2011年5月31日 (火) 掲載

◎市長査定始まる 工藤市政初の政策予算

 函館市長選後の政策予算などを盛り込む、市の本年度補正予算の市長査定が30日から始まった。工藤寿樹市長の初めての政策予算で、6月30日開会予定の定例市議会に提出する。財政状況が厳しい中、選挙戦で掲げた政策の実現に向けた予算をどれだけ措置できるか注目される。

 2月に西尾正範前市長が発表した当初予算(一般会計で1310億1600万円)は、市長選を控えていたため新規事業を抑えた骨格編成となり、今回の補正予算が肉付けとなる。

 工藤市長は査定を前に、政策パンフレットの中で早期に予算化が可能な事業に着手するとともに、東日本大震災後の経済状況を考慮し「緊急措置が必要なものは適宜やりたい」と述べた。財源調整については「行財政改革をやらなければ出てこない」とし、来年度予算に向けて行革に着手する考えを示した。

 同市長は商店街の活性化に向け、6月定例会での市内の商店街に対する交付金制度の設置に意欲を示している。市長査定には「元気いっぱい商店街等支援事業費」として5000万円を要求しており、事業実施計画を策定した商店街組合や商工会などを対象に、構成員数を基準に300〜100万円を交付する内容となっている。

 査定には中林重雄、片岡格両副市長をはじめ、企画、財務部長らが同席。川村義浩財政課長が各部局から予算要求のあった事業について説明した。査定は6月2日まで行われる予定。 (千葉卓陽)



◎大間原発 建設凍結を

 【北斗】北斗市の高谷寿峰市長は30日、市役所で会見を開いた。青森県大間町で建設中の大間原発について、「北斗市も40〜60キロ圏内に入り、海には障害物がない。何らかの(建設反対の)アクションが必要だが、勉強もしていかなくてはならない。できるならば過去にいろいろな対応、研究をしている函館市と共同歩調を取っていきたい」と述べ、工事の凍結を求めていく考えを示した。

 国のエネルギー政策全般について、稼働中の原発を停止することは現実的な選択ではないとし、「稼働中のものは安全性を厳格な基準とするべき。休、停止中のものは基本的に凍結とし、国民的な合意がないままでは動かしてもらいたくはない」と述べ、原発に代わるエネルギー供給は国の責任で行うべきだとした。

 また、市民団体がきじひき高原に市民出資の風力発電建設構想を推進していることについて、「震災以後、再生可能エネルギーの利用も考えなくてはならない」としながらも、地元住民との合意や市が計画中の観光開発との整合性など解決すべき課題が多いとの認識を示した。

 このほか、北海道新幹線開業後にJRから経営分離される並行在来線(江差線)に冠しては、道に対して沿線自治体の負担割合の早期提示と、鉄路維持を念頭とした検討を求めていくほか、国に対し、貨物調整金による財政支援策の恒久制度化を働き掛けていく考えを示した。  (今井正一)



◎4月の道南有効求人倍率0.42倍

 函館公共職業安定所が発表した4月の渡島・桧山管内の雇用失業情勢によると、有効求人倍率は0.42倍と前年同月より0.11ポイント高く、11カ月連続で前年を上回った。新規求人の大幅回復が主な要因だが、増加分の約6割を震災関連雇用が占めており、改善したとは言い切れない状況。有効求職者も1万2000人台を脱せず、基調判断は「持ち直しの動きが続いているものの、厳しさが残る」と8カ月連続で据え置いた。

 有効求人数は前年同月比30.4%増の5195人と大幅改善。新規求人数は同20.3%増の2127人で、12カ月連続で前年を超えた。持ち帰り配達飲食業が大きく伸びたが、東日本大震災の被災者を対象とした雇用がほとんど。次いで増加したのは医療・福祉、卸売業・小売業など。

 宿泊業は同35.4%減で、正職員は若干の増加となったがパートの減少が大きく、同職安は「震災の影響で観光客が減り、パート社員で雇用調整をしている可能性もある」とする。5月の震災による従業員解雇(5人以上)は、七飯町の人材派遣会社で7人。派遣先の生産量減少などを理由に解雇した。

 有効求職者は同2.6%減の1万2331人で、13カ月連続で前年を下回った。しかしリーマンショックで悪化した2008年秋からの状況を引きずっており、同職安は「長く職を探し続けている人が増えている」とする。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率は同0.08ポイント上昇し0.57倍と、12カ月連続で前年を上回った。新規求職者は3717人の同3.2%増で、2カ月ぶりに前年を上回った。

 合わせて発表した11年3月高卒者の4月末現在の求人倍率は、同0.15ポイント高い1.62倍。就職率は同3.3ポイント上回る92.2%となったが、いぜんとして63人の未就職者がいる。 (小泉まや)


◎タケノコ採り 準備万全に

 【上ノ国、今金】桧山管内では、6月2日に今金町住吉の上ハカイタケノコ園、10日には上ノ国町湯ノ岱の上ノ沢タケノコ園がオープンするなど、タケノコシーズンが本番目前だが、タケノコ採りに伴う遭難事故が跡を絶たず、桧山振興局や江差・せたな両署が注意を呼び掛けている。

 「上ハカイ」は、渡島森林管理署の管轄。開園時間は午前6時〜午後2時。桧山森林管理署は「上ノ沢」と北斗市の「上二股」(1日開園)を管轄する。開園時間は、いずれも午前6時〜午後1時。入園料は3園ともに700円。

 ただ、管内ではタケノコ採りに伴う遭難事故が跡を絶たない。振興局によると2006年から5年間で26件(死者5人・行方不明2人)の遭難が発生。大半はタケノコ採りに伴うものだった。シーズン中には4000人前後もの来園者がある「上ノ沢」では06年、開園後の4日間で2件の遭難が続発。今年も多数の来園者が予想されるため、町役場などが神経をとがらせる。

 道内では今月、北広島市や後志管内島牧村で、タケノコ採りに伴う遭難が発生。振興局などは開園に合わせてリーフレットを配布するなど啓発を強化。江差・せたな両署でも@家族に行き先や帰宅時間を知らせるA目立つ色の服装にするB携帯電話や食料などを携行するC道に迷った時は落ち着いて行動する―などの対策を呼び掛けている。タケノコ園の問い合わせは、渡島森林管理署0137-63-2141、桧山森林管理署TEL0139-64-3201へ。 (松浦 純)


◎がん 特定検診見やすく

 市立函館保健所は、がん検診と特定検診の日程を掲載したカレンダーを作製し、全戸配布を行っている。同保健所や市医師会検診検査センター(湯川町3)、各町会館での実施日を網羅しており、同保健所は「カレンダーを通じて最寄りの場所を見つけ、検診を受けてほしい」と話している。

 受診率アップに向けた取り組みの一環で、A3判2つ折り。初めて実施した昨年度は2色刷りだったが、今回は4色フルカラーにして見やすさを重視した。

 カレンダーでは、対象年齢が35歳以上の胃がん検診、同40歳以上の肺がん、大腸がん検診を同時に受けられる場所のほか、胃がん検診のみの日、肺・大腸がん検診と特定検診(国民健康保険、後期高齢者医療制度加入者などが対象)を行う場所を色分けして掲載。

 同保健所健康づくり推進室によると、市民のがん検診受診率(2009年度)は、胃がん5.7%、肺がん5.4%、大腸がん5.0%と、市の健康づくり計画「健康はこだて21」で定めた12年度までの目標値(胃がん10.5%、肺がん16.1%、大腸がん14.4%)を大きく下回る。10年度は現在集計中で「若干増える」とみるが、目標値には達しない見通しだ。

 このため、土、日曜にも月1回ずつ3種類のがん検診が受けられる日を設けているほか、夜間検診日を月1回設けて対応する。同保健所は「平日に時間が取れない市民も、土日の日程をカレンダーで確認して受診してほしい」と話している。  (千葉卓陽)