2011年4月27日 (水) 掲載

◎黄金千貫のポタージュが3町の学校給食に

 【厚沢部】町内で栽培している、焼酎原料用のサツマイモ・黄金千貫(こがねせんがん)を食材として活用したポタージュが26日、江差、上ノ国、厚沢部の3町の学校給食に初登場した。

 黄金千貫は、札幌酒精工業厚沢部工場が生産する、本格焼酎・喜多里(きたさと)の原料。同社が設立した農業生産法人ノアール(岩崎弘芳代表)は、黄金千貫の優れた食味を、食材や菓子の原料として生かすため、業務用ペーストの開発に取り組み、昨年末に製品化にこぎ着けた。

 ペーストは、道内の食品業界、ホテル、飲食店への売り込みを進めており、複数の引き合いがあるという。岩崎代表は「食品原料として多くの可能性を秘めている。道内産の新たな食材として定着させていきたい」としている。

 江差町ほか2町学校給食組合は、ペーストと角切りを生かしたポタージュをメニュー化。26日には1800食を3町の小中学生に提供した。厚沢部小(福士優悦校長、児童135人)では、上品な甘みがあるポタージュに児童が舌鼓。1年生の教室でも「サツマイモ大好き」「とてもおいしい」と笑顔がこぼれた。

 給食組合の荒木佳織栄養士は「農産物の地産地消にもつながる取り組み。今後も給食に取り入れていきたい」とした。岩崎代表らは「町内産の黄金千貫に親しみを持ってもらうことができれば」と、自信を深めた様子。今後、焼酎原料以外にも販路を拡げ、町内農業の活性化や農業者の所得向上に貢献したい考えだ。(松浦 純)



◎函館競輪でGTレース初開催 来年6月に高松宮記念杯

 日本最高峰の競輪レースの第63回高松宮記念杯競輪(GI)が来年6月14〜17日に市営函館競輪場で開催されることが26日、決まった。同競輪場でGTが開かれるのは初めて。「S級」の上位選手が一堂に集まるレースとあって、地元の関係者からは期待の声が上がっている。

 来年度の特別競輪の日程と開催地を協議する「特別競輪等運営委員会」が26日、東京都内で開かれ、正式決定した。これまで高松宮記念杯が開催されてきた大津びわこ競輪場(滋賀県大津市)が今年3月に廃止されたことで、本年度から全国の45競輪場で持ち回りで開催されることになっていた。

 高松宮記念杯は1950年に大津市が近江神宮外苑に競輪場を開設する際に、同神宮にゆかりのある高松宮宣仁親王から賜杯を与えられたのが始まり。S級のトップレーサーが一堂に集まる年度最初のGTレースとしてファンにもなじみ深い。第62回の本年度は前橋競輪場(群馬県)での開催が決まっている。

 函館競輪場は50年6月に開設された道内唯一の競輪場。98年には全国初のナイター競輪を開催した。レースではふるさとダービー、サマーナイトフェスティバル(ともにGU)を計7回。開設60年を迎えた昨年5月には国内のトップ選手が集まった全日本プロ選手権自転車競技大会も行われた。

 来年6月のビッグレースに函館市競輪事業部の種田貴司部長は「地元だけではなく、全国のファンも足を運んでいただければうれしい。開催を成功さるためにもしっかりと準備を進めていきたい」と意気込んでいる。

 函館競輪場を拠点とし、第31回(80年)の高松宮記念杯で優勝した元競輪選手の藤巻昇さん(62)は「高松宮記念杯は自分にとっても思い深いレース。自分が生きているうちに函館でGTが開催されるとは思ってもいなかった。うれしい」と感慨深く語った。(小林省悟)



◎企画「新たなる船出 工藤市政スタート」下…西尾カラー∴齣|へ

 工藤寿樹の市長就任で、函館市政はそれまで西尾正範が進めてきた「子育て・教育・人づくり」から「経済再生・行財政改革」路線へと大きくかじを切る。工藤は25日、前夜の興奮を残しながら「わたしはある意味、西尾市政の100%否定から始まっている。ゼロから発進し、基本的にはまっさらな状態からやっていく。引き継ぐものは一切ない」と述べ、西尾カラーの一掃を宣言した。

 西尾が取り組んだ、学校長の裁量で自由に使える知恵の予算の廃止は無論、4年間の機構改革で「課」の上に作ったさまざまな「室」についても「公務員の優遇。ポストを増設して昇格させるのは、行革に逆行している」(工藤)と整理する考え。膨大な財政負担から反対姿勢を示していた公立はこだて未来大への医学部設置問題は「話を出すこともはばかられる」(ある市職員)と、白紙に戻される見通しだ。

 運営体制も変わる。「工藤が副市長時代、西尾は重要な案件を当時理事だった小柏忠久(現副市長)とよく相談して決めていた。いろいろな理由があるだろうが、工藤としては複雑な心境だったろう」(ある市議)との声がある。西尾が去り、この体制がまず変わる。もう1人の副市長で民間出身の谷沢広、企業局長の中林重雄の去就も焦点だ。「今までの体制は言うならば丸型。工藤さんならしっかりとした三角形型の組織をつくるのでは」とみる内外の関係者は多い。

 議会や経済界との関係は、過去の発言などからさまざまなあつれきが生じた西尾時代から一変し、「これで正常に戻る」と安どの表情を浮かべる関係者も。本人も「議会とは協力しながら、時には議論しながら普通にやっていきたい」と淡々と話す。重要案件などに必要な「根回し」をするタイプでないことは工藤自身も認めており、「きちんとしたことをやれば理解してくれる」と自信ものぞかせる。

 経済界も工藤支持者が多い上、函館商工会議所会頭の松本栄一も「市とは互いに意見交換しながら協力し合う」姿勢を強調している。ある経済人は「勝っても負けても、選挙が終わったら一枚岩になるべき」と、その手腕に期待を寄せる。

 ただ、工藤には西尾が残した負の遺産の後処理が迫られる。介護保険事業特別会計に生じた欠損金の処理や、本町地区の飲食店が抱える助産施設問題などは、いまだ解決策を見いだせていない。職員給与や退職金の見直しについても、職員の士気や能率に影響を及ぼす恐れは否定できない。市職労幹部は「地場企業の相場からは確かに高く、市民の批判も真摯(しんし)に受け止めなくてはならないが、給与カットは地域経済への影響が大きい。主張すべきは主張していく」。

 2回連続で現職とナンバー2の選挙戦に疲れを見せる市民もいる。西尾の市政運営を徹底的に批判した工藤だが、勝利の余韻が冷めれば函館の厳しい現実が待ち構える。対応策を誤ると即座に批判にさらされることは、西尾の敗戦が物語る。ある市幹部は「勝ったからといって、威張っているように見えなければいいが」と懸念する。

 新市長に求められるのは、力強いリーダーシップとバランス感覚。工藤は「閉塞感を打ち破るには、党派や姿勢を超えて一致団結しなくては」と呼び掛ける。初登庁はきょう27日。函館を変えるための、工藤の改革と挑戦が幕を開ける。(千葉卓陽)(文中敬称略)


◎西尾函館市長が退任

 函館市の西尾正範市長(62)が26日、退任した。管理職を前に退任あいさつを行い、「新市長のもとで一致団結し、物事を進めてほしい」と呼び掛け、市役所を後にした。新市長の工藤寿樹氏(61)は27日に初登庁する。

 西尾氏はこの日午後、課長補佐職以上の約230人を前に退任あいさつ。4年間を振り返り、「政治や社会情勢が目まぐるしく変わる中で経済対策に追われながら、わたし自身は非常にきめ細かい施策ができた。各部局の職員が駆けずり回ってくれたおかげ」と謝意を示した。

 その上で、「東日本大震災と原発問題で大混乱が続いている。仮に2期目を担ったらどう乗り切るか、常に脳裏にあった」と無念さをにじませながら、最後には「知恵を出し合い、市民のために働く気持ちで前に進んでほしい」とメッセージを送った。

 西尾氏は1949年1月、北斗市生まれ。京大文学部卒。1973年旧亀田市入りし、合併で函館市職員に。企画部長、助役を歴任し、07年4月の市長選で初当選した。

 在任中は「知恵の予算」をはじめ、児童館での世代間交流を柱とする「ひろば館事業」など、子育て支援や教育を中心に独創的な施策を展開。2期目を目指して24日投開票の市長選に出馬したが、約1万3000票差で落選した。

 西尾氏は女性職員から花束を贈られ、大勢の職員の拍手に包まれながら、初登庁時と同様に徒歩で退庁した。(千葉卓陽)


◎高校・大学連携授業でホームヘルバー2級取得 遺愛女子

 函館市杉並町の遺愛女子高校(福島基輝校長)で26日、ホームヘルパー2級の認証式が行われた。同高校が函館大谷短大(福島憲成学長)と高大連携で設けた課程で、同資格を受けた16人が喜びを分かち合った。

 同高校では昨年度、大谷短大と連携して、高校2年普通科一般コースの選択授業にホームヘルパー2級取得講座を開設した。同授業を選択した生徒らは、週に1回3〜6時間目の時間帯に同高校のスクールバスで大谷短大に移動し、同短大のコミュニティ総合学科の学生らと受講した。講座は前半は講義中心、後半の秋ごろからは実技・実習メーンに通年実施。2010年度第1期生として17人が受講し、16人が資格を取得した。

 認証式では同短大の福島学長が訪れ、生徒らに修了書を授与。福島学長は「資格を取得したこと以上に、高校時代に貴重な経験をしたことは、思いやりの大切さなどを学ぶ良い機会だったと思う。みなさんの学ぼうとする姿勢に敬意を払いたい。これからも頑張って」と激励した。生徒を代表してあいさつした瀬渕志織さん(3年)は「コミュニケーションの大切さを実習を通じて学んだ。将来に生かしていきたい」と笑顔を浮かべた。(堀内法子)