2011年5月14日 (土) 掲載

◎「仏さまの子になります」函館市仏教会が花まつり

 函館市仏教会主催の「花まつり」が13日、函館市船見町の高龍寺で開かれた。大門グリーンプラザ周辺で開かれる予定だった稚児行列は雨のため中止となったが、市内の僧侶や園児らが法要を行い、お釈迦(しゃか)様の誕生を祝った。

 花まつりは通常、釈迦の誕生日と伝えられる4月8日に行われるが、函館では毎年、寒さが緩むこの時期に開催している。この日は同会僧侶のほか、函館仏教保育協会に加盟する市内7幼稚園の園児ら約230人も参加。園児は烏帽子(えぼし)や天冠(てんがん)を頭にかぶり、きらびやかな衣装に身を包み本堂に入り、法要に臨んだ。

 本堂に設置された花御堂の誕生仏の前で、函館市仏教会の副会長で勝願寺(石崎町)の百目木(どめき)隆一住職がお釈様の誕生を祝う表白文を読み上げた後、僧侶に続き、各園の園児代表が誕生仏の頭上から甘茶を注いで手を合わせた。

 最後に園児を代表し花園大谷幼稚園の三坂寛斗ちゃん(5)と張石夏帆ちゃん(5)が「これからもお釈迦さまの教えを守り、元気で心優しい子どもになります」と誓いを述べた。(山崎純一)



◎函館市特別職人事固まる 教育長人事で賛否も

 工藤寿樹函館市長を支える特別職の人事が固まった。副市長をともに財務部長経験者で固め、選挙戦で主張してきた行財政改革・経済再生路線を色濃く打ち出すとともに、教育長もこれまでの慣例を一新。その一方、これまで教育長ポストを独占してきた教育界には衝撃が広がり、教育委員会未経験者の起用に疑問の声も聞かれる。

 中林重雄企業局長の副市長起用は庁内外から「既定路線」との声が根強かった。工藤市長とは財務部長、次長としてタッグを組み、組合や一部議員の抵抗が強かった中で職員削減を推し進めた間柄。加えて04年から3年間は議会事務局長を務めており、ある市幹部は「議会からは非常に信頼されている」と語る。片岡格財務部長も財務畑が長い上、06年から2年間商工観光部(当時)に在籍した経験も踏まえ「(経済界と)顔のつながりもある」(工藤市長)として推した。

 教育長については「もともと教員からの起用にこだわっていない」(同市長)と、前例を打ち破った。山本真也企業局交通部長については「街のデザインや文化、歴史に知識を持つ人材」と評価し、施策の根幹を担う企画部に在籍した経験も買った形。企業局長に起用する秋田孝土木部長については「技術職にも希望を持ってほしい」とする。

 副市長、教育委員人事の最終決定権を握る議会の反応はどうか。ある議員は教育長人事について「以前は教育のことは教育長に“丸投げ”するようにも見えたが、これからはきちんとした考え方を示すのでは」と評価。別の議員は前市長が教育団体をバックに選挙戦に臨んで敗れたことを挙げ、「伝統を変えるべき」と話す。

 一方で“聖域”を奪われた形の教育界。道教育大函館校の出身者でつくる「夕陽会」の幹部は今回の教育長人事に「ノーコメント」と口を閉ざすが、ある教員OBの女性は「学校と行政の距離が遠くなるのは否めない。現場を知らないぶん、これを機会に積極的に足を運んで血の通った政策をしてもらいたい」と胸の内を代弁する。市内の80代女性も「新しい風を吹かせるつもりかもしれないが、教育は人生の基礎を作るうえでもっとも重要なこと。現場経験者の登用がやはり安全なのでは」と語る。

 ある議員は「前例がないだけに不安はある」とした上で「他都市では行政職から教育長を登用して成功している例もあり、期待したい」と見守っている。(千葉卓陽、堀内法子)



◎がごめ昆布 全国区へ テレビ番組で紹介 注文相次ぐ

 函館名物で強い粘りが特長の「函館がごめ昆布」が全国放送のテレビで紹介され、市内の専門店やアンテナショップに全国から注文が相次いでいる。テレビ番組で取り上げられた板状平昆布はほとんどの店で完売状態。地元関係者は「函館発のヒット商品に」と全国区への飛躍に期待が高まっている。

 ガゴメが登場したのは、12日午後9時から日本テレビ系(道内はSTV)で放送されたバラエティー番組「秘密のケンミンSHOW」。「日本列島ネバネバフェア」と題し、大分県豊後水道で収穫される海藻「クロメ」と一緒に取り上げられた。

 番組では、市内2カ所の家庭を訪問。板状平昆布を刻んでぬるま湯につけ、柔らかくなってから細切りにし、天つゆをかけてご飯の上に。ガゴメを扱う丸善納谷商店(函館市新川町、納谷英雄社長)も紹介。函館市民にもマイクを向け「とろ〜りがおいしい」ことを突き止めた。スタジオで試食した出演者たちも、その粘りに驚くとともに「おいしい」を連発し大満足の様子だった。

 ガゴメ関連商品を120品目扱う「函館がごめ昆布アンテナショップ」(同市弁天町、茂森慶子店長)では13日、放送を見た視聴者などから電話での注文が30件、ネット通販注文が100件、電話での問い合わせが30件あった。茂森店長は「注文の処理で朝からてんやわんや。テレビの影響か板状平昆布の注文が多く、在庫がなくなった。ガゴメの良さを全国に発信できてうれしい」と喜ぶ。納谷商店にも50件の電話注文があったという。

 同ショップを運営する函館がごめ連合(布村重樹代表、35社)では、市内の飲食店と連携し、ガゴメを食べられる店を増やすなど普及に力を入れている。

 ガゴメは函館沿岸付近でしか採れない貴重な昆布。フコイダン、アルギン酸、ラミナランなどが豊富で、特に抗がん作用があるとされるフコイダン含有量は一般の昆布に比べ2倍以上ある。(山崎大和)


◎函館タナベ食品の3品がモンド・セレクション最高金賞に

 函館市桔梗5の水産加工品製造・販売業「函館タナベ食品」(田邉元久社長)の主力商品「いかしゅうまい」など3品が、本年度の世界的な食品コンクール「モンド・セレクション」で最高金賞に輝いた。金賞、銀賞も含め入賞は7年連続の快挙で、田邉社長(52)は「結果に満足せず、より消費者に愛される商品づくりをしていきたい」と意気込んでいる。

 「モンド・セレクション」(本部・ブリュッセル)は優れた食品を国際的に評価する機関として1961年に設立。清涼飲料水、健康商品など幅広い商品も対象に年1回コンクールを開催。毎年世界中の食品メーカーから2000品以上もの応募があり、専門家による厳正な審査で最高金賞、金、銀、銅の各賞が贈られている。

 2005年度から応募を続ける同社は今回8品を応募。最高金賞は函館近海のマイカや噴火湾のホタテなど道産の素材を使った「いか」「かに」「帆立」のシューマイ。ぷりぷりした食感の「いか」は3年連続5回目、鮮度の良さが楽しめる「かに」は5年連続、濃厚でまろやかな風味の「帆立」は4年連続だ。

 また、無着色の「たらこ」「辛子明太子」、「まるごといかしゅうまい」、「まるごといか明太しゅうまい」が金賞を受賞。戸井のマコンブを使った「昆布の若芽」は銀賞だった。

 04年創業の同社は、タラコやめんたいこを主力に地産地消にこだわった水産加工品を製造、販売。駅や空港、土産屋のほか、通信販売もしている。贈答用や東京での物産展でも人気は高い。

 田邉社長は「味、品質ともに毎年改良を加えての挑戦なので国際的評価は励み」と喜び、「安心・安全にも一層徹底し、函館の知名度を生かした商品展開をできれば」と話している。(長内 健)