2011年5月10日 (火) 掲載

◎フノリ天日干し盛ん

 函館市戸井地区で、フノリの天日干しが盛んだ。青空が広がった9日は、沿岸近くの軒先にずらりと並び、「連休中は雨が続いたが、今日一日でだいぶ乾燥した」と漁師の表情は明るい。

 戸井のフノリ漁は、年明けから厳冬期にかけて最盛期を迎えるが、5月も漁は続く。干潮時の岩場に姿を見せるフノリを、漁業者は丁寧に手でむしっている。

 午前4時に起床し、すぐ浜に足を運ぶという瀬田来町の男性(78)は「フノリ漁は手間がかかる。採ってすぐ洗って、貝や小石を丁寧に取らなければならない。天気を気にしながらの乾燥作業も大変だが、手間仕事の分、みそ汁に入れるとおいしいよ」と話していた。 (田中陽介)



◎函館市統計書、09年の大学進学率38.9%

 函館市はこのほど、2010年版「市統計書」を発行した。それによると、09年の高等学校卒業者の大学などへの進学率は38.9%で、08年比0.6ポイント上昇した。一方で、就職率は23.1%と同1.5ポイント減少しており、厳しい経済状況が続いていることをうかがわせている。

 統計書は、市の住民基本台帳や国勢調査、国や道、気象台、警察、民間企業の統計などから、函館の人口や産業、市民所得、財政、労働、災害、治安などの状況をまとめており、2005―9年、もしくは05―09年度のデータを中心に収録した。

 09年3月に卒業した高校生2810人のうち、進学したのは1094人(38.9%)。進学率は05年32.1%、06年35.0%、07年34.8%、08年38.3%と年々増加傾向にあるが、09年の全道平均41.3%、全国平均53.9%はそれぞれ下回る。

 また、09年に就職した高校卒業生は650人。就職率は05年20.9%、06年21.3%、07年23.4%、08年24.6%と増加してきたが、09年は前年秋に発生した世界同時不況の影響が色濃く、各企業が採用を控えたとみられる。

 函館市の市民生活を身近な統計で見ると、1世帯平均人数は2・2人、乗用車は1世帯に1.0台、1人当たりの市民所得(企業所得含む)は249万3000円、市職員数は市民81人に1人、病院や医院は市民1046人に1院―などとなっている。

 また、09年の「函館市の1日」では、5.2人が生まれ、9.1人が死亡しており、自然減は差し引き3.9人。26.2人が転入し、29.1人が転出したため、社会減は2.9人だった。結婚は3.9組あるが、離婚も1.8組あった。

 同じく1日当たりの水道使用量は8万8000立方b、市電利用客は1万6000人、バス利用客は1万9000人、郵便配達数は11万6000通、ごみ収集量は170トン、刑法犯罪発生は9件、交通事故は3.4件、救急車の出動が36件―などとなっている。

 また、市は2011年版「ポケット統計」を200部作製し、関係機関に配布した。A4判三つ折りサイズで、人口や各産業の従事者数、観光客、医療施設数、学校数、市の財政など身近なデータを載せている。 (千葉卓陽)



◎桜開花や道内客多く、道南GW一安心/天候不順の影響も

 東日本大震災の影響から旅行や行楽の“自粛ムード”が懸念された今年の大型連休(4月29日〜5月8日)だったが、道南はサクラが開花したことや、本州方面への旅行を見合わせ函館などを訪れた道内観光客らでにぎわった。しかし、天候不順で客足は今一つ伸び悩んだ。関係者は震災の影響による減少幅は予想より少なかったとし、今後の回復を期待している。

 期間中の天候は雨模様が多く、函館で一日中晴れたのは5月5日のみ。サクラは同2日に開花、満開は同6日となった。五稜郭公園管理事務所によると、期間中約8万4000人の花見客が訪れたが、昨年の約12万人に比べ約3割減となった。「天気の影響は大きかったが、周りに迷惑の掛かるような人も少なく、全体的にまだ自粛ムードが残っているのかも」と同事務所。

 函館中心部の観光スポットとして知られる五稜郭タワーの来場者数は5万7504人で、昨年の5万6194人から微増した。また、市芸術ホールの駐車場の利用台数は、前年を約1500台上回る1万4005台。特に3〜5日は昨年以上の利用で、同ホール担当者は「札幌や室蘭を中心に道内客で混み合った。サクラが早く開花したからでは」としている。

 函館の玄関口である函館朝市は道央、道東の観光客を中心に、3〜5日が人出のピークだったという。朝市駐車場を管理している函館朝市協同組合連合会によると、例年に比べると全体的な来場者は少ない印象だが、「4日は例年以上に駐車場の利用があった。道内の観光客が本州に流れなかったためでは」と分析する。

 自然公園財団大沼支部によると、同支部が管理・運営する大沼公園(七飯町)の駐車場の利用は期間中で約2500台。「平年の約65%。本州からの車はほとんど見られず、道内は函館より、ほかの地域が多かった」と朝市同様の動きとみている。バスの利用は約110台で平年とほぼ同じ。「震災発生後は1日1、2台という日もあっただけに、回復はしている。外国人観光客も見られるようになった」と手応えを感じている。

 昨年7月にオープンし、初めての大型連休を迎えた五稜郭内の箱館奉行所の入館者は約3万人。「個人客が非常に多かった。自粛ムードのため事前予約のツアーや団体は減ったが、気軽に旅のできるグループや個人客が、サクラの開花に引き寄せられ多く動いたのでは」と話している。

 このほか、15日まで「松前さくらまつり」を開催中の松前公園(松前町)には前年比約6400人増の約9万人が訪れた。同実行委は「例年より2日早くサクラが開花し、震災の自粛ムードも収まったのが要因」とする。3〜15日に「もりまち桜まつり」を開く森町では、昨年より4日早く開花するも、オニウシ、青葉ケ丘両公園には前年比20%減の約7万6700人にとどまった。同実行委は「天候不良だったり、イベントを一部取りやめた影響が出たかもしれない」と話している。

 期間中の一般道(3キロ以上)、高速道(1キロ以上)の渋滞は国道5号を中心に3〜5日に集中した。道警函館方面本部交通課によると、「休みが分散傾向のためか、連休前半や後半はさほど混雑はなく、渋滞もほぼ例年並み」とする。同課によると、札幌方面に向かう国道5号で5日、七飯町西大沼―七飯町峠下間で午前11時ごろから約6時間半にわたり8キロの渋滞があった。高速道では3日、函館方面に向かう落部インターチェンジ出口からの4キロだけだった。


◎函館市教委/奨学金申請者、昨年度から半減

 函館市教委が経済的理由で修学が難しい学生に貸し付ける本年度の市奨学生の申請者が39人と、昨年度から半減した。市教委は「公立高校の授業料無償化や私立高校の就学支援金制度の開始が影響しているのでは」との見方を示すとともに、奨学生の追加募集を行う考えを明らかにした。

 市教委によると、同奨学生の申請者は2008年度が102人、09年度が97人、昨年度が78人だった。申請者の大幅減について市教委は「原因を特定するのは難しい」としながらも、「日本学生支援機構など民間の奨学金の活用や、文科省の新たな施策導入により申請者が減ったのでは」と分析する。

 同奨学生の申請要件には、連帯保証人2人が必要で、本年度からは保証人の条件として@市税を滞納していないA市奨学金や市入学準備金の返還を怠っていない―ことが新たに追加された。2つの要件に関する問い合わせは「数件きただけ」(市教委)だという。

 市教委は昨年10月から貸し付けた奨学金の滞納者への対策を強化し、悪質な場合は函館簡裁に督促を申し立てる措置を取っている。新たに加わった要件との因果関係は不明だが、市教委は「確証はないが要件を満たせず、申請できない場合も理由の1つとしてあるのでは」と話す。

 時期や人数などは未定だが、市教委は奨学生の追加募集を行う予定で、「予算の範囲内で柔軟な対応をしていきたい」としている。(黒田 寛)


◎福島県産イチゴ使って支援、調理師専門学校で調理実習

 函館短期大学付設調理師専門学校(下野茂校長)で9日、福島県産イチゴを使って調理実習を行った。同県産農作物応援プロジェクトの一環で、学生らは実習を通じて、食の安全や風評被害について学んだ。

 震災後、福島県産の農作物が安全検査をクリアしても放射能の影響などを懸念されて市場に出回らず、同県の農家は甚大な被害を受けている。この問題について、同校では「今、私たちが出来ることは美味しく作って食べることでは」と考え、同取り組みを企画。石川青果(日乃出町)に協力要請して福島県産とちおとめを取り寄せた。

 製菓衛生士科ではスポンジにカスタードクリームとイチゴをサンドしたフレジェを作った。学生らは粒の揃った立派なイチゴに感心しながら、手際良く作業を進めた。一方、調理師科の西洋料理コースではイチゴをソテーし、ホワイトバルサミコと合わせたソースをバニラアイスに添えたデザートを作った。試食した学生らは「甘酸っぱくておいしい」と笑顔を浮かべていた。

 同校では5月16日までの1週間を福島応援ウィークとして、実習に福島県産イチゴ取り入れたりイチゴの試食会を行い、食の安全性についての知識を深める。また、今後は他の作物も入荷しだい実習に取り入れていく予定という。(堀内法子)