2011年4月4日 (月) 掲載

◎JFえさん古武井青年部、コンブの刺身販売

 JFえさん古武井青年部(白川清文部長)の養殖コンブの刺し身づくりが3日、函館市恵山地区の山背泊(やませどまり)漁港で行われた。地元でしか入手できない逸品で「今年も最高の刺し身コンブだ」と漁師の表情は明るい。改行 生の刺し身コンブは、恵山では古武井青年部だけが手掛ける。サラダ、天ぷら、煮込みなど「どんな料理でもおいしい」と地元主婦。

 この日は午前4時半に白川部長(42)らが沖合の漁場でコンブを水揚げし、大釜でゆで上げると鮮やかな緑色に。機械でそうめんのように刻み、200グラムで袋詰め。今年は750袋をつくった。

 この春からえさん小1年生の菅野秀海君(6)は「お父さんの仕事を手伝った。コンブはしょうゆで食べるのが好き」。白川部長は「年に一度の刺し身コンブづくり。これをやると、雪解け後の浜の活気が伝わり、元気になってくる」と話していた。  1袋200円。JFえさん山背泊支所で販売、無くなり次第終了。TEL0138-85-2002。午前9時〜午後4時。(田中陽介)



◎道議選、自粛ムードで静かな日曜

 道議選告示後、最初で最後の“選挙サンデー”となった3日、候補者はそれぞれの選挙区で街頭に繰り出して名前や政策を訴えた。ただ、東日本大震災の影響で、マイクを使った遊説や選挙カーでの連呼は控えめ。舌戦が熱を帯びる毎度の光景が一変した、静かな選挙戦が続いている。有権者側の関心も高いとは言えず、投票率の低下を懸念する声も出ている。

 今回の選挙をめぐっては、民主、自民、公明の陣営が告示前に選挙活動の一部自粛を決めた。拡声器を使った本隊車の運行を午前9時〜午後6時までに縮めたほか、身を乗り出しての手振りの抑制、事務所の看板ライトアップを午後8時までにとどめるなど、6項目で自主規制を申し合わせている。

 3日は各陣営とも精力的に選挙区を回った。9人が出馬した函館市区では商店街や大型店前を通って政策や名前を訴えたが、有権者の反応は鈍い。市内神山の主婦(62)は「目にするのは震災のニュースが中心。立候補者はよく知らないし、知りたい気もしない」と素っ気ない。同市本通の飲食店経営、斉藤明彦さん(46)は「遊説時間が短くなり、走行速度が速くなったせいか、言葉がよく聞き取れない」と話す。

 函館市区に立候補したある現職陣営は「一番脂っこい時期に震災が重なり、良くも悪くも有権者の反応が見えにくい」と、思うように進まない選挙活動に気をもむ。新人陣営からは「もう少し落ち着いてから選挙戦に突入できれば良かった。現職に比べればどうしても不利」との嘆き節も聞こえる。

 活動に工夫を凝らす陣営も。選挙カーを小型化し、小刻みに降りてハンドマイクで訴える候補者や、遊説の自粛時刻後に個人演説会を精力的にこなし、「顔の見える選挙戦」へとシフトした陣営も目立つ。

 どの候補者も名前を浸透させたい半面、被災者にどう配慮するか、狭間に立たされる。現職候補者の一人は「今まで何度も選挙をしてきたが、(連呼などを)不快に感じてきた方も多い。運動のあり方そのものを見直す時期なのかもしれない」と打ち明ける。

 自粛ムードによって、投票率に影響するのではとの声もある。市内亀田本町の会社員吉岡勉さん(51)は「被災者への配慮は分かるが、雇用、経済など課題が多い道南にとって大事な選挙。選挙カーはいわば、選挙が近いことを知らせてくれる存在。これでは投票率の低下が心配だ」。(道議選取材班)



◎企画「願いを託す」有権者の胸中@、安定した雇用が不可欠

 東日本大震災の被災地からは、地域の人たちが団結し、町を復興させようとする“住民力”が伝えられている。道南でも官民協働のまちづくりや地域の連携強化を求める声が聞かれる。

 さまざまな市民活動情報が集まる函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)の丸藤競センター長(46)は「センターにある情報が、市民全体に届くための施設やネットワークが必要。市民活動が全市的に活発になれば、まちもにぎわう」と語る。

 ただ、課題も少なくない。まちづくり活動はボランティアの力に負うところが大きいが、それだけでは生活の基盤が安定しない。丸藤さんは「行政と協働し地域の連携強化を図っていくリーダーに一定の収入があるような仕組みがあれば、街を元気にしようという意欲が高まり、街は活気づく」と指摘する。

 「官から民へ」と進む業務委託も、経費節減ばかりが優先されると、施設の目的を発揮して市民サービスの向上を図るという目的が達成しずらい面もある。丸藤さんは、厳しい自治体財政を考えると難しいことも理解しているが、委託する側も安定した雇用になるような「対等な事業」を増やしてほしいと願う。

 自然豊かな函館山などを拠点に活動する道アウトドアガイドの木村マサ子さん(65)は、子育てや教育、遊びなど、昔は地域や家庭でごく普通に行っていたことも、今は講師や協力者を雇うなどしている姿に疑問を抱く。

 木村さんが懸念するのは、親子が安心して生活するという、かつては当たり前だった環境が失われ、地域の活力や連帯が低下し、街や産業の衰退につながっていることだ。「例えば、水産業の盛んな函館は以前、船を作る職人もあふれていた。今、その技術が現代に伝わっているのか。職人になっても安心して暮らせる環境でなく、技術を継承できず、造船という産業全体の衰退を招いているのではないか」という。

 函館山も豊かな自然、深い歴史があり、その魅力を正しく伝えられる人材育成を充実させなければならない。そのためにはまず、生活の安定が必要だ。  「働く力」を余すところなく生かしていける雇用や社会環境が欠かせないと、二人は強く訴える。

                ◇

 知事選に続き道議会議員選挙が告示され、統一地方選挙が本格化した。東日本大震災の影響が陰を落とすが、道南の有権者からも地域経済の活性や雇用対策などに対する切実な願いが聞かれる。地域の未来を託す思いを探った。(統一地方選取材班)


◎10年度の包括外部監査、市教委事業で問題点14件

 函館市の包括外部監査人、北川勝弘税理士はこのほど、2010年度の包括外部監査報告書をまとめた。10年度の監査テーマは教育委員会の事務執行で、生涯学習部門10件、学校教育部門4件の計14点で問題点を指摘し、33点の意見を寄せている。このうち民間学童保育所38カ所のうち31カ所が、市教委への提出が必要な施設の平面図を提出しておらず、北川監査人は「徹底した指導を」と求めている。

 西尾正範市長が就任以来「人づくり」を基本に市政運営に当たっていることから、重要業務を進める教育委員会をテーマに選定。09年度を対象に、事務の適切な執行や財産の維持管理などを監査した。

 学童保育所の運営では、民間学童保育所のうち施設の平面図を提出していない保育所が38施設あったほか、運営主体規約で14施設、役員名簿で15施設が未提出だった。ほとんどの施設が古い建物を利用しているため、平面図を持っていない施設も多いが、同監査人は「平面図はある程度書くことは可能で、事業運営上必要な書類」として指導の徹底を求めた。

 各社会教育施設に置かれている自動販売機については、市から行政財産使用許可を受けた団体が、企業と設置契約を結んだ事例があったことから「規則に違反する」と指摘。市が企業と直接契約を結ぶべきとしている。

 また、市長の目玉政策で、市立学校長の裁量で教育活動に使用できる「知恵の予算」に関し、手続きは適正に行われているとしながらも、本来は計上すべきではない学校図書購入に充てられたケースもあった。

 10年度は図書購入費が別枠で作られ、購入への使用事例はなかったが、同監査人は「本来の目的にふさわしい使われ方がされるよう、検討していくべき」と意見を寄せている。(千葉卓陽)