2011年4月29日 (金) 掲載

◎形状が五稜郭のジンギスカン鍋…上野山さん製作

 函館市陣川町86の木型職人、上野山隆一さん(46)が、五稜郭公園をあしらった鋳鉄製のジンギスカン鍋を製作した。市民になじみ深いデザインで木型について知ってもらおうと函館山の地形を施した鍋も。花見シーズンに合わせ既に販売中で、上野山さんは「東日本大震災の影響で元気がない函館も盛り上げたい」と意気込んでいる。

 木型とは、船のエンジンや製材機、手すりや学校の校章などの形に加工した木材で、鋳鉄製品の元となる型。これを砂で固めて鋳型をつくり、熱で溶かした鋳鉄やアルミニウム合金などを流して製品ができる。現在、函館の木型職人は上野山さんただ一人という。

 今回の鍋は、昨夏復元オープンした箱館奉行所を見学していた時に思い付いた。すぐに図面に起こし、仕事の合間に制作を続け昨年11月に試作品を完成させた。堀を模した溝と五角形の形状、中央に奉行所を載せたのが特徴だ。

 函館山の等高線と西部地区を浮き上がらせた鍋は函館らしさをPRしようと制作。中央がドーム状に盛り上がった鍋も手掛け、希望があれば中央に名前をデザインすることも可能。3種類とも塗料は一切使っておらず、肉の風味を逃がさない焼き加減で食べ心地も上々という。

 販売は28日に開始。「地元を離れている人への贈答用に申し込む人もいる」と話す上野山さんは「鍋に限らず、身近なものの多くは木型からできている。ジンギスカンを食べながらこの仕事に興味を持つ人が増えてほしい」と購入を呼び掛けている。

 価格は五稜郭公園タイプが7000円で、残りは6000円。いずれも税別。申し込みはhttps://hakopita.jp/uenoyamagikou/archives/57。問い合わせは上野山さんTEL0138・55・1002。(長内 健)



◎松前のソメイヨシノ開花

 【松前】松前町は28日、松前城資料館の前にあるソメイヨシノが開花したと発表した。列島を北上していた桜前線がついに道内に上陸。松前公園のソメイヨシノは5月1日ごろに満開になるとみられ、見ごろは8日ごろまでという。

 日本気象協会によると、道内の観測地点で開花が確認されたのは松前町が初めて。平年より2日早く、昨年より6日早い開花となった。

 数日前からピンクの大きなつぼみがふくらみ、この日は午後2時に町の担当職員が1本の木に5輪以上の花が咲いていることを確認し、開花を宣言した。町商工観光課は「きれいなサクラの花を見て心を和ませてほしい」と話している。

 札幌市からバスツアーで訪れた木口富士郎さん(75)と妻の知子さん(74)は「サクラの季節に来るのは初めて。きれいなので感激している」と笑顔で話していた。町内にある250種1万本のサクラは、これから順次開花し、5月下旬まで満開の花を楽しめる。29日から5月15日までは「松前さくらまつり」が開かれる。(松宮一郎)



◎副市長、教育長が辞職…函館市

 函館市の工藤寿樹市長に辞職の意向を伝えていた特別職5人のうち、谷沢広副市長(62)、小柏忠久副市長(63)と多賀谷智教育長(63)が30日付で辞任することが決まった。中林重雄企業局長(62)と近江茂樹常勤監査委員(62)は工藤市長から慰留を受け、続投する。

 谷沢氏は2007年7月、前市長の要請で北海道ガス函館支店長から転じ、函館市では戦後初の民間出身副市長となった。経済、建設、企業会計関係などを担当した。

 小柏氏は1971年、道教育大函館分校(当時)卒業後に函館市入り。都市建設部長、総務部長、特別職理事を経て、10年1月から副市長を務めていた。

 多賀谷氏は小学校教諭を経て市教委学校教育部長、弥生、千代田両小学校の校長を歴任。05年10月に市教委教育長に就任し、09年10月に再任されたが、健康上の理由から辞任が決まった。

 両副市長はこの日午後、幹部職員約200人を前に退任あいさつを行った。谷沢氏は「在任中は有意義に過ごすことができた。経済、観光情勢が変化する中で適切な情報収集に努め、市民に明るい話題を発信してほしい」、小柏氏は「市民ニーズは多岐にわたる。もう一歩踏み込んで大切なことは何かを考えながら仕事し、新市長のもとで一致団結してほしい」と激励した。その後両氏とも大勢の職員の拍手に包まれながら退庁した。

 副市長、教育委員の選任は議会の承認事項で、市は5月23、24日に予定される市議会臨時会に人事案件を提案する方針。また、両副市長が兼務していた部長職のうち、市民部長は山本幸仁同部次長、環境部長は小柳辰夫同部次長が当面の間、職務に当たる。(千葉卓陽)


◎函館北斗LC創立50周年を記念し五稜郭公園にベンチ

 函館北斗ライオンズクラブ(藤本泰好会長)は28日、同クラブの創立50周年を記念して五稜郭公園(五稜郭町44)に背もたれ付きベンチ10基を設置した。除幕式には同会の50周年記念大会会長の田口修会長を含め約30人の会員が出席。工藤寿樹市長も駆け付け、半世紀という節目の年を祝った。

 同クラブは2011年10月18日で50周年を迎える。記念の年に何か地域貢献できないかと考え、同公園へのベンチ寄贈を決めた。

 除幕式には就任したばかりの工藤市長も参加。ベンチの寄贈に「まち全体を公園のようにすることがわたしの目指す所。お力添えに感謝いたします」と謝辞を述べ、田口大会会長、後藤次夫大会実行委員長とともにテープを引くと真新しいベンチが姿を現した。田口大会会長は「公園内でウオーキングを楽しむ人などが休むのに気軽に使ってもらいたい」と話していた。(黒田 寛)


◎寿司食べて被災地応援…復興イベントで自由市場大盛況

 新川町のはこだて自由市場(前直幸理事長)で28日、震災復興イベント「がんばれ東北!がんばれ函館!がんばれ市場!がんばれ寿司屋!」が行われた。震災以来、客足の停滞が続く同市場に、買い物客のにぎやかな声が響き渡った。

 同市場や市内の外食産業を活気づけ、同時に東北の被災地を応援しようと、前理事長とすし職人らが企画。ホテル函館ロイヤル寿司部、美な味、ひさご鮨、金八鮨、鮨政本店、鮨金総本店のすし職人が参加し、同市場で用意した生本マグロや生ウニ、ヒラメなど、すし5貫を500円で販売した。収益全額が震災の義援金に充てられる。

 この日は開始時間の1時間前から客が並び始め、すしを買いに訪れた客の列は市場の外まで続いた。予想以上の盛況ぶりに同市場では、当初300食の予定を500食に追加。それでも開始約50分で完売し、あと一歩で買い逃した70代の女性は「市場に来たのは久しぶり。こんなに早く売り切れるなんて驚いた。あと少し早く来るんだった」と残念そうに話していた。

 イベントを終えて前理事長は「久しぶりに市場に活気が戻ってうれしい。震災以来、大変な日が続くが頑張りたい」と久々の元気な市場の姿に笑顔を見せた。(堀内法子)