2011年5月30日 (月) 掲載

◎恵山でまつり 鮮やかツツジ赤々と

 21日に開幕した「第43回恵山つつじまつり」の各種催しが29日、函館市恵山地区の「つつじ公園」付近で行われた。満開寸前のツツジが来場者を魅了し、愉快なステージショーと特産販売もあり、盛り上がった。

 この日は早朝から小雨が降ったが、札幌からのバスツアーをはじめ、大勢でにぎわった。特設会場に地元漁協の販売コーナーを設け、ホッケや甘エビ、ホタテのみそ汁、いかぽっぽなどが並び好評だった。

 アニメキャラクターショーは幼児を夢中にさせ、ラジオ「FMいるか」公開生放送では「根ボッケバキバキのように元気なお父さんいますか!」とご当地の話題でどっと笑いを誘った。

 えさん小3年の岩村咲菜さん(8)は「わたあめを買うのが楽しみ」。北広島市の中川保さん(64)は「ずっと恵山のツツジを見に来たくて、ようやく願いがかなった。満開だともっときれいだろうね」。千歳市の外川詩織さん(26)は「学生時代からの函館の親友とピンクのツツジを見ることができて幸せ」と満足の様子だった。

 恵山支所は、6月5〜7日前後に満開の予想。つつじまつりは6月5日までで、期間中は露店が並ぶ。(田中陽介)



◎極大粒大豆「タマフクラ」 枝豆に最適な収穫期を発見

 道立工業技術センター(函館市桔梗町)は、道南で普及が進む極大粒大豆「タマフクラ」を冷凍枝豆に加工する場合の大きさ、色、成分の特長を研究で突き止めた。成分ではタマフクラの魅力であるさっぱりとした甘みを出すマルトース(麦芽糖)の含有率が高いほか、大きさは開花後51日以降(さや厚13ミリ以降)が収穫に適している。加工メーカーだけでなく、農家が収穫適期を見極めるのに有力な材料となりそうだ。

 2009年度から始まったブランド化を視野に入れた農商工連携による「たまふくらプロジェクト」の一環。10年度は、だるま食品本舗、同センター、渡島農業改良普及センター、道南農業試験場、JA新はこだて、生産農家が同プロジェクトに参加。メーカーが冷凍枝豆として良い製品を作るために関係団体がタッグを組んだ。

 研究では、森町の農家で栽培したタマフクラを、時期をずらして収穫、枝豆に加工してそれぞれの大きさ、色、成分、加工適性の変化を調べた。

 その結果、大きさは開花後51日以降で、さや厚が13ミリに達すれば、タマフクラらしいインパクトが出せることが分かった。これは官能評価で見た目の印象を点数化したところ、平均して51日以降が通常の枝豆より大きいとの評価を受けた。

 色は、枝豆を色彩測色計で図った数値を基に黄化度(黄色く変化する度合)を計算。開花後45〜60日に収穫すると、鮮やかな緑色が保たれるが、60日以降は一気に黄色みが増してしまう。

 成分は、枝豆で開花後日数による糖含量の変化を機械で調べたところ、マルトースは51日以降増えだした。タマフクラには甘みの強い砂糖の主成分スクロースも含まれていて、マルトースとスクロースの割合がほぼ同量なのに対し、市販品はマルトースがスクロースの半分程度しか含まれていない。タマフクラはマルトース含有率が高い丹波黒大豆の性質を受け継いでいるため、一般的な枝豆とは違う黒豆っぽい味を出す。

 同センター食品技術科の清水健志主任は「開花後50〜60日ごろに収穫すると、タマフクラらしい特長を持った枝豆製品が作れる。さや厚が13ミリになれば、マルトースの量も乗ってきている。成果を生かし、農商工連携でブランド化を進めたい」と話している。

 タマフクラは、道立中央農業試験場(空知管内長沼町)が京都の「新丹波黒」と道産の「ツルムスメ」の交配により2007年に誕生。収穫期は枝豆が9月、乾燥大豆が11月と晩生種のため、降霜が遅い道南に向くとされる。(山崎大和)



◎歌や踊りで復興応援 江差で慈善イベント

 【江差】東日本大震災の被災地を応援しようと、有志が企画したチャリティーイベント「がんばろう日本!」が29日、浄土真宗本願寺派江差別院(西別院)で開かれた。被災地の復興を願う200人を超える来場者でにぎわった。

 岩手県山田町での支援活動に参加した、江差町の中澤貴徳さん、宮城県石巻市に派遣された、江差消防署の小田島隆一さんが報告を行った。

 町役場で防災担当の中澤さんは「避難所は真っ先に逃げる場所ではない。避難所ごと津波にのまれた人も多い」と力説。津波発生時は、一刻も早く高台などに避難することを呼び掛けた。現地での支援活動については「町職員自身が被災者だ。再び要請があれば率先して行きたい。復興した姿を見てみたい」とした。

 小田島さんは「精神的ダメージが大きい被災者のサポートが重要だ。大災害があれば再び出動しなければならないが、今回の経験を消防や救急活動に役立てたい」とした。

 続いて、函館大谷短大の学生による光る影絵の上演や江差追分と民謡ショーなどの多彩な催しも。町立かもめ、日明、水堀の3保育園の子供たちは、被災地の復興に願いを込め、元気いっぱいの歌や踊りを披露。客席からは、たくさんのおひねり≠熹び交い、会場で寄せられた募金とともに、義援金として被災地に送るという。(松浦 純)


◎小説に込めた思い語る 「吃音」著者の佐藤さん講演

 ことし4月21日に全国販売され、大きな話題を集めている小説「吃音(きつおん)センセイ—桜舞う校庭で」(講談社)の著者で、函館市内で幅広く事業展開する佐藤文昭さん(31)の講演&サイン会が29日、書店「栄好堂美原店」(美原3)で開かれた。多くのファンが詰めかけ、佐藤さんが著書に込めた思いなどに耳を傾けた。

 吃音というハンディを抱えながらも、人との出会いを通して成長していく、国語教師になった実在女性の半生が描かれている。同書店では初回入荷分が即完売。急きょ130冊を再入荷するなどの反響の大きさを受けて、同店が講演会を企画した。

 女性が吃音を乗り越えるきっかけとなった2つの出会いを紹介した佐藤さんは、「生き抜くことこそに本当の価値があることだと学んだ。実際の話を通して生きる力を多くの人に伝えたかった」と書籍化の経緯を説明。考え方の転換や言葉遣いを意識し、「人から“ありがとう”と言われる人生を歩んでいこう」と提唱していた。サイン会にも多くの読者が列をなし、握手や記念撮影をしていた。(小杉貴洋)