2011年5月2日(月) 掲載

◎自慢の食材もとめにぎわう 食KING市

 【森】昔ながらの朝市のスタイルで森町の味覚をPRする、本年度1回目の「楽市楽座もりまち食KING市」が1日、御幸町大通りで開かれた。小雨が降る悪天候にもかかわらず、早速、水産物や野菜、山菜などを買い求める大勢の客でにぎわいを見せた。

 商店街活性化と森町の特産品PRを目的に昨年から始まったイベント。今年は8月を除く12月までの毎月第1日曜日午前8〜11時に開かれる。

 オープニングセレモニーで佐藤克男町長が「森町の食を楽しんで」とあいさつ。森商工会議所の伊藤新吉会頭が「官民の総力を挙げて活性化につなげたい」と述べ、野村洋議長らとテープカットを行った。

 この日の目玉商品は、特価販売のイカめしや訳あり品のカニなど。店頭にはギョウジャニンニクなどの季節の山菜も並び、多くの町民らが次々と買い求めていた。レタスなどの野菜を買い求めた森川町の主婦(70)は「日曜の朝のちょっとした時間に買い物ができるので、いいイベントです」と話していた。

 佐藤町長は「一度は行ってみたいと思われるようなイベントに成長させたい。函館はもちろん、札幌や苫小牧など各地から客を呼び込み、食KING市から新たな特産品を生み出したい」と話していた。(今井正一)



◎雇用確保、格差是正訴え メーデーで連合、全労連が大会

 「メーデー」の1日、函館地区連合(荒木敏安会長)と全労連・函労会議(佐々木正美議長)は函館市内でそれぞれ大会を開いた。悪天候に見舞われたためデモ行進は行われなかったが、参加者は横断幕やプラカードを掲げて雇用の確保や格差社会の是正、平和社会の実現などとともに、東日本大震災からの復興支援を訴えた。

 函館地区連合の第82回メーデーは千代台公園中央広場(千代台町)で開かれ、72団体1265人(主催者発表)が参加。大震災の復興支援と位置づけて開催し、冒頭では参加者全員で犠牲者へ黙とうをささげ、会場で参加者からカンパも募った。

 荒木会長は「あらゆる厳しい環境に置かれている中、地場企業が元気にならなければ地域はますます衰退する。官民あげて支援体制を強化し、すべての働く者の連携に全力で取り組みたい」とあいさつした。

 式典には逢坂誠二衆院議員、工藤寿樹函館市長や地元選出道議、市議らが出席。工藤市長は「働く皆さんの気持ちを大事にしながら、新しい函館を築きたい。労働運動も目標を定め、連帯を深めながら力強い運動を」と呼び掛けた。

 続いて「働くことを軸とする安心社会の実現」などを盛り込んだスローガンや、大震災の復興支援と原発事故に対する情報公開を求めるメーデー宣言を採択。最後には全員で「頑張ろう」を三唱した。

 全労連・函労会議は、松風町のグリーンプラザで第82回メーデー函館大会を開催。東日本大震災の被災者支援や原発建設中止などを訴え、40団体300人(主催者発表)が集まった。

 冒頭で東日本大震災の被災者へ黙とうをささげた後、佐々木議長は「命がけの我慢をしている被災者のためにも菅政権は早急な対応を取るべき」とあいさつ。函館市内の津波被害への対応や大間原発建設中止、TPP参加反対の姿勢を示すとともに、労働者の連帯を呼び掛けた。

 各団体が雇用施策の充実などを訴えた決意表明の後、被災地の再建、医療福祉、教育の確保などを盛り込んだメーデー宣言を採択。頑張ろう三唱で大会を締めくくった。(千葉卓陽、黒田 寛)



◎企画「試練の春−大震災・函館観光のいま2」交通機関 粛々と普段の生活を

 観光振興を目的に道南18市町で組織する「みなみ北海道観光推進協議会」の寺坂伊佐夫会長は、早くから「自粛はいけない」と唱え続けた。ムードは冷めてきた感があるが「依然として悪いスパイラル。粛々と普段通りの生活を続けるべき」と強く訴える。

 震災直後から、被災地に弔意を示すように函館市内で企業や団体の宴会中止が相次いだ。宿泊施設では膨大なキャンセルが出た。こうした動きが地域経済に大きく影響することが懸念される。

 寺坂氏が社長を務める函館バス(函館市高盛町)の路線も、3月下旬から4月の利用が前年同期比で2・4%減少した。人口減などで例年若干減るのが常だが、今回は2倍以上の落ち込み幅。特に元町方面の循環バスが同50%減となるなど、観光路線の打撃が大きい。子会社の貸し切りバス事業も、修学旅行の切り替えが若干あるものの、4月はほとんどがキャンセルに。同社は「上期がこのままであれば予算の組み直しが必要」として、人件費の削減も視野に入れる厳しい局面だ。

 一方、「できる限りのことをやろう」との気概で、被災した函館朝市に町会の貸し切りバスを走らせる事業をスタートさせた。「元気な姿を見せよう」と、函館山の登山バスも例年通りの運行スケジュールに。市電・バス共通乗車券を企業などに買い取ってもらい、チラシなどと一緒に配布するPR作戦も企画し「今、市民が協力して何かをすることが重要」とする。

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 被災地を支援する人や物資を運ぶ役割を担う津軽海峡フェリー(同市港町)では、トラックなど物流関係の利用は増加した。旅客も3、4月は前年同期比で20%ほど増えたが、一時的な復興需要のため複雑な心境だ。同社は「観光はかなり少ない」とし、例年集中する夏には「車に乗って原発の側を通ってまでして海峡を渡るかどうか…」と言葉を濁す。

 震災直後には、海路再開を待つ多数のトラックドライバーが駐車場で夜を明かした。この時期に合わせて売店では290円の安価な弁当を投入し、4月下旬には以前から計画していた売店の24時間営業をスタートさせた。同社の藤井しおりさんは「一生懸命走ってきた人がほっと一息つける場所でありたい」と話した。(小泉まや)


◎横書き$助Mを初掲載

 函館市の俳句結社「弥生俳句会」(大江流代表、会員約30人)は句集・随筆集「弥生」の第15号を完成させた。今号から俳句は右とじで縦書き、随筆は裏面から左とじで横書きとした。大江さん(79)は「パソコンや電子メールを使う若い世代に、文章に興味を持ってもらいたく随筆を横書きとした。人生経験から表現力が豊かな会員がしたためた作品に触れてほしい」と呼び掛けている。

 会は結成19年を迎え、「弥生」は年1回発行。今号は会員16人が俳句を1人10句ずつ寄せ、大江さんが感想や会員の紹介文を添えているほか、11人の随筆を掲載した。

 函館俳句協会副会長などを務める大江さんは、俳句に取り組む人が高齢化し、若い人の参加を呼び掛けるが人材が現れないため、随筆を横書きにしてみたという。「自分ができることから実施しようと考えたが、私たちの世代にとって横書きは相当な決断だった」と話す。

 随筆は、陸上自衛隊に勤務していた時代の経験談や、ごう慢な男を改心させる昔話風の読み物など、多彩な内容。俳句は70代以上の会員が常に前向きに物事を考える姿勢が感じられる明るい句で、「中高年に励みと生きがいを与える内容」と大江さん。「俳句や文章が難しいものではないことが若い世代に分かってもらえたらうれしい。ぜひご一読を」と話している。

 A5判、83ページ。150部を制作。20部ほどを希望者に実費として1部1000円で販売する。問い合わせ、申し込みは大江さんTEL0138・46・0586。(山崎純一)