2011年5月28日 (土) 掲載

◎新島襄の志 心に刻もう…12〜14日に「同志社フェア」

 全国の卒業生とのきずなを深めようと、「同志社フェアin函館」(同志社大主催)が6月12〜14日、ロワジールホテル函館(函館市若松町)などで開かれる。同大創設の原点である「新島襄脱国の地」に、同志社に関連する人々が集まり、新島の志を改めて心に刻む。同大は卒業生はもちろん、函館市民にも広く参加を呼び掛けている。

 フェアは学外向けイベントとして初めて企画、全国の中でも深いゆかりがある函館が開催地に選ばれた。12日は午後1時半から同ホテルで「全国同志社卒業生との集い」が開かれる。函館水産高の生徒9人が、新島が脱国する日の夜を再現した寸劇を披露するほか、ラグビー元日本代表で同大OBの大八木淳史さん、同大神学部の本井康博教授がそれぞれ講演。午後5時半からは交流交歓会(会費3000円)を予定している。

 13日は午前10時15分から、JR函館駅を発着地に新島や同志社と関係が深い函館の各スポットをバスで巡る「新島足跡ツアー〜ゆかりの地を訪ねて」(参加費8000円)が行われる。海外渡航の地碑やハリストス正教会、山ノ上大神宮などを訪ね、本井教授が解説する。

 脱国記念日の14日は午前11時から、海外渡航の地碑(函館市大町)前で碑前祭を開催。このほか、12日午前10時から函館ラ・サール学園で、大八木さんによる地元中学・高校生を対象にしたラグビー教室も。

 同大校友・父母課の平野章生課長は「市民の方々にイベントに参加してもらい、同志社と函館との深いつながりを知ってもらうきっかけとなれば」と話している。

 集い、交歓会、ツアーはいずれも6月2日までに、同課電話075・251・3009へ申し込みが必要。(山崎大和)



◎プレミアム商品券 本年度の発行見送りへ…工藤市長が経済団体と懇談

 函館市の工藤寿樹市長は27日、函館市役所で開かれた地元経済団体との懇談会で、2009年から函館商工会議所が発行しているプレミアム(割り増し)付き商品券について、本年度は市の補助金を負担しない方針を明らかにした。一方、前市政下で発足し、市や同会議所のトップらが地元経済の振興策を話し合う「経済活性化戦略会議」は継続し、新幹線時代を見据えた中心市街地の再生を重点に取り組む考え。

 地域経済が直面する現状や課題、提言などを聴き、6月の定例市議会に提出する補正予算編成に生かそうと、工藤市長が19日から始めた地元経済界との懇談会。27日には同会議所のほか、市亀田・東商工会、中小企業関連団体、食品・水産加工関連団体など計9団体の代表らとそれぞれ会談した。

 同会議所との懇談会で、工藤市長はプレミアム商品券について「経済が急速に落ち込んだ時のカンフル剤であり、毎年続けては効果が薄い。商品券の利用も大型店に流れる傾向にあり、地元商店街のてこ入れに役立つ別の方法を検討したい」と説明。市は補正予算に計上せず、発行が見送られる公算が大きくなった。

 一方、1月に同会議所の松本栄一会頭の提案で発足した「—戦略会議」については、「経済界と連携しながら経済対策を推進することは大いに賛同」として継続する意向を表明。戦略会議とは別に首都圏など地元以外の経済学者らを迎えた「経済再生会議」を立ち上げ、外部からの視点を交えて経済政策を進める方針を示した。

 このほか、工藤市長は大韓航空が運航する函館—ソウル線の定期便が原発事故の風評被害で運休が続いていることに触れ、「6月中旬にも韓国を緊急訪問し、函館観光の安全性をPRしたい」と松本会頭に提案。市は8月にも予定されている韓国・高陽(コヤン)市との姉妹都市提携にも弾みをつけたい考えだ。(森健太郎)



◎リンパ浮腫の外来 来月から開設…五稜郭病院

 函館五稜郭病院(函館市五稜郭町38、老松寛院長)は6月1日から、乳がんなどの手術後に手足が腫れるリンパ浮腫の専門外来を開設する。道南の総合病院では2カ所目となる専門外来で、専門技術の資格を持つ看護師2人が週2回対応する。

 乳がんや子宮頸(けい)がん、前立腺がんなどの手術では、がん細胞の転移を防ぐためにリンパ節を切除することがある。リンパ浮腫はリンパ節を切除したことで、リンパの流れが悪くなり、腕や足がむくんだり、腫れてしまう術後の後遺症。すぐに症状が現れず、一度太くなると根治が難しいとされている。

 道南地域のがん診療連携拠点病院の指定を受けている同病院では、リンパ浮腫の患者に対してはこれまで、緩和ケアチームの中で対応し、治療が必要な場合、他の病院へ紹介していた。

 だが、リンパ浮腫の症状を訴える患者が年々増えていることから、専門的に治療を行う態勢を検討。

 緩和ケア認定看護師の資格を持つ中安千佳子看護師と木村利子看護師が、日本医療リンパドレナージ協会(横浜市)が認定するリンパドレナージセラピストの資格を取得したことから態勢が整い、専門外来の開設に至った。

 専門外来は毎週月曜、木曜の週2回開設し、時間は午前9時から午後3時半まで。完全予約制。

 初診指導ではカウンセリングやセルフケアの指導をし、必要があれば患部をさするなどしてリンパを押し流す「リンパドレナージ」も行う。ドレナージは上腕、下肢など全身の浮腫に対応する。

 木村看護師は「日常生活に支障が出ないよう患者の苦痛を和らげていきたい」とし、中安看護師も「一生付き合わなければならない病気なので術後のケアや啓発、セルフ指導にも力を入れていきたい。手足がむくんだりしたら相談してほしい」と呼び掛ける。

 問い合わせは同病院電話0138・51・2295。(鈴木 潤)


◎函館山ロープウェイ 新社長に本間氏選任

 函館山ロープウェイ(函館市元町)は27日、函館市内で株主総会を開き、新しい社長に日本経済研究所(東京)取締役などを務めた本間秀行氏(61)を選任した。また、2010年度の乗降実績は、東日本大震災の影響で当初見込みを4万人下回る約127万人だったが、9年ぶりに前年度を上回った。

 総会では提案した5件の議案をすべて原案通り可決した。人事は27日付。新社長の本間氏は、05年まで日本政策投資銀行に勤務し、その後は整理回収機構特定業務部主任調査役などを経て同研究所に勤務した。

 4年間社長を務めた石井直樹氏と、専務だった小笠原忠氏は退任。新たな専務には、元函館市職員で4月まで函館商工会議所の常務理事だった桜井健治氏(63)が就任。取締役に日本政策投資銀行北海道支店次長の武田浩氏(44)、監査役には函館市副市長の片岡格氏(56)をそれぞれ選んだ。

 10年度の輸送実績は、年度当初は131万人を目標にしていたが、震災の影響で春休み中の客数が激減。3月12〜31日の間の実績は約2万7900人で、前年度より約4万7600人減少した。このため見込みは下回ったが、年間の実績では前年度比2・7%増となり、01年度以来9年ぶりに前年度を上回る結果となった。

 売上高は前年度比2・1%増の11億4720万円。もうけを示す営業利益は6098万円で、最終利益は同2倍となる2495万円の黒字だった。

 11年度の乗降見込みは1月に130万人と計画したが、震災により修正を余儀なくされており、6月以降に新たな見通しを立てる。(小泉まや)


◎函館山 ヤマザクラ咲き始める

 函館山山頂(334メートル)で、ヤマザクラが咲き始めた。山で最後に咲くサクラとされており、新緑に覆われた山腹とは違う色彩で訪れた人を楽しませている。

 道アウトドアガイドの木村マサ子さん(65)によると、函館山では2合目付近にあるチョウジザクラ(丁字桜)が最初に咲き、ソメイヨシノ、カスミザクラ、オオヤマザクラ、ヤエザクラ(関山)に次いで、ヤマザクラの開花が見られる。

 このサクラが植えられた経緯は不明だが、各種調査の結果、本道では珍しい種類であることが分かっている。花は比較的長い期間咲くので、6月上旬ごろまで楽しめる。(山崎純一)