2011年5月25日 (水) 掲載

◎スイーツで被災地支援 市内4店が焼き菓子共同開発

 東日本大震災の被災地支援にと函館市内の洋菓子・ケーキの4店が、新商品を手掛け、その売り上げを義援金に充てている。「希望のほし」と名付けた焼き菓子で、「支援の思いを深め、継続していくことができれば」と関係者は話している。1個120円。

 義援活動に取り組むのは、はこだて柳屋(万代町3、若杉充宏社長)、カフェショコラ(深堀町13、長倉桂子オーナー)、洋菓子の館(本通1、長谷川晃久店長)、ドリーミング(大縄町24、二口美哉子オ—ナ—)。はこだて柳屋の若杉誠士副社長が音頭をとり、4月から各店で販売している。

 当初は被災地へ直接、お菓子を届けることも考えたが、ニュースで支援物資の充足を知り「義援金で支えたい」と4店で義援活動を連携している。既存の商品に応援メッセージのシールを張る案もあったが、「仕上がるまでの時間や労力が大事。希望への願いをお菓子に込めて」と通常の仕事の合間を縫って、新商品の開発に力を注いできた。

 焼き菓子は、ほどよい甘さでレーズンの酸味もさわやか。表面にジャムやチョコレートなど、各店が独自の味わいを演出している。

 若杉副社長(47)は「お客様を含め、多くの協力がありうれしい。年内いっぱいは続け、『希望のほし』の改良にも努めたい」としている。

 22日には代表者が函館新聞社を訪れ、4店からの義援金計5万8760円を持参。本社窓口の義援金受付に届け、日本赤十字社を通して被災地へ送られる。(田中陽介)



◎函館市議会 議長に能登谷氏、副議長は板倉氏

 改選後初となる函館市議会(定数30)の第1回臨時会が23日開かれた。正副議長選挙を行い、議長に能登谷公氏(市政クラブ)、副議長に板倉一幸氏(民主・市民ネット)を選出。副市長に中林重雄企業局長と片岡格財務部長を選任、教育委員に山本真也企業局交通部長を任命することに同意したほか、監査委員に福島恭二氏(民主・市民ネット)と佐古一夫氏(市政クラブ)を選任することに同意し、閉会した。

 正副議長選は本会議出席の30人で投票を行い、議長の能登谷氏は有効投票数28票のうち27票を獲得、無効票は2だった。副議長の板倉氏は有効投票28票を満票で獲得、無効票は2。

 能登谷氏は61歳。1991年に初当選し、建設常任委員長などを歴任して連続6期目。就任あいさつで「東日本大震災の被災者に対し、本当の意味で復興の手助けを後押ししていくことが求められている。市長と議会の両輪が、互いに良い方向に踏み出せるよう努力したい」と述べた。

 板倉氏は60歳。1999年初当選。昨年参院選比例代表にに出馬し落選したが、今回の市議選で返り咲いて4期目。「地方自治を取り巻く状況が厳しさを増す中、議会の果たすべき役割が重要度を増している。市民に信頼され、安心される議会となるために頑張りたい」と意欲を語った。

 正副議長選挙は会派からの推薦候補に同意して投票することが慣例。過去には最大会派が同数となり、前期・後期の2年間に分けて選出することを申し合わせたがあったが、今回は第1会派の市政クラブが11人、第2会派の民主・市民ネットが8人と差が開いたことで、スムーズに決まった。

 工藤寿樹市長が提出した副市長、教育委員の選任は議長を除く29人が投票。中林氏が有効投票数29票のうち「可」が27票、「否」が2票。片岡氏は「可」28票、「否」1票。山本氏は有効投票数29票のうち「可」26票、「否」3票(いずれも白票)で、任命に同意した。中林氏は「函館は大変厳しい環境がしばらく続くと思うが、市長を補佐する役目をしっかり頑張りたい」、片岡氏は「さまざまな問題を一つ一つ乗り越えていくため、全身全霊をかける」とあいさつした。

 同じく監査委員の選任は、議長と当事者を除く28人が投票し、福島氏、佐古氏とも「可」27票」「否」1票だった。(千葉卓陽)



◎縄文文化交流センター 名称決定「縄文ロマン南かやべ」に

 函館市南茅部地区に10月にオープンする函館市縄文文化交流センター(臼尻町)に設置される「道の駅」について、市教委が市民から公募していた名称が「縄文ロマン南かやべ」に決まった。国土交通省に登録申請し、承認されれば8月にも正式決定する見通し。

 市教委は4月に市民らを対象に名称を公募し、273人から412件の応募があった。今月19日に市や地元関係者らでつくる「道の駅名称選考委員会」(委員長・妹尾正白市教委生涯学習部長)で選考し、地元の同市臼尻町の団体職員、坪井睦美さん(57)が名付け親となった。

 市教委によると、地域の特性が分かりやすく、「ロマンという言葉に夢と希望を感じさせる」点が評価された。坪井さんは「まさか選ばれるとは思っていなかったので感無量。縄文という過去のロマンだけでなく、未来にも地域の文化や魅力を発信できれば」と話した。

 同センターには南茅部地区で発見された道内唯一の国宝「中空土偶」などを展示し、周辺の遺跡は世界文化遺産の登録も目指している。市教委文化財課は「想定を上回る応募数で、地域住民の期待と関心の高さがうかがえる。全国でも聞いたことがない国宝が見られる道の駅として、多くの人に足を運んでもらいたい」としている。(森健太郎)


◎函館赤十字病院、休日に乳がん検診実施 毎月1回

 函館赤十字病院(函館市堀川町6、赤澤修吾院長)は6月から、「ホリデーマンモ」と称して毎月1回、土日、祝日のいずれかに乳がん検診を行う。事前に予約が必要で、同病院は受診を呼び掛けている。

 同病院の乳がん検診は通常、毎週火曜、木曜の午後1時から行っている。ホリデーマンモは8月までは日程が決まっていて、各月の日時は6月26日午後1時、7月23日午前9時半、8月28日午後1時。いずれも2時間程度で、定員は各10人前後としている。

 昨年10月、乳がん検診啓発団体の運動に賛同し、日曜日に乳がん検診を行った際、好評を得たことや、仕事や子育てなどで休日しか受診できない人のニーズが高いことなどから検診担当の医師や職員で検討し、休日の検診を決めた。今後は休日の検診機会を増やし、市内、近隣の受診率向上にもつなげたい意向。

 検診内容は、マンモグラフィー(乳房]線撮影装置)検査と医師による視触診。受診当日に結果を知ることができる。受診料4380円。各市町で助成制度あり。乳がん検診の無料クーポン券も使用可能。

 同病院の枝沢寛副院長は「平日忙しい人にぜひ受診しほしい。地域の受診率向上につながれば」と話している。受診の申し込み、問い合わせは同病院TEL0138・51・8877。(鈴木 潤)


◎企画「命を見つめて」糖尿病編C 長期的指導 メタボ脱却

 糖尿病をはじめ、高血圧症、脂質異状など生活習慣が関与して発症する病気の総称を生活習慣病と呼ぶ。さらにこれらの病気に内蔵脂肪型肥満と複合した状態をメタボリック(代謝)症候群といい、国は生活習慣病の予防策の一環として、2008年度から、特定健康診査と特定保健指導を行っている。

 市町村ごとに実施し、発症率の高い世代と言われる40歳以上74歳以下を対象に血糖値などを測定、同症候群の該当者、その予備軍に対して、保健師が個別に指導する。

 函館市内の自営業の男性(57)は昨年、特定健康診査で同症候群と判定され、保健指導を受けた。男性は、甘い和菓子を1日に何個も食べ、座り仕事が多く、運動もほとんどしていなかった。市立函館保健所の保健師、管理栄養士の指導を受けながら内臓脂肪の減少させる具体的な取り組みを立案。90センチの腹囲を84センチにするという目標を最初に定めた。

 日課として目標としたのは@和菓子を1日1個A朝、体操を10分するB散歩で20分歩くの3点。日常生活の中で無理なくできる取り組みで、継続することによって効果はてき面に現れた。腹囲は1ヵ月ごとに1センチずつ減少し、半年後には目標を達成することができた。検査の数値も改善されたという。

 同保健所の担当者は「内臓脂肪を1キロ減らすのには7000キロカロリーの消費が必要。短期間でのクリアを目指すと挫折しやすいので、長期的な視野で一歩ずつ目標に近づくやり方が適切」とアドバイスする。

 この男性のケースは保健指導がスムーズに適応された好例だが、中には挫折してしまう人や症状がない理由で指導を受けない人もおり、「いかに健康に対する意識を持ってもらうか苦慮している」と担当者は漏らす。

 国が特定健康診査などを実施する狙いは、増加の一途をたどる医療費の抑制が狙い。予備軍を含めると約2000万人いると言われる同症候群を2012年度末までに10%減、平成15年度末までに25%減とする数値目標を立てている。

 各自治体にも受診率をはじめ年度ごとに数値目標を設定させ、12年度末までに受診率65%の目標達成を求めている。だが実際には、各自治体と苦戦を強いられている状況で、国の思惑通りに進んでいないのが現状だ。函館市の受診率も08年度が25%の目標に対し20%、09年度は目標35%に対し21・5%にとどまっている。(医療問題取材班)

 ◆メタボリック症候群の診断基準

 へその高さの腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上で、@中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満のいずれかまたは両方A血圧が上で130mmHg以上、下で85mmHg以上のいずれかまたは両方B空腹時血糖が110mg/dl以上—3つの症状のうち2つ以上該当した場合。