2011年5月29日 (日) 掲載

◎スルメイカ漁解禁前に豊漁と安全祈願 函館漁港

 スルメイカ(マイカ)漁解禁を前に28日、函館市入舟町の函館漁港で大漁祈願祭が行われた。大漁旗を掲げたイカ釣り漁船がずらりと並ぶ中、約100人が豊漁と安全操業を祈った。  函館のシンボル≠ニも言えるイカは、6月から漁が始まり夏から秋にかけて最盛期を迎える。漁期は来年1月末まで。改行 函館市漁協の「函館小型いか釣部会」(佐藤豊次部会長、部会員25人)が主催。神事では、漁船をおはらいした後、佐藤部会長らが玉ぐしをささげて豊漁と安全を願った。恒例のもちまきも行われ、紅白もちを手にした子供たちが笑顔を見せていた。

 佐藤部会長(61)は「今年は石川沖や新潟沖での漁が、あまり芳しくないと聞いている。漁場となる松前沖の水温も例年より低いようだ。燃料も高くて心配。豊漁を願うばかりだ」と話していた。

 函館市漁協によると、漁船に使うA重油の価格は現在、1g当たり88円で、前年同期より約13円高い。重油高が漁家経営に重くのしかかっている。

 日本海区水産研究所が4月下旬に発表した第1回日本海スルメイカ長期漁況予報によると、今年5〜7月の来遊量は近年(2006〜10年)平均を下回り、昨年並み。魚体の大きさは昨年並み。(山崎大和)



◎道南近海 来月1日からイカ漁解禁 函館市、放射性物質当面検査せず

 6月1日に解禁される道南近海のスルメイカ(マイカ)漁で、全国有数の水揚げ量を誇る函館市は、福島第1原発事故に関連してイカの放射性物質の検査をしない方針だ。解禁時、市水産物地方卸売市場(豊川町)に上場されるイカは漁場が日本海側のため、安全性に問題はないと判断。ただ、市は「漁場が太平洋側に移ってくるタイミングで、国や道の動きに合わせ、市としても必要ならば検査をしていく」(山田潤一農林水産部長)としている。

 道南でのイカ漁は当初、日本海側を北上した群、その後は太平洋側を北上した群、さらに道東から南下した群へと移っていく。原発事故による海洋汚染が続いていることから、太平洋側を回遊する水産物への影響が懸念されている。

 国は水産物の放射性物質検査について、都道府県(水揚げ地)が実施するよう通知。道は「イカについては対応を検討中」(渡島総合振興局水産課)とし、道南での漁解禁を前に判断を決めていない。

 市も道の対応を見極めたいとし、山田部長は「日本海側の漁場はほぼ危険はないと考えられる。漁場が太平洋側に移る夏以降が(影響を受けていないか)心配だ」と指摘、市単独でも検査する必要性を示唆。また「イカは南から上がってくるので、他県との連携も必要」と話している。  函館市漁協は「影響がないのを祈るしかない」とし、当面は道などの対応を見守る考えだ。(山崎大和)



◎掘り出し物求め700人 本のリサイクルフェア 

 図書館や大学などで不要になった本を1冊100円で販売する「本のリサイクルフェア」が28日、函館市中央図書館(五稜郭町26)で始まった。午前10時の開館前から200人近くが並ぶ盛況ぶりで、掘り出し物を求める市民ら約700人が訪れた。

 市民に本に親しんでもらい資源の有効活用を図ろうと、市内にある8つの大学、短大、高専などでつくる「キャンパス・コンソーシアム函館」と同図書館が共催。昨年11月に続き2回目となる今回は有料で販売し、収益を各図書館の新刊図書の購入費に充てることにした。

 現在休館中の同図書館1階のエントランスロビーには約2万冊の書籍がずらり。市の各図書館・室や大学図書館で一定期間を過ぎたり、寄贈を受けて重複したりした小説や児童書、実用書などが格安で手に入るとあって、来場者は立ち読みしながら熱心に品定めしていた。

 会場には新書や文庫、雑誌などの無料コーナーもあり、一人で50冊以上を持ち帰る人も。初めて訪れた市内の女性(73)は「前から読みたかった本が手に入ってうれしい。本が人の手を巡り巡っていくようなイベントはいいですね」と話していた。フェアは29日まで。午前10時―午後3時。(森健太郎)


◎大間原発建設反対訴え 函館でデモ行進 170人参加

 青森県大間町に電源開発(東京)が建設中の大間原発をめぐり、建設反対を訴える「5.28バイバイ大間原発はこだてウォーク!」が28日、函館市中心部で行われた。福島第1原発事故後、函館で大規模な反対イベントが行われたのは初めて。約170人が千代台公園から五稜郭公園までを約1時間かけてデモ行進、「大間原発は大間違い!」と市民にアピールした。

 函館の市民団体「大間原発訴訟の会」の竹田とし子代表、NPO法人南北海道自然エネルギープロジェクトのピーター・ハウレット代表理事(函館ラ・サール高教諭)らが呼び掛け人となり、実行委が主催。

 行進に先立ち、千代台公園で行われた集会で、竹田代表は「函館に住む人にとって大間は人ごとではない。原発は地震にも津波にも弱いことがはっきりした。子供たちに原発を残したくはない。事故が起きる前に私たちの手でとめよう」とスピーチした。

 参加者は、横断幕やプラカードを掲げて「大間〜函館20`」「大間〜函館近すぎる」「エネルギーシフト」などと叫びながら、まちなかをゆっくりと行進した。

 函館市美原から参加した齋藤平太郎さん(71)は「原発はメンテナンスがいい加減で、燃えかすの処理もできず危険。原発に頼らないエネルギー政策への転換が必要」と話していた。

 なお、東日本大震災から3カ月目となる6月11日にも、函館市内で同様のイベントが計画されている。(山崎大和)