2011年4月8日 (金) 掲載

◎花粉到来の季節…函館山黄色にかすむ

 函館山で7日、スギの花粉が大量に飛散しているのが確認された。この日函館の日中は晴れで、最高気温は今年最高の14・6度まで上がり、西からの強い風を受けた木から飛び散った花粉で、山は薄い黄色に包み込まれていた。

 函館地域でスギやシラカバの花粉飛散調査を行う渡島保健所(美原4)は、今年は3月2日から観測を開始。スギは同29日に飛散が始まり、雨上がりで気温が上がった4月1日と、日中の最高気温が14度前後まで上がった5日から増えているという。

 7日は午前中から、函館山の宮の森登山コース周辺などから発生し、山から煙が上がるような光景が見られた。市内青柳町に勤務し、花粉症で悩む会社員の男性(47)は「5日から症状がひどくなった。今日はかなり飛散すると覚悟していたが、鼻や目は今年最も痛い」と話していた。

 道アウトドアガイドの木村マサ子さん(65)によると、函館山のスギで最も歴史の古いのは、1803(享和3)年、高田屋嘉兵衛が現在の大阪府摂津市から運んで植樹したものとみられている。函館山が要塞(ようさい)だった1930(昭和5)年には旧日本軍が植樹し、54(昭和29)年の洞爺丸台風で倒木した跡にも植えられたという。木村さんは「現在、最も花粉を飛ばしているのは戦後に植えられたものではないか」と話す。

 本州に比べると、道南の飛散は少ないものの、花粉は雨の後の暖かくなった日に多く飛散する。函館海洋気象台によると8日は昼まで雨だが天気は回復し、9日からは晴れや曇りになるという。同保健所では、花粉症の人はマスクなどを着用し、体内に取り入れないことを呼び掛けている。(山崎純一)



◎「花見電飾」今年も実施…五稜郭、函館公園

 花見の名所として知られる、函館市の五稜郭公園と函館公園の夜間の電飾ライトアップが、今年も実施されることが7日までに決まった。東日本大震災を受け、全国的に花見の自粛ムードが広がっている中で「市民の楽しみを守りたい」(土木部)と実施に踏み切ることにした。期間は4月29日から5月15日までの17日間。

 全国各地で花見の自粛が相次いでいることを受け、函館市も3月中に花見電飾の可否を庁内で検討したが、予定通り実施することで一致。市緑化推進課は「震災以降に市民からの問い合わせも数件あったが、自粛を求める意見はなかった」とする。

 両公園とも電飾個数はちょうちん形で約500個。電飾時間は午後7時から午後9時まで(土・日・祝日は午後10時まで)。五稜郭公園では郭外の南側植栽地の一部(五稜郭タワー横)で行い、函館公園には毎年恒例の露店もお目見えする。

 また、五稜郭公園での火気使用は、例年通り郭外に加え、箱館奉行所の復元整備が昨年で終了したことから、郭内の一部区域(裏門橋周辺)でガスコンロのみ使用を認めることも検討している。

 両所とも周辺駐車場が非常に少ないため、同課は電車やバスなど公共交通機関の利用を呼び掛けるほか、「郭内ではごみの持ち帰りを徹底してほしい」と話している。

 日本気象協会によると、函館のサクラの開花予想日は4月29日。(千葉卓陽)



◎もうすぐ春本番…フユザクラ開花

 【松前】サクラの名所、松前公園で7日、フユザクラが開花した。開花は昨年より2日早く、見ごろは16日から28日だという。公園を訪れた町民らは足を止め、かれんな白い花に見入っていた。町ではソメイヨシノの開花を5月1日と予想。松前町はこれからサクラの季節を迎える。

 公園内に十数本あるフユザクラは春(4〜5月)と冬(10〜12月)の年に二度、花を咲かせる。この日は正午に町の担当職員が1本の木に5輪以上の花が咲いているのを確認し、開花を宣言した。町商工観光課では「フユザクラが咲くと、春が本格化するのを感じる。今月下旬からサクラが順次咲くので、きれいな花を見て心を和ませてほしい」と話す。

 公園を散歩していた町内の主婦、北田めぐみさんと上田篤美さんは「フユザクラが咲くのを楽しみにしていた。サクラが満開になる5月が待ち遠しい」と笑顔で話していた。(松宮一郎)


◎企画「願いを託す」有権者の胸中D 若者 住みたいけど雇用少ない

 道内で投票率最下位を何度も記録している函館市。2007年4月の知事選投票率は58・52%で全道35市中32位、市長選も60・74%と低迷した。全国的に若者の政治離れが問題視される昨今、函館の若者は行政や選挙に関してどのような思いを抱いているのか。

 今春、道教育大函館校を卒業し、4月から福祉施設に勤務する斉藤亜弓さん(22)は学生生活を振り返り、「行政には雇用面の充実を図ってもらいたかった」と話す。大学生の就職活動開始時期は、大半が3年次。「専門分野の研究にじっくり取り組みたい時期だったが、将来を考えると学業より就職活動を優先せざるをえなかった。これでは本末転倒」と指摘する。

 就職の受け皿が少なく、仕事が決まらない友人や、函館での就職をあきらめ札幌や東京に出て行った人も多い。「函館に住みたい若者はたくさんいるが、雇用の少なさが不可能にしている。地方の雇用を増やして若者が住み続けられるようにしてほしい」とし、その改善策に企業への雇用支援を挙げる。「企業に余裕が生まれれば、学生も安心して学業に励めるようになるはず」。

 また「今のままでは自分の将来が不安」と漏らす。「安心して年齢を重ねられるような、制度や保障を整えてもらいたい」と訴える。

 一方、八幡町18にあるカフェ「むげん空間小春日和」の大野友莉代表(29)は、市民と行政との距離感を危惧する。「身近なはずの市政すら、別世界に感じる。さまざまな団体のイベントや企画は、当日の視察だけでなく準備段階から見てもらいたい。市民の視線で見つけた問題を議会で話す、それが本来の政治の姿なのでは」。

 また、政治の世界、とりわけ函館市議会の女性議員の少なさも疑問視。「人口から考えて少なすぎる。DVや子育て支援など女性に関する課題は多い。女性議員が増えることで、深い取り組みが期待できるのでは」と話す。

 震災を受け、応援イベントを企画し、ネット上で呼びかけたところ、6日後の打ち合わせに60人が集合した。「函館は誰かがどこかでつながっている絶妙な規模」と語り、しっかりシステム化された市政と自由に動ける市民が協力しあえばよりよい町が築けるはず—と期待する。(道議選取材班)(おわり)


◎市電からも被災地にエール

 復興の軌道≠ノ乗って—。東日本大震災で被害の大きかった東北地方を応援しようと、函館市企業局交通部は、函館市電の超低床車両「9600系(らっくる号)」2台の行き先表示器に、「がんばれ東北!」のメッセージを載せて運行している。

 市が市民から被災地への支援物資を募集したのを機に、市電の乗務員が「交通部でも何かできることをしよう」と発案。3月29日から、現在2台運行するらっくる号の車両の前後に表示している行き先の下にメッセージを添えた。

 同部では3月下旬から、らっくる号の行き先を英語や中国語、韓国語など5カ国語に対応したが、震災の影響で外国人観光客も激減。いったん外国語の表記を外し、白抜きで「がんばれ東北!」とエールを送っている。

 同部によると、例年この時期は東北からの観光客も多いが、3月の利用客は「前年比約20%落ち込んだ」(事業課)という。同課は「一刻も早く被災地が復興し、東北の方に函館に来てもらいたい」と話している。応援メッセージは4月中旬まで表示する予定。(森健太郎)