて「見上げてごらん夜の星を」「上を向いて歩こう」を合唱。来場者も一緒に歌い、会場内に温かなハーモニーが広がった。

 震災当時青森市に在住し、この4月に入学した千葉みつきさん(18)が「自分は被災していないが、何も情報が入らず不安だった」と震災当時の心境を振り返り、「何げない日常を大切にしたい」と決意。

 岩手県陸前高田市の出身で、両親を亡くした専任講師の新沼英明さん(35)は「被災地はいまだ一歩を踏み出せない状況であるが、復興に向けて皆頑張っています。どうか被災地に関心を寄せて支援を」と呼び掛けた。

 このほか、市内で活動する5人組のハワイアンバンド「エリマスターズ」やフラダンス教室「カプア村木スタジオ」が出演。往年のヒットソングの演奏や華麗なフラダンスで大勢の来場者を楽しませた。 (鈴木 潤)