2011年5月22日 (日) 掲載

◎箱館五稜郭祭が開幕、土方コンテストで札幌の駒ケ嶺さん優勝

 戊辰戦争の最後の戦地となった五稜郭を題材にしたイベント「第42回箱館五稜郭祭」(同協賛会主催)が21日、2日間の日程で開幕した。初日は、市内に点在する箱館戦争ゆかりの地を巡る碑前祭や恒例となった「土方歳三コンテスト全国大会」が行われた。

 午後からは五稜郭タワーアトリウムで記念式典に続き、24回目を迎えた「土方歳三コンテスト全国大会」が行われた。今年は道内や名古屋市、岡山市などから女性3人を含む20人がエントリー。出演者は土方が最期を迎える場面を自身で演出を考え、土方の無念さや、自身の土方に対する思い入れを表現。容姿や演技、アピール度などで審査された。

 優勝は札幌市在住の会社員、駒ケ嶺智史さん(27)。最初に出演したのは10年前で、8回目の出演で悲願を達成。土方最後の日について行動や心境を研究し、迫真の殺陣を交えて熱演した。「土方の魅力はサクラのように華やかに咲き、散っていったところ。立ち回りで協力してくれた仲間のためにも、優勝できて良かった」と喜びを語った。

 22日には優勝した駒ケ嶺さんも参加する「維新行列」が午後1時から行われ、本町の行啓通では旧幕府軍と新政府軍の戦闘シーンが繰り広げられる。午後3時ごろから五稜郭公園の特設ステージで「開城セレモニー」が行われる。(山崎純一)



◎企画「命を見つめて」糖尿病編A 新基準で早期治療へ

 「治療は生活」「生活習慣に気をつけ、治療に向き合えば怖い病気ではない」——。糖尿病を専門に診る医師や看護師らは口ぐちに語る。

 治療は食事、運動、薬物療法の3つが主流。いかに合併症にならないようにするか、生活習慣の改善が大きなポイントとなっている。

 昨年7月、糖尿病の診断基準が改められた。血糖値の検査のみの判定から、長期的な血糖状態を把握できる「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」も採用。血糖値は食事や運動の影響を受けやすく、検査前に一時的に節制をすることで数値が変わってしまうこともあり、適正な診断ができない可能性があった。また、2回以上の検査が必要だった。

 HbA1c値は長年の研究成果で慢性の高血糖状態を反映する指標として信頼性が高まり、検査も行いやすいなどから検査基準の必須項目に加えられた。血糖値との同時測定が推奨されている。

 日本糖尿病学会の研修指導医で、高橋病院(函館市元町)の筒井理裕副院長は「初回検査の段階で糖尿病の診断が可能となり、早い段階で療養指導や治療ができるようになる」とメリットを語る。

 一方、治療薬も研究が進められ、インクレチン(インスリンを増幅させる消化管ホルモンの総称)に着目したインスリン分泌促進薬が医療従事者で注目されている。これまでは膵臓(すいぞう)にあるβ(ベータ)細胞に働き掛けインスリンの分泌を促したり、血糖値上昇を緩やかにさせる治療薬が主流だったが、低血糖や体重増加といった副作用が問題視されていた。

 インクレチン関連薬は、インスリン分泌を促す一方、血糖値上げるホルモンの分泌も抑える働きがある。

 函館市医師会病院(同市富岡町)の廣田則彦内分泌科長は「治療薬はこの2、3年で飛躍的に進歩し、治療の選択肢も広がっている。患者の個別的な症状に応じた治療が実践できる」と期待を寄せる。

 3大療法に加え、合併症の一種・足病変(そくびょうへん)の予防を重視した「フットケア」も広がりを見せている。足病変は神経障害や血流障害などによって傷やでき物が治りにくくなる病気。重症化すると壊疽(えそ)して足を切断するケースもあり、医療現場でも資格者の養成や療養指導の中でフットケアも行われている。

 函館中央病院(同市本町)は5月からフットケア外来を開設し、専門知識を習得した内科の看護師2人が対応。担当する佐々木栄理子看護師は「足のケアに対する関心を持ってもらえるようサポートしていきたい」と話す。(医療問題取材班)

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◆糖尿病の新しい診断基準(主な例)

 血糖値は@空腹時血糖値126mg/dl以上A75グラム糖負荷試験2時間値200mg/dl以上B随時血糖値200mg/dl以上、HbA1cはC6・5%以上(JDS値で6・1%以上)で「糖尿病型」と判定。@〜BのいずれかとCが糖尿病型を示せば、初回検査で糖尿病と診断。@〜Bのいずれかが糖尿病型を示し、口の渇き、多尿など典型的な症状、糖尿病網膜症が認められる場合も糖尿病と診断。HbA1cのみ反復検査では診断できず、血糖値の要件は必須。



◎「大間原発 福島より危険」、講演会に定員上回る200人

 青森県大間町で建設中の大間原子力発電所に関する学習会が21日、函館国際ホテル(函館市大手町)で開かれた。NPO法人「原子力資料情報室」(東京)の共同代表、西尾漠さんが「福島原発震災と大間原発」と題し、原発事故の現状や問題点、大間原発の危険性について講演した。

 道南地域平和運動フォーラム(相沢弘司代表)の主催。定員を大幅に上回る約200人が参加した。

 西尾さんは福島第一原発事故について「収束しないことが一番の問題」と指摘。原子炉建屋の水素爆発で大量の放射能が放出されたことを挙げ「放射能汚染が震災の被害を拡大させた。函館にも量は少ないが、当然飛んできていると思われる」と述べた。

 大間原発については使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランの混合燃料を使う世界初の「フルMOX」型であることに触れ、「事故が起きた場合の影響は福島よりもはるかに大きい。危険な原子炉になり得る」と懸念。高さ15メートル防潮壁を設置することも「全国一律では形だけで何の対策にもなっていない。津波よりも地震対策が肝心で、いまならば建設も止められる」と訴えた。

 今後については「エネルギーの利用効率を高めることが大切」とし、再生可能エネルギーの必要性を強調。「原子力を止めることは再生可能なエネルギーにかじを取る好機。そのために世論の力が必要」と語った。講演後には参加者から「原発の稼働停止や建設中止は地震発生の確率の問題なのか」「農作物への影響は」などと盛んに質問も飛び交った。(森健太郎)


◎江差に「まちなか市場・寄伝家」オープン

 【江差】江差町本町の法華寺通り商店街で19日、空き店舗を再利用して地場産の農水産物や食品類を販売する「まちなか市場・寄伝家(よってけ)」がオープンした。

 12の商店や事業所がある法華寺通り商店街組合(三国幸吉会長)が開設。閉店したカメラと化粧品の店舗を改装して調理場や冷蔵庫などを設け、地場産品を販売する共同店舗として再オープンした。

 江差産の野菜や山菜、タコやカニなどの水産物、独り暮らしの高齢者や転勤族に便利な総菜を販売。船ダンスや金庫など、北前船時代の繁栄を伝える古民具の展示スペースもあり、商店街を訪れる観光客の案内所の役割もある。

 同組合は2002年にも空き店舗を活用したコミュニティースペース「寄来所(よっこらしょ)」を設け、買い物客の休憩場所として提供。商店街が主催するイベント会場として活用している。オープンした寄伝家は、街路を挟み向かい合わせの位置にあり、買い物客の利便性も向上しそうだ。

 過疎化や大型スーパーの進出などの影響で、商店街でも複数の空き店舗がシャッターを下ろしたままだ。三国会長は「寄伝家と寄来所を中心に新たな人の流れを生み出したい。商店街にある他の空き店舗の再開にもつながれば」とし、商店街再生に向けた起爆剤となることを期待する。

 営業時間は午前9時から午後7時。定休日は日曜日の予定。問い合わせはTEL0139・52・2111。(松浦 純)