2011年5月16日 (月) 掲載

◎慈善コンサート、函館の芸能集結

 歌と踊りで東日本大震災の被災者を支援しようと、「ひまわり東日本大震災チャリティーコンサート 皆の力で!!」(函館ひまわり実行委主催)が15日、函館市民会館大ホールで開かれた。函館の民謡、歌謡、舞踊界で活躍する22の個人・団体(約130人)が集結した大規模イベントで、約1300人の観客を魅了。入場料(当日券含む)全額と会場での募金、協賛金を合わせて約128万円を日本赤十字社を通じ被災地へ届ける。

 開演に先立ち、亀田葬儀社の川道一司社長が震災犠牲者の遺体搬送支援を行った様子をまとめたDVDを放映。川道社長は「言葉では言い表せないほどつらい状況だった」と振り返った。全員で黙とうをささげた後、実行委員長の佐々木基晴さん(佐々木基晴連合家元)が「皆さんで心を合わせて復興を後押ししよう」とあいさつ。佐々木委員長が市福祉部の藤田光次長に義援金(目録)を手渡した。

 プログラムは、YOSAKOIソーランチーム「夢限舞童(むげんぶどう)」によるエネルギッシュな演舞で幕開け。函館出身の演歌歌手近江亜矢さんや佐々木委員長自らも自慢ののど披露し、会場を盛り上げた。最後は出演者全員で「三百六十五歩のマーチ」を歌い、締めくくった。

 会場には函館に身を寄せている被災者のため、招待席100席も設けられた。(山崎大和)



◎昨年度の市女性センター利用者増

 函館市女性センター(東川町11)の2010年度の利用者延べ人数が1万5049人となり、2009年度に続き2年連続で増加したことが明らかになった。同センターは「多彩な講座の実施や、センターの利用団体が増えたからでは」と増加の要因を上げている。

 同センターは女性の社会における地位向上を図る施設として1972年に誕生。以来、学習・文化教養などの講座開催や自主活動団体の支援など幅広い活動を展開している。

 同センターによると、年間利用者延べ人数は08年度が1万1614人、09年度が1万3095人。算定方法を時間帯別延べ利用人数から実利用者人数へと変えた1999年の2万2282人から、利用者数はわずかながら減少傾向を示し、08年度の利用者数は過去最低を記録した。年代別では、50才以上の全体で占める割合が08年度が約72%、09年度が約69%、10年度が約76%といずれも最多となっている。

 09年度から同センターの指定管理者を務める市民団体「にっぽん文化楽会」(原田恵理子代表)は「喫茶店の運営や中高年などを対象とした新規講座の開催が利用者増につながったと思う」との見方を示す。

 同センターを所有する函館市は「施設内の駐車場スペースが狭いなど、利用者本位で見ると改善の余地がある」と話し、「市民の声に耳を傾けながら改善できるところはしていけたら」とさらなる利用者増を目指している。(黒田 寛)



◎函館中央病院にフットケア外来

 函館中央病院(函館市本町33、橋本友幸院長)はこのほど、糖尿病による足病変などを予防、ケアする「フットケア外来」を開設した。専門知識を習得した内科の看護師2人が対応しており、同病院は「糖尿病患者の足を守るケアに努めたい」としている。

 担当の看護師は佐々木栄理子さんと岩館涼子さんで、道看護協会主催のフットケア研修会や日本総合研究所のセミナーを受け、知識と技術を学んだ。

 糖尿病は症状が悪化すると、網膜症や神経障害、糖尿病腎症などの合併生を引き起こす。足の場合、神経障害や血流障害、抵抗力の低下によって傷やでき物が治りにくくなる足病変になり、重症化すると壊疽(えそ)して足を切断するケースもある。

 フットケア外来は近年、診療報酬で糖尿病合併症管理料が加算されたことに伴い、開設する医療機関が増えているという。

 同病院は毎週火曜午後2時から診療を行い、糖尿病で通院治療中や糖尿病の診断を受けた患者を対象に内科主治医の指示に基づいてケアをする。予約制。

 足の知覚検査や皮膚、爪などの状態の観察などを行った後、ケアの方法を決め、患者に対してもセルフケアや日常生活の注意点も指導していく。必要があれば足の爪切りや角質のケアのほか、足浴やシャボンラッピング(泡足浴)も行う。

 当面は足病変を予防するケアを重視していく方針で、佐々木さんは「糖尿病になると痛みや症状が現れにくくなるので、足のケアに対する関心を持ってもらえるようサポートしていきたい」、岩館さんも「患者さんの生活レベルを下げないよう努めていきたい」と意気込みを話している。(鈴木 潤)


◎豪華客船が函館寄港、震災後道内初

 日本クルーズ客船(大阪)が運航する客船「ぱしふぃっくびいなす」(2万6561トン)が15日、本年度初めて函館港に寄港した。東日本大震災の発生後、客船が道内に入港するのは初めて。接岸した西ふ頭岸壁(函館市弁天町)では歓迎セレモニーが開かれたほか、豪華な船内を見て回る市民向けの見学会も行われた。

 同社が横浜を起点に9日から10日間の日程で企画した「春探訪日本一周クルーズ」の一環。同船は全長183・4メートル、全幅25メートルの12階建てで、客室は238室。今回は乗客約300人を乗せ、神戸や境港、富山を経由して15日午前8時40分ごろ、西ふ頭にゆっくりと接岸した。

 岸壁でのセレモニーで函館運輸支局の大関哲雄次長は「震災もあったが、函館はこのように元気で、温かい真心で歓迎したい。春の北海道を満喫してほしい」とあいさつ。ミスはこだての西野里沙さんが由良和久船長に花束を手渡し、旬の南茅部地区産の甘エビ30キロも進呈した。

 船内見学会には市民ら約80人が参加。由良船長が同船の特徴や世界一周クルーズで撮影した各国の運河の写真などをスライドで紹介した後、一行はプールや映画館、ラウンジなどサービスが行き届いた豪華設備を巡り、ひとときのクルーズ気分を味わった。

 船内見学した市内日吉町の主婦(33)は「想像以上にいろいろな施設があり、それぞれが広くてびっくり。子どもが大きくなったら乗りたい」とうっとり。一方、夫婦で訪れた乗船客の静岡県浜松市の伊藤曠子さん(82)は「函館は3回目だが、市電に乗って五稜郭に行くのが楽しみ。夜景やグルメも堪能したい」と話した。

 この日の夜には船内で見送りのセレモニーがあり、いか踊り実行委のメンバーらが乗船客に函館名物の踊りを披露。同船は16日午前零時ごろ、次の寄港地の八戸に向かって出港した。(森健太郎)


◎日ハム函館最終戦も大勝、最多の2万人超大熱狂

 15日にオーシャンスタジアムで行われた北海道日本ハムファイターズ対オリックスバファローズの試合前、東日本大震災で被災し、福島県南相馬市から家族とともに函館に移った、函館日吉が丘小学校5年の太田聖哉君が始球式を務めた。大役を果たした太田君は「緊張したけど、大切な思い出になった」と喜んでいた。

 球場に到着した太田君は、日本ハム球団職員からピッチングフォームを習い、同職員とキャッチボールを行い練習した。グラウンドでは父朋彦さん(37)ら家族も駆け付けた中、斎藤佑樹投手の背番号「18」に「がんばろう福島」と書かれたユニホームを着て、審判とともにマウンド前方に向かった。

 投げようとするとスタンドから「聖哉、頑張れ」と声が掛かり、太田君は大きく振りかぶってボールを投げ、スタンドから大きな拍手を受けた。控室に戻り、「応援に来てくれた学校の担任の先生らが声を掛けてくれたと思う。プロの選手はすごく格好良かった。自分の投球は100点満点」と笑顔をはじかせていた。

 このほか、花束贈呈は太田君の弟で同小1年の慧吾君、同じく被災のため移住してきた同小3年の吉田一翔君が務めた。(山崎純一)