2011年5月18日 (水) 掲載

◎プティ・メルヴィーユ最高金賞…「モンドセレクション」

 洋菓子製造販売のプティ・メルヴィーユ(函館市末広町)が、ことしの国際的な食品コンクール「モンドセレクション」で最高金賞など3つの賞を獲得した。オーナーシェフの遠藤薫社長(57)は「洋菓子の本場で評価された」と自信を深めている。

 昨年、看板商品のチーズケーキ「メルチーズ」を初出品し、最高賞に当たる最高金賞を受賞した。今回はこれを含む主力3品を出品。メルチーズは2年連続の最高金賞を受賞し、森町のカボチャにこだわった「カボチャプリン」は金賞を、北海道の大地をイメージした「生チョコロール」は銀賞を獲得した。

 メルチーズ(1個126円)は、遠藤社長が「函館に洋菓子文化を根付かせたい」との思いで1997年に発売した小さなチーズケーキ。2口で気軽に食べられるだ円形にこだわり、原材料で最も多く使うチーズは複数をブレンドし、冷凍熟成することで味に深みが増すという。

 今回出品数を増やしたのは、自身の仕事に対する世界の評価を確認する意味があった。結果を受けて遠藤社長は「今までやってきたことは間違っていなかった」とし、来年はメルチーズの生キャラメル風味など、さらに出品点数を増やして挑戦を続ける考え。今後の戦略については「ようやくこの場所にたどりついた。今後は函館の土産品として定着させたい」とあくまで地元にこだわった経営を決意している。

 モンドセレクション(本部・ベルギー)は食品の品質向上を目的に1961年に創設された品評機関。コンテストは「食のオリンピック」とも称され、毎年国際的な審査員が品質や味などを審査する。(小泉まや)



◎「函館子ども歌舞伎」全国フェスで熱演

 【石川】「第13回全国子供歌舞伎フェスティバルin小松」が14、15の両日、石川県小松市のこまつ芸術劇場うららで開かれた。招待を受けた「函館子ども歌舞伎」(市川団四郎さん主宰)のメンバーが満員の大舞台で熱演。和田慎司小松市長からは、東日本大震災の復興のための義援金100万円の目録も贈られた。

 同フェスは、子ども歌舞伎団体による伝統芸能を楽しんでもらおうと、小松市や実行委などが毎年開催。「函館子ども歌舞伎」は2003年、06年に続いて3回目の出演で、滑稽物の「釣女(つりおんな)」を演じた。

 今回は小林滉河さん(深堀中2年)、小林樹奈さん(同3年)、今井みちるさん(的場中1年)、沼田彩香さん(本通中2年)が出演。大名と冠者が竿を手に美女を釣り上げるストーリーで、逆に美女に釣られてしまうユーモアな場面も。生き生きと演じ切った子どもたちの姿に、会場から盛んな拍手が送られた。

 また、小松市から義援金を受けたお礼も兼ね、函館市教委生涯学習部の岡崎圭子次長と塚谷圭永子文化振興課長が歌舞伎関係者に同行。和田小松市長が「津波被害で大変だったと思うが、復興に役立ててほしい」と岡崎次長に目録を手渡した。

 塚谷課長は「大変ありがたい。地域の歌舞伎文化成熟のためにも、今後も交流を続けていきたい」と振り返り、函館子ども歌舞伎の廣瀬等事務局長(70)は「大舞台に出演できた子どもたちにとってとても良い経験になった。今後の活躍も期待される」と笑顔で話した。(長内 健)



◎公益社団法人移行認める…函館市シルバー人材センター

 函館市シルバー人材センター(南谷正巳理事長)は17日、組織を社団法人から公益性の高い事業を行う公益社団法人へ移行することを決めた。同日、市芸術ホール(五稜郭町)で開かれた本年度通常総会で承認された。今後、道に移行申請し、認可を受け来年4月1日の始動を目指す。

 同センターは、国の公益法人制度改革の一環で2008年12月に関連法が改正されたことを受けて、内部で組織移行を検討。法では13年11月末までに公益社団法人か一般社団法人への移行が求められており、役員会では税制面で優遇があり、公的支援が受けやすい公益法人への移行を総会で提案することにした。

 公益社団法人への移行申請には総会の承認が必要。旅費や日当、会費納入などをより明確化するなど、現行の組織よりも透明性の高い運営が求められる。

 総会には会員約330人が出席。公益社団法人への移行案と、移行に伴う新設の規定を盛り込んだ定款の改正案の2件が承認された。

 坪谷正一事務局長は「今後、道の指導を受けながら移行に向けた準備を進めていきたい」とした。

 このほか、10年度事業報告では、会員の傷害事故や賠償事故が前年度よりも2件多い20件に上ったことなどを報告。

 任期満了に伴う役員改選も行われ、南谷理事長を再選。退任の白木荘太副理事長の後任に中田俊一理事が選ばれた。南谷理事長は4期目。

 同シルバー人材センターは1980年に創立。会員は約1100人。昨年30周年を迎えた。(鈴木 潤)


◎被災者の精神的支えに…渡辺病院が岩手に医師ら派遣

 函館渡辺病院(函館市湯川町1、増岡昭生院長)は20日から、東日本大震災の被災者の心のケアを行う医療チームを岩手県山田町に派遣する。日本医師会の要請を受けての派遣で、心のケアを行う派遣は道南では初。

 派遣するのは精神科医、看護師、精神保健福祉士、事務員の計9人。25日まで、2チームに分け前半組、後半組で支援活動に当たる。

 被災地の医療は緊急の治療を行う急性期医療が落ち着き、生活基盤を失った被災者の精神的なケアが必要とされている。同病院が事前に受けた情報によると、不眠症や不安、恐怖感を訴える被災者が現れているという。

 現地では、避難所を巡回し、精神的な疲労、ダメージを受けた被災者を診療するほか、救援活動に当たる自衛隊員のケアも行い、薬の処方も行う。

 16日、同病院で発足式が行われ、増岡院長が派遣チームのメンバーを激励。チームを代表し、柳川厚史医長が「現地の医師らの負担を少しでも軽くしたい」などと決意を述べた。

 加藤勉副看護部長は「一人一人から困っていることを聞き、少しでも楽になるような援助をしていきたい。自分のできることを精いっぱいやります」と話した。(鈴木 潤)