2011年5月26日 (木) 掲載

◎ツチクジラ初水揚げ

 渡島、桧山管内の日本海を操業海域とするツチクジラ漁が解禁となった25日、函館市豊川町の豊川ふ頭に本年度1頭目が水揚げされた。ツチクジラの捕獲は今年全国初。性別は雄で体長約9メートル、重さ約10トンと平均よりやや大きめ。市内の処理場で解体された後、26日朝に市水産物地方卸売市場(豊川町)でせりにかけられ、鮮魚店などの店頭に並ぶ予定。

 ツチクジラ漁は国際捕鯨委員会(IWC)の管轄外で、農水大臣の許可による商業捕鯨として行われる。函館では1999年度に8頭枠で始まり、2005年度から10頭枠となった。

 操業は和歌山県太地町漁協の正和丸(15・2トン)。解禁日初日に捕獲されるのは珍しいといい、函館では6月30日までの期間内に10頭を捕獲した時点で漁は終了する。

 この日は午前3時15分に松前港を出港。同漁協によると、同11時ごろに江差沖20キロで8〜10頭の群れを発見、モリを打ち、午後1時35分ごろに捕獲した。

 同船は午後10時20分ごろに函館港に入港。同ふ頭に接岸後、ツチクジラをクレーンでつり上げ、トレーラーに積んで処理場へ運んだ。同漁協の貝良文参事は「時期も早いし水温も低めなので期待薄だったが、8〜10頭の群れがおり、幸先のいいスタートとなった」と話していた。(山崎大和)



◎国際観光コンベンション協会、新会長に寺坂氏

 函館国際観光コンベンション協会(会員数559)は25日、本年度の総会を函館国際ホテルで開催。役員改選で木村孝男会長が退任し、新会長に函館地区バス協会会長で函館バス社長の寺坂伊佐夫氏を選任した。

 会長となった寺坂氏はこれまで副会長を務めていた。新たな副会長には片岡格氏(函館市副市長)、石黒義男氏(函館物産協会会長)、中村由紀夫氏(函館国際ホテル社長)、渡辺兼一氏(金森商船社長)の4人を選任。専務理事も前任の吉田明彦氏の退任に伴い、函館市病院局管理部長などを務めた藤森和男氏が就任した。

 前会長の木村氏は在任期間を振り返り、「大きな2年間だった。新しいスタッフのもとで一丸となり苦しい状況を打破してほしい」と語った。

 このほかの議案で昨年度の事業、決算や本年度の予算などを承認。本年度事業は東日本大震災を受け「弾力的に執行する」とした。細かな事業では、オリジナルTシャツ発売や公衆無線LANサービス提供、市民対象の観光客受け入れ研修会などを行う。4つあった専門委員会のうち「イベント・交流委員会」は、イベントでは実行委組織があることなどから発展的に解消。担っていた事業は総務広報委員会などで引き継ぐ。

 また観光表彰で2団体7人を表彰した。受賞者は次の通り。(敬称略)

 【観光事業功績者賞】函館観光ボランティア愛、函館観光ボランティア一會の会

 【観光事業優良従業者賞】長尾英雄、西村正弘、酒井剛、佐藤恵美子、原浩章、小林芳夫、田中広光(小泉まや)



◎丸井今井で京都老舗まつり始まる

 京都の有名店などを集めた物産展「第14回京都老舗まつり」が25日、丸井今井函館店で始まった。77店が菓子や漬物、酒、工芸品などを販売し、会場内では京都の菓子を出すお茶会も開かれている。30日まで。

 毎年開催している。今回は10店が実演を行っており、うち130年の歴史を持つ「林万昌堂」は甘栗を会場内で焼いている。大きな鍋で甘栗と小石を約50分いると、周囲には香ばしい香りが広がり、客を集めていた。

 漬物店も人気で、主婦らが競うように試食で味を確かめては購入。五稜郭町の50代女性は「京都の漬物はおいしいので初日に合わせて買いに来ました」と話していた。

 茶席は、各流派が日替わりで担当。初日は江戸千家不白会函館支部が、京都の和菓子とともに抹茶を提供した。同会は「おいしいお菓子と一緒に味わうお抹茶は格別です」と来場を呼び掛けていた。(小泉まや)


◎旧函館博物館を一般開放

 市立函館博物館(田原良信館長)は25日、道指定有形文化財の旧函館博物館1号(函館公園内)の内部を一般開放した。国内に現存する最古の洋風木造建築物をひと目見ようと、多くの市民が訪れた。

 同建物は開拓史函館仮博物場として1879(明治12)年5月25日に開場。北海道で発掘された考古学資料や珍しい動物標本など函館の文化財を多く所蔵していたが、1966(昭和41)年に現在の市立函館博物館本館の開館を受けて閉館となった。

 この日は午前10時の開始から多くの来場者がつめかけ、館内を見学。当時展示されていた北海道の考古学資料、アイヌ民族資料、動植物資料などのパネルを興味深く見つめた。来場者のなかには昭和20年代に、同建物の入り口で発券作業をしていたという市内の80代女性の姿も。「着物を着て、訪れる人を毎日迎えた。当時は館長自らが展示物をリヤカーに乗せ、近くの学校に出かけて出前博物館を行っていた。熱心な姿を今も思いだす。ここにはたくさんの歴史が詰まっている」と懐かしそうに目を細めた。

 函館市の佐々木洋子さんは「ここに入ったのは初めて。資料を見ていると、132年の歴史を感じる」と話していた。(堀内法子)