2011年4月7日 (木) 掲載

◎市内小中学校で入学式

 函館市の小、中学校計74校で6日、入学式が行われた。児童・生徒は、新しい学校生活への期待に胸を膨らませて式に臨んだ。

 深堀小学校(熊谷光洋校長)には43人が入学。保護者や祖父母らが見守るなか、児童たちは晴れやかな表情で体育館に入場した。熊谷校長は「入学おめでとう。あいさつの名人、早寝・早起き・朝ごはんの名人、そして仲良しの名人になってくださいね」とあいさつした。

 式の終盤には2年生が登場。「不安なこと、ドキドキすることがあっても大丈夫だよ」と呼びかけ、鍵盤ハーモニカの演奏となわ跳びなどを披露し、入学生らは笑顔。2年生は在校生を代表し「今日からみんなとぼくたちは友達だよ」と温かく歓迎した。

 一方、本年度から木直小と統合して新たなスタートをきった磨光小学校(須藤由司校長)では、入学式に先立ち統合出発式を行った。須藤校長は「今日は新しい磨光小の船出の日。みなさんは磨けば光る磨光の子=B努力と頑張りを応援しています」と激励。旧木直小を代表し三輪祥太郎君は「はやく磨光小のみなさんと仲良くなり、思い出をたくさん作りたい」、磨光小を代表して杉林袈耶児童会長は「わからないことがあれば、なんでも聞いてください。よろしくお願いします」とあいさつし、握手を交わした。

 同校の新入学児童は16人で、そのうち旧木直小地区からは5人が入った。

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 市教委によると、東日本大震災で市内に避難した新1年生6人が市立小学校に入学した。このほか小学生10人、中学生2人が編入する。(堀内法子)



◎修学旅行 東北から変更…市内の中学校

 東日本大震災の影響で、東北地方への修学旅行を予定している函館市内の中学校が、旅行先や日程変更を余儀なくされている。余震が続き、安全面での不安が収まらないことに加え、宿泊や交通機関の確保に支障が出ているためで、各学校は行き先を道内に切り替えるなどして対応している。

 市内の中学校は2〜3泊の日程で、岩手県の盛岡や中尊寺、三陸海岸などを回るルートが通例。宮城県まで足を延ばす学校もあるほか、旧4町村地域の学校は東京に行く。

 函館市教委によると、市内の市立中学校28校のうち、25校は岩手方面への修学旅行を計画、早いところでは今月中旬に出発する予定だったが、震災直後から旅行時期や行き先の変更を検討。現段階で行き先を変えたのが17校、日程変更は13校に上っている。

 ある中学校は今月20日から2泊3日の日程で岩手への修学旅行を予定し、農業体験や職場体験をメニューに組み込んでいたが、日程を8月24日出発に変え、行き先も小樽、ニセコにした。終業式直前に緊急学年集会を開いて生徒に通知、保護者にも説明した。

 ただ、生徒の宿泊先確保はこれからで、学校長は「東北では民泊を計画していたが、道内でうまくできるかどうか。8月にずらす学校も多く、旅行会社と相談したい」と不安げに話す。別の学校は「生徒たちは自主研修の準備を事前に行っていただけに、変更は残念」と漏らす。

 5月18日から三陸方面を予定していた学校では出発時期を変えずに、行き先を札幌、旭川に変更。教頭は「旅行会社から、宿泊施設で食事が提供できないという話を聞いて断念した」。今月中旬に説明会を開い、変更への理解を求めるという。

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 一方で、本州や道内の学校では旅行先を函館に変更する動きが出てきている。

 湯の川地区のあるホテルには1週間ほど前、「5月に秋田での宿泊を予定していた胆振や後志の学校から、宿泊の予約が入った」(担当者)。市内で修学旅行を手掛ける旅行代理店は「東北の支店から受け入れに関する打診がある。被災地では始業式を遅らせている学校もあり、本格的な動きはこれからでは」と話している。(千葉卓陽、黒田 寛)



◎企画「願いを託す」有権者の胸中C 商店・自営業 街活気へ若者の雇用を

 長引く経済不安に東日本大震災の影響と、一層の厳しさを増す小売業界。函館駅前や五稜郭など函館を代表する地区も以前のにぎわいは消え、飲食店などを中心に閉店し、空き店舗が目立つ。「若い人ほど消費傾向が強く、行動力もある。雇用の受け皿を確保し若者の流出を止めるのが急務だ」と、柏木町でパン屋「ベーカリー+カフェ パンの実」を営む磯辺朋生さん(39)は切に訴える。

 磯辺さんは東京から15年ぶりに帰郷し、昨年6月に営業を開始した。「子どもの頃の印象とはガラリと変った函館。玄関口の駅前は寂しく、若者が少ない印象を受けた」と振り返る。

 飲食店を営む友人も多く、中には閉店を余儀なくされた店も少なくないという。この現状に仲間からは口々に不安の声が聞かれ、自身も人ごとじゃないと危機感を強める。「飲食業界は浮き沈みが激しい。その分、チェーン展開する店など大手はし烈な競争を繰り返している。しかし、それらの参入は大きな雇用を生むチャンス。良い意味での企業同士の切磋琢磨(せっさたくま)が必要」と話す。

 お店に来る大学生らも地元志向は強く、働き口と職業の選択肢さえ広がれば「必ずにぎわいを創出できる」と信じる磯辺さん。「未来を支える若者に目を向けた支援を」と強調する。

 一方、高齢者の不便を解決するサービスなどを展開する弁天町の「ねこの手」の土肥章希男社長(55)は「西部地区には独居老人が多い。高齢者が安心して暮らせる社会づくりが大切。孤独死を無くしたい」と力説する。

 仕事柄、高齢者と接する機会が多い土肥さん。特に西部地区は観光面では優れた名所が点在するが、高齢者には優しくないと指摘する。

 「スーパーや病院は郊外に集中。若い人たちは仕事を求めて皆出て行ってしまう。支えるはずの若者がいないのは大問題」と話す。「魅力的なまちと言われても、空き店舗が目立つ。活用法はさまざまでやる気のある人が使えば活気は取り戻せるはずなのに、古い体質がそれを邪魔しているのでは」と懸念する。

 今必要なのは高齢者とそれを支える世代が共存し合える地域。「人と人との絆が深い“函館らしさ”を生かした雇用対策に期待したい」と力を込めた。


◎音楽に復興の願い込め…10日に市内各所でチャリティー演奏会

 音楽の力で被災者に元気をー。東日本大震災の被災者支援を目的としたチャリティー演奏会が10日、函館市内各所で開かれる。入場料などは全額義援金として充てる奉仕活動で、関係者は「自分たちの音楽でお役に立ちたい。市民の心に明かりがともれば」と意気込んでいる。

 函館白百合学園中学高校吹奏楽団(吉田ひかり団長)は、部員たちが「被災者のために力になれれば」と募金活動を伴う演奏会を企画。顧問の前田浩史教諭とともに市内の高校に参加を呼び掛け、趣旨に賛同した函館商業高吹奏楽部も出演する。

 当日は五稜郭タワーアトリウム(五稜郭町43)で午後1時半に開演。白百合は米国の同時多発テロ事件をテーマにした「灰から救われた魂たち」などを演奏。曲中では被災地の復興を願う団員が思いを込めたメッセージを読み上げる。吉田団長(高3)は「私たちの音楽を東北に届ける思いで演奏したい」。入場無料で会場に募金箱を設ける。問い合わせは白百合の前田教諭рO138・55・6682。

 函館のピアニスト伊藤亜希子さんは、声楽家の畑野祥子さん(ソプラノ)と次藤正代さん(同)とともにボランティア演奏の会「コンセール・ドゥ・ソリダリテ」を発足させ、午前11時、午後2時からいずれも道教育大函館校多目的ホール(八幡町1)で演奏会を開く。「ソリダリテ」とは団結や連帯を意味するフランス語で、被災者に寄り添う願いを込め中田喜直ら日本人の歌曲など16曲を披露する。

 伊藤さんは「日本歌曲で和んでもらえたら。今後も仲間を募って演奏会を継続したい」と話す。一般1500円、中学生まで500円。要予約。申し込みは伊藤さんTEL0138-55-1493。

 マリンバ奏者の市川須磨子さんらでつくる「アンサンブル木精」は午後2時から、「カジュアルコンサートVol・1〜ラグタイム&スクリーンミュージック〜」をヤマハ函館中央センター(美原2)で開く。市川さんは「明るい音楽を通じて不安を和らいでもらえたら」と願う。入場料1000円。定員約50人。問い合わせは市川さんTEL0138-51-6005。 (長内 健)