2011年4月5日 (火) 掲載

◎多くを学び社会に貢献 未来大で入学式

 公立はこだて未来大学(中島秀之学長)で4日、2011年度入学式が行われた。入学生らは保護者や教員に見守られながら、大学生活への期待に胸を躍らせた。

 本年度はシステム情報科学部に252人、3年次への編入が4人、同研究科の博士課程(前期・後期)に53人が入学。式辞で中島学長は「大学は新たな学問や、未知の世界との出会いの場。昨今の情報があふれる時代、情報の洪水のなかからその人にあった的確な情報をいかに早く発信・収拾できるかが求められる」とし、「未来は諸君とともにある。頑張れ」と激励を送った。

 この日は函館圏公立大学広域連合長でもある西尾正範函館市長らが来賓として訪れて入学生を祝福。西尾市長は「先月日本を一変する危機が訪れた。そんな特別な年に入学した皆さんは、混乱の情勢のなかで学び始める。社会貢献できる人材として成長してくれることを期待しています」とあいさつした。

 学部入学生を代表して斉藤尊さんが「多くを学び、理解し、得とくし、社会に貢献したい」、研究科入学生を代表して平原壮紀さんは「4年間で多くの知識と技術学んだ。それぞれの分野で成果をあげられるよう頑張りたい。」と力強く述べた。(堀内法子)



◎市電電停にスピーカー 運行情報放送 防災にも活用

 函館市企業局交通部は、災害や事故などで市電の運行に遅れや運休が発生した場合に、運行情報を一斉に知らせるスピーカーを駒場車庫前を除く市内25カ所の電停に設置した。東日本大震災の発生を受け、沿線住民の避難誘導など防災面の活用も期待される。

 自然災害や停電、交通事故、沿線火災、車両故障などで市電の運行に支障が出た際に、電停に即座にそれらの情報を伝え、電車待ちの乗客のイライラ感を解消する狙い。震災の発生前から導入が決まっていて、今月1日から運用を開始した。

 デジタル無線を活用し、駒場車庫の配車室からグループごとや個別の電停にメッセージを一斉送信できるほか、肉声で直接呼びかけることもできる。設置費用は約1000万円。市交通部は「有線方式に比べて導入や運用にかかるコストが安く、停電時も非常用電源で短時間なら稼働できる」という。

 これまでは職員が公用車で各電停に赴き案内していたため、乗客に知らせるまでに時間を要していた。震災を教訓に、付近住民に気象情報や避難指示を伝える「防災無線」の効果も期待できる。同部事業課は「利用客の急な予定変更に役立ててもらい、防災情報も提供していきたい」としている。(森健太郎)



◎6割超「悩み、ストレス」市立函館保健所が調査

 市立函館保健所はこのほど、生活実態を通じた市民の精神状態を調査した「こころの健康調査」の結果報告をまとめた。調査結果によると、この1年間に大きな悩みをストレスを感じた人が全体の62%を占め、20代の男女でいずれもうつ症状を示す人の割合が40%近くに上った。

 市民のこころの健康状態や自殺に対する意識を把握し、今後の自殺予防対策推進の基礎資料とするため、初めて実施。2010年7月21日〜8月31日の期間に住民基本台帳から無作為に抽出した20〜59歳の市民5000人対象に郵送で調査書を配布し、無記名回収。全体の34・4%の1718人から回答を得た。

 調査項目は▽属性(性別、年代、家族構成)▽職業▽経済状況▽からだやこころの健康状態(悩みやストレス、希死念慮の有無)▽自殺対策について—の5項目。性別構成は男性40%、女性60%。就業状況は全体の72%が何らかの職業に就いており、男性は女性に比べ正規雇用の割合が高く、女性は全ての年代で無職が多かった。

 大きな悩みやストレスを感じる人は全体で62・6%で「現在の収入」を挙げる人が30・5%と最も高く、20代の男性で約35%、女性で40%が、うつ症状に近い状態であることが明らかになった。

 同保健所は「従来うつ症状を抱える世代は50代が多いとされてきたが、20代など若い世代でもでもかなりの割合になっていることが明らかになった」とし、「新年度から始める電話相談に加え、保健所に相談体制が整っていることを多くの人に周知し、専門家育成に力を注ぎたい」と話していた。(黒田 寛)


◎震災復興へエール届け ロワジールホテルでイベント

 「応援の気持ちを現地に届けたい」—。ロワジールホテル函館(若松町14、道上浩之総支配人)が4月1日から、被災地応援イベント「がんばろう!東日本フェア」を始めた。4月30日まで。

 4月に行う予定だった開業3周年記念イベントを、東日本大震災をうけて被災地応援イベントに変更。フロントやレストランなど、ホテル内のさまざまな場所にチャリティー企画を用意した。集めた募金などはすべて日本赤十字社を通じて被災地を寄付をする。

 フロントとレストランでは応援バッジを販売。バッジには「がんばろう!東日本」の文字と手を固くつなぐ絵が描かれている。100円以上で販売し、売り上げ全額を募金にまわす。

 レストランではランチタイムに「救援物資割引ランチ」を提供。未使用の紙おむつ(梱包品のみ)、水ペットボトル、乾電池を寄付すると、ランチメニューが10%割引になる。個人の物資輸送が難しいため利用客の注目度は高い。

 このほか、専用レターに応援の思いを書く「チャリティーメッセージ」や記入後に仙台市にある系列ホテルに展示予定の「応援メッセージ掲示版」の設置、客室に折り紙を用意し「千羽鶴」の協力をあおぐなど、復興の祈りを込めた企画が目白押しだ。

 同ホテルPR担当の武田明子さんは「函館も被災地のひとつであり元気に頑張っていこう≠ニいう気運が高まっているように感じる。お客さまの元気をお借りして、被害の大きな東日本を応援したい」と話している。(堀内法子)


◎企画「願いを託す」有権者の胸中A医療福祉 格差改善や制度補完を

 「地元で治療ができず、都市部の病院に通わざるを得ない人も多い…。患者を支援していると医療の地域格差などさまざまな問題を目の当たりにする」。ウイルス性肝炎の患者団体、函館はまなす肝友会の川上博史会長(58)は患者を取り巻く深刻な状況を強調する。

 会員の高齢化が進む中、肝炎が悪化し、肝硬変、肝臓がんで亡くなる人が後を絶たない。10年前に、約250人いた登録会員は100人余りにまで減少した。

 昨年1月、肝炎対策基本法が施行され、条文には地方自治体の責務も明記された。川上会長は今年の1月下旬、他の支援団体とともにウイルス性肝炎患者への生活支援やウイルス検査の受診啓発などを盛り込んだ要請書を道に提出した。だが、この時は明確な対応は示されなかった。

 ウイルス性肝炎の感染者は道内に10万人以上いると推定されるが、大半はほとんど自覚症状がなく、治療を受けていないという。「早期発見、早期治療で重症化を防ぎ、医療費を抑えることができる。道にはそのための啓発を率先して行ってほしい」と訴える。

 「介護する家族に目を向けた政策を」と話すのは、函館認知症の人を支える会の佐藤悠子会長(67)。同会は認知症当事者の家族らでつくる市民団体で、毎週木曜に会員が市総合福祉センターに集まり、認知症の介護にかかわる相談業務を行う。

 佐藤会長は実父ら6人の介護経験があり、現在も函館市内の施設を利用して夫(70)の介護に当たる。介護保険制度のサービスを利用していく中で、サービス内容が実情に合わなかったり、要件に漏れ利用できないケースもあったという。

 同制度がスタートし、この4月で丸11年が経過。「サービスメニューが増えた」と評価する一方で、「制度が改正されるたびにますます利用しにくくなってきた。財源問題が見え隠れして、家族の負担を軽減するという本来の趣旨からだんだん離れていくようで心配」と漏らす。

 同制度は市区町村が運営する。「行政は“待ち”の姿勢を脱却し、住民側に歩み寄ってほしい。信頼関係を築くことで制度を補完するきめ細かな行政サービスができるのでは」と提起している。(道議選取材班)