2011年5月3日 (火) 掲載

◎函館・江差でサクラ開花宣言

 函館海洋気象台は2日、函館のサクラ(ソメイヨシノ)の開花を発表した。平年より1日、昨年より3日早かった。また、日本気象協会道支社は江差のサクラ(同)の開花を発表。平年より1日、昨年より4日早かった。

 この日の函館は、西からの強い風が吹き、気温も4月上旬並みで肌寒さを感じる日だったが、同気象台職員が午前10時ごろ、五稜郭公園にある標本木に数輪以上の花が開いたことを確認した。

 大型連休期間中で、同公園には道内外から大勢の観光客が訪れており、冷たい風を受けて身をすくめながら咲き始めたサクラに歓声を上げ、記念写真を楽しんでいた。函館市駒場町の主婦平井明美さん(73)は「東日本大震災の影響で、函館を訪れる人が減っているが、このサクラを見に、たくさんの人に来てほしい。市民も心が晴れやかになってほしいですね」。札幌から訪れた会社員斎藤祐輔さん(46)は「サクラが咲くと気持ちが軽やかになる。早く全道で咲き、道民が笑顔であふれるようになってほしい」と話していた。(山崎純一)



◎ナイター競輪開幕

 函館けいりんのナイター「スターライトレース」が2日、市営函館競輪場で始まった。ナイターは同競輪場開幕の4月16日から行う予定だったが、3月11日の東日本大震災の影響による東北・関東圏の節電を受け、4月中のナイター開催を見送っていた。

 ナイター競輪は1998年に同競輪場が全国に先がけで導入し、その後、全国各競輪場に広まった。通常の日中開催より開始を約4時間遅らせ、この日は午後3時半に第1レースがスタート。日が沈みかけた第7レース発走前の同5時50分ごろに照明が点灯し、バンクを疾走する選手たちを鮮やかに照らした。

 今年の函館けいりんは58日間開催。うちナイター開催は48日間を予定している。心地良い夜風を浴びながら観戦できるレースのため、気温が上がるこれからの季節は多くのファンでにぎわいそうだ。



◎函高専学生が制作、「動く観光名所」道南の模型登場

 函館工業高等専門学校(函館高専、岩熊敏夫校長)の学生が制作した函館や道南地区の観光名所をかたどった「動く造形物」が2日、JR函館駅(鈴木克彦駅長)2階に設置された。この日はセレモニーが行われ、新幹線などが動くユニークな模型に、利用者からは「すごい」と驚きの声が上がっていた。

 函館駅が地域活性化の一つとして、「観光名所のPRと北海道新幹線がつくる明るい北海道」のテーマで同校に依頼。退職技術者と学生が企業のニーズに応じてものづくりに取り組む同高専独自事業の一環で、8人の学生が制作した。

 操作パネルのボタンを押すと在来線や新幹線、市電が発進。同時に、パネルには各観光地の写真と説明が映る。新幹線が青函トンネルを通ると、海面から青や白のLEDの光が輝く仕組みなど、こだわりが詰まった大作だ。

 セレモニーでは鈴木駅長が「多くの訪れた人に喜んでもらいたい。地域の活性化につなげたい」とあいさつ。学生代表者の新屋一騎さん(21)は「完成までには数々の苦労があったので、喜びもひとしお。小さいお子さんにも楽しんでもらえれば」と話した。来年3月上旬まで展示される。(平尾美陽子)


◎冨士冷菓、酒かすアイス限定販売

 「ふんわり香る酒かすの風味楽しんで」—。1947年創業の老舗アイスクリーム店「冨士冷菓」(中村久仁子店長)では、限定メニューとして大吟醸酒かすを使用したアイスクリームとシャーベットを販売している。

 北海道の新鮮な牛乳と生クリームに、旬の果物などを加えたアイスやシャーベットが常時20種以上並ぶ同店。卵を使わずに作るアイスはベースが白く、素材の色合いがはっきりと表れるため、視覚的にも楽しめると好評だ。

 現在限定で販売する酒かすメニューには、山口県旭酒造の純米大吟醸酒「獺祭(だっさい)」のしぼりたて酒かすを使用。この酒かすは山田錦を遠心分離で精米歩合23%まで磨いたものを原料に使用。通常の酒粕とは異なり、口に米粒の触感が残らず、滑らかでクリーミーな舌触りが特徴という。

 同酒かすの評判を聞きつけた中村店長は、今年1月に酒蔵から取り寄せ、試行錯誤を繰り返してアイスを完成させた。「風味を生かすにはどのくらいの分量を配合すればよいか、一番気を使った」と振り返る。

 完成早々店頭に並べると、人気メニューに成長。販売から約3カ月、今ではリピーターも多い。初しぼり酒かすのみを使用するため、はじめに仕入れた酒かすがなくなり次第、今年の販売は終了。中村店長は「販売は5月いっぱいの予定。ほかにも季節のものとしてさくらアイスを作っている。素材の風味を楽しめるよう工夫しているので、ぜひ食べてみて」と呼びかける。

 価格は大吟醸酒かすのアイス・シャーベットが各300円、さくらのアイスが250円。問い合わせはTEL0138・22・3819。(堀内法子)


◎企画「試練の春〜大震災・函館観光のいま3」二次被害/道内客に照準シフト

 旅行客の減少で函館湯の川温泉では3、4月、函館湯の川温泉旅館協同組合に加盟する22軒で合わせて、3万3000人の予約がキャンセルされた。例年の半分ほどの入り込みとなり、約4億円の減収。同組合では道内客に照準を定めた初の全軒参加キャンペーンを企画し、持ちこたえようとしている。

 キャンペーン効果で5月全体の入り込みは例年の7割にまで回復し、ゴールデンウィーク(GW)の予約も道内客でほぼ埋まった。金道太朗理事長は「ほっとした。夏は花火大会をPRして集客に務めたい」と胸をなで下ろす。

 各ホテルや旅館では、人件費削減のためパートなどの雇用調整を余儀なくされた。3、4月だけで前年同期比9000万円の減収となった湯の川プリンスホテル渚亭でも人員削減のため、社員がこれまでしなかった清掃なども分担している。

 同社の河内孝善常務は「多くの仕事をこなせるようになることで社員は『多能人間』となり、サービスの向上にもつながる」と話し、客をもてなす姿勢を見つめ直す機会として、前向きに捉えようとしている。

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 観光客の減少は土産品の売り上げにも影を落とす。本格シーズン到来を目前に、道内各地ではことしも3月上旬までに新商品の展示会が開催された。特に函館では東北新幹線の新青森駅開業効果を見込み、業界の期待は高まっていた。震災が襲ったのはこの直後。函館市大縄町の観光土産品製造・販売の北海道製菓の宮本正社長は「売り上げは例年の7割まで落ち込んだ」と肩を落とす。

 非常食料も扱う同社では、乾パンが一時通常の2倍の増産体制となったが、これもつかの間。3月は注文キャンセルが相次ぎ、本州で予定していた北海道物産展も中止に追い込まれた。「購買意欲旺盛だった東南アジアの客がゼロになり、GWの売り上げは例年の半分いけば良い程度だろう」とあきらめ顔だ。

 この状況下で同社は4月29日、旭山動物園(旭川)限定の新商品を投入した。同園からの依頼で開発した「エゾシカチップス」は、駆除されたエゾシカ肉をせんべい状に加工した商品。夏には函館でも発売する計画で、宮本社長は「今までになかったタイプの土産品。挽回のきっかけになれば」。(小泉まや)