2011年4月6日 (水) 掲載

◎女だけの相撲大会中止 道南イベントにも震災影響 

 東日本大震災を受け、渡島西部各町では5月以降に予定していたイベントが相次いで中止となっている。福島町の「女だけの相撲大会」をはじめ、木古内町のオフロードバイクの耐久レース「サバイバル2daysエンデューロIN木古内」も震災の影響で参加者数が減少したことから中止を決定した。

 5月8日に開催を予定していた「女だけの相撲大会」は4日、大会を主催する観光協会(河原塚利雄会長)の三役会議で中止が決定した。会議では「被災者支援のチャリティーイベントにしてはどうか」などの意見が上がり、大会の開催を模索したが、多くの被災者が避難生活を送っていることを考慮し、中止を決めた。

 事務局では「大会は和気あいあいとした雰囲気の中で行われる余興的な要素が強いイベントで、被災者のことを考えれば、中止は仕方ない」と話している。6日に開かれる総会で会員に報告する。

 一方、6月18、19日に開く予定だった「エンデューロ」は、5日夜開かれた実行委で開催の可否を検討した結果、中止が決まった。震災の影響もあり、参加申し込み数が目標120台の7割にとどまったことが理由。さらに、例年宮城県など東北各地から出場する選手が約3割を占めていることも踏まえ、開催を断念した。

 昨年は口蹄疫の拡大を受けて中止したため、2年連続で大会中止となった。工藤嗣美実行委員長は「中止は残念だが、被災者のことを考えれば、やむを得ない」と話した。

 また、自粛の動きはイベントだけにとどまらない。松前町では、夜間の魅力アップを狙って今月から松前城と寺町のライトアップを計画し、50基の照明を設置した。計画では、松前城は午後10時まで、各寺院は同9時までライトアップする予定だったが、それぞれ1時間短縮する。町では「電力不足もあり、時間短縮することとした。今後は社会情勢の推移を見ながら、対応を決めたい」と話している (松宮一郎)



◎道議選折り返し 各陣営終盤へ加速

 10日投開票の道議選は5日で前半戦を折り返した。道南の4選挙区はいずれも混戦模様で、東日本大震災の影響による自粛ムードの中、各候補とも名前の売り込みや政策浸透に余念がない。街頭演説や個人演説会をこまめにこなし、知事選候補と連動した戦いを繰り広げるなど、懸命に支持拡大を図っている。(道議選取材班)

 ■函館市区 定数6に9人が立候補。一定の地力を持つ候補者がそろい「誰が落選してもおかしくない」との声が各陣営から聞かれる。一方では震災による自粛の影響からか、「有権者の反応が見えづらい」と気をもむ陣営も多い。

 届け出順に、古岡友弥氏(共産・新)は市民と会話する「青空対話」などを実施。大間原発の建設中止や子育てネットワークの構築など、「安心」と「防災」のまちづくりという2本柱を訴え、「若年層を中心に浸透している」(陣営幹部)と手応え。  高橋亨氏(民主・現)は原発対策を政策の柱に転換するとともに、企業への出勤時のあいさつなどを精力的に行う。陣営幹部は「政策の中身で勝負する選挙の原点に帰る時かもしれない」と、8日まで毎日開く個人演説会で周知を図っている。

 大日向豊吉氏(無所属・新)は告示日に大規模な個人演説会を開き、北海道新幹線の現函館駅乗り入れを柱に各種政策を訴えた。6日には亀田地区で演説会を予定。陣営は「しっかり説明することで、共感してくれる有権者が増えた」と話す。

 平出陽子氏(民主・現)はマイク音量を下げたことで、「街頭に立って演説する回数は増えた」(陣営幹部)という。毎日3〜4回は人が集まるポイントを絞って辻立ちを重ねる。今後は町会館などで少人数規模の個人演説会を開いて浸透を図る。

 川尻秀之氏(自民・現)は、4、5日に市内の大規模ホテルで250人規模の個人演説会を開いたほか、8日まで連日、町会館で個人演説会を開いて支持を訴える。陣営幹部は「演説会の呼び込みがしにくいが、苦しい中で全力投球したい」と話す。

 佐々木俊雄氏(自民・現)は「人出の多い場所を狙った」(佐々木氏)と、大型スーパー前での街頭演説をはじめ、企業の朝礼に積極的に参加している。4日に市内ホテルで開いた演説会には約1000人が集まった。今後は個人演説会を6〜8日に行う。

 斉藤博氏(民主・現)は自粛の影響で「前回に比べ、車を降りて足で回る機会が増えた」(陣営幹部)。遊説が制限される午後6時以降、4〜8日までに計9回の個人演説会を開き、7日午後6時半からは市内ホテルで200人規模の集会を開く。

 志賀谷隆氏(公明・新)は1日25〜30回に及ぶ街頭演説できめ細かく政策を訴える。「自粛のデメリットは感じるが、有権者と直接対話しているようで、政策が伝わっている実感はある」と志賀谷氏。陣営幹部は「攻めの姿勢を貫きたい」と引き締めを図る。

 三遊亭洋楽氏(みんな・新)は「くらしの目線」をキャッチフレーズに、団地や市営住宅などで街頭演説を重ねる。三遊亭氏は「4年前の市議選と同じくらいの手ごたえ」と話す。各陣営が自主規制する中で「選挙は戦い」と特段の自粛はしていない。

 ■北斗市区 3期目を目指す現職と、保守系の元職、新人の3氏がしのぎを削っている。

 長尾信秀氏(民主・現)は住宅街を中心に、有権者の懐に飛び込み支持拡大を訴える。陣営は「追われる立場であることを意識しながら臨んでいる」と引き締めを図る。

 河野光彦氏(無所属・元)は七重浜の護岸工事や茂辺地地区の地域医療問題など、遊説中に掘り起こした課題を訴える。河野氏は「農業者からの反応もいい」と意気込む。

 新関一夫氏(自民・新)は浸透させた知名度を確実に票に結びつけるため、市内を奔走。陣営は「いい勝負に持ち込んでいる。党を後押しする声も大きい」と手応え。

 ■渡島総合振興局区 定数2に現職と新人の3人が立候補。各候補ともそれぞれの地盤を基本に、さらなる票の上積みを狙う。

 笹田浩氏(民主・新)は地盤の八雲を中心にくまなく回り、午後6時以降には各地で個人演説会を重ねる。陣営は「八雲以外でも住民の反応がいい」と手応えを見せる。 冨原亮氏(自民・現)は津波被害を受けた地域への配慮を欠かさず、北部、西部の各町を交互に回る。選対幹部は「終盤に向け、さらなる浸透を図る」と力を入れる。

 川村主税氏(諸派・新)は一次産業振興や震災被害からの復興を訴える。地盤の西部4町を中心に支持を訴えており、選対幹部は「後半に向け気を引き締めたい」と話す。

 ■桧山振興局区 定数1で、前回に続き現職と新人の一騎打ちとなり、民主党の現職を、自民党の新人が猛追している。

 佐々木俊司氏(自民・新)は超短期決戦の構えで、管内の保守層を中心に有権者の取り込みを進めている。知事選に立候補した現職の高橋はるみ氏と連動した選挙戦。

 福原賢孝氏(民主・現)は現職の強みを生かし、出馬表明が遅れた佐々木氏を引き離したい考え。後援会、連合、農民連盟の支持基盤がフル回転して票の上積みを狙う。



◎企画「願いを託す」有権者の胸中B 一次産業 TPP参加 断固反対

 「原価が安いアジア産の水産物は道内の一次産業にとって大打撃。関税の原則撤廃は何としても避けてほしい」。函館市の南かやべ漁協組合長、鎌田光夫さん(66)は、政府が国際交渉への参加を目指している環太平洋連携協定(TPP)に不安を募らせる。

 TPP参加により、アジアからの輸入枠が数千d単位で拡大すれば「安価な中国産との競合を強いられ、北海道が誇るコンブを買う人は減る」と鎌田さん。景気が落ち込み、消費者の低価格志向は続いており、「TPP参加は断固反対」との考えは不変だ。

 冬場のスケトウダラ刺し網漁も、国が定める漁獲可能量(TAC)が足かせとなって地元漁師を苦しめている。豊漁でも漁獲可能量に達すれば、漁期を残して終漁しなければならない。主漁場の一つ南茅部地区でも大きな課題となっており、資源管理のためとはいえ休漁が続けば死活問題に発展する。

 道南太平洋TAC運営委員長も務める鎌田さんは「本道は国内の漁業生産量の20%を誇る水産王国。『このままではスケトウ漁はやっていけない』という末端の声にも耳を傾けてもらわないと」と注文を付ける。

 北斗市大野地区で農園を営み、野菜の個別宅配事業「八百ねっと」代表を務める高坂重勝さん(39)は、宮崎牛を全国にPRした東国原英夫前宮崎県知事を引き合いにこう語る。「逆三角形状態に陥る就農人口に加え、人口減は税収減も招く。道も全国に本道の農作物をアピールする経営努力≠してこそ、新規就農にもつながるはず」

 東日本大震災の原発事故も気掛かりだ。放射性物質による土壌汚染、風評被害に危機感は強いが、後志管内の泊原発の存在の是非については「道内の電力40%をカバーしているだけに、これに代わる新エネルギーが確立されない以上、要らないとは言えない」とし、「農家にとっても、災害に強いまちづくりの方が急務」と強調する。

 大野地区でも、担い手不足や離農などから遊休農地が増えている。高坂さんは言う。「更地がそのままであっていいはずがない。政策でこうした現状に救いの手を差し伸べてほしい」(道議選取材班)


◎新ミスはこだてが市役所を表敬訪問

 2011年度の第32代ミスはこだてに選ばれた田口愛弥子さん(21)、西野里沙さん(25)、西谷依里子さん(25)の3人が5日、春夏用の水色の新制服に身を包んで函館市役所を表敬訪問し、本年度の函館観光のPR活動への抱負を語った。

 3人は2月下旬に開かれたコンテストで選出された。田口さんは「3人で協力して函館観光を盛り上げたい」、西野さんは「周りの方々に幸せや元気を与えたい」、西谷さんは「函館が素敵なまちだと思われるよう一期一会を大切にPRしたい」と目を輝かせた。

 応対した谷沢広副市長は「春らしさを感じるさわやかな制服で、皆さんの笑顔も大変素敵。震災で全国が沈滞ムードの中、函館の顔、親善大使として函館観光を力強く押し上げてもらい、全国で函館の魅力を発信してほしい」と激励した。

 3人のうち北大水産学部3年の田口さんは震災当日に実家のある仙台市内で被災し、「ミスとしてできる限り被災地を応援したい」と話した。3人の任期は来年3月末までで、初仕事は10日午後1時から、市内本町交差点で被災地復興支援の街頭募金活動を行う。 (森健太郎)